百年戦争期フランス国制史研究 -王権・諸侯国・高等法院-
価格:5,500円 (消費税:500円)
ISBN978-4-8329-6772-4 C3022
奥付の初版発行年月:2012年10月 / 発売日:2012年10月下旬
革命前のフランス王国において、王を中心とする政治統合はいかなる過程をへて形成され、それはどのような特質をもったのか。14・15世紀を中心にいくつかの王国統治制度の成立とその実態を論じる。14・15世紀はこれまで「中世から近世への過渡期」と曖昧に位置づけられ、長く我が国では研究の空白地帯であった。フランス本国の研究動向は2つの方向に整理できる。第1はこの時代を「人とモノの動員装置」たる国家の生成期をみなし、そうした国家がいかにして生まれたかを社会史・文化史の視点から究明する。第2は王国の多元的・重層的な構成という視点から、当時のフランス社会を構成した大小様々な地域的枠組み、とくに諸侯国に注目し、その政治構造を解明する。しかしこれら二つの方向が統一的な王国国制像を描くには至っていない。そこで、当時の王国のあり方という観点から一貫した国制像のもと、第1章「親王領の特質変化」第2章「国・国ぐに」第3章「パリ」第4章「諸侯国」という側面から、諸侯権と王権の絡み合いとその意義を検討する。
佐藤 猛(サトウ タケル)
1975年 北海道生まれ
1998年 北海道大学文学部卒業
2005年 北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学
現 在 秋田大学教育文化学部欧米文化講座講師、博士(文学・北海道大学)
主要論文 「中世後期におけるフランス同輩と紛争解決」(『西洋史研究』新輯第37号、2008年)、「15・16世紀フランスにおけるいくつもの高等法院―「地方高等法院体制」をめぐる予備的考察―」(『秋大史学』第56号、2010年)、「1477年ブルゴーニュ高等法院の設立」(『秋田大学教育文化学部紀要(人文科学・社会科学)』第67編、2012年)等
目次
目 次
はしがき
序 章 百年戦争期王国の多元的構造と国家生成―研究動向と課題―
第一節 地域的多様性と精神的一体性の交錯
第二節 諸侯国、百年戦争、王権
(一)諸侯国と諸侯勢力
(二)王国レヴェルにおける諸侯国の展開
(三)近代国家生成
(四)百年戦争と国家そしてネイション形成
(五)裁く王、赦す王、法を立てる王
第三節 本書の課題
第一章 白ユリ諸侯の形成
第一節 親王から白ユリ諸侯へ
第二節 親王領から親王国へ
第三節 親王領設定文書の変容
(一)史料―刊行状況と分析方法
(二)一三世紀中葉―「不和が生じないように」
(三)一四世紀中葉―「高貴な出自の人々」の「主君への愛の炎」
(四)一四世紀末以降―「王国と国家の繁栄のために」
第二章 「国ぐに」における国王統治と諸侯
第一節 国王代行官と諸侯権
(一)概要
(二)諸侯の就任状況と王権委任地
(三)白ユリ諸侯の国王代行権―一三八〇年ベリー公ジャンの親任を例に―
(1)親任経緯
(2)親任状の分析
第二節 国王代行任務の実態
(一)ラングドックにおける国王代行制の展開
(1)二大伯家の国王代行期(一三四〇~五〇年代)
(2)アンジュー公ルイの国王代行期(一三六〇~七〇年代)
(二)ベリー公ジャンの国王代行任務
(1)国王代行任務、パリ勤務、諸侯国統治
(2)地元諸勢力に対する王権代行
第三章 パリにおける諸侯抗争と王国統治観
第一節 幼王シャルル六世王権
(一)一三七四年の三証書
(二)一三八〇年四諸侯協定
(三)四諸侯指導体制の実態
第二節 諸侯抗争下の王国統治観の転換
(一)一三九二・九三年の三証書
(二)白ユリ諸侯の王国政策
(三)一四〇三年の三証書
第三節 王族殺害事件と王国国制
(一)一四〇三年体制への反応
(二)一四〇七年末と一四〇九年初頭の二証書
(三)一四〇九年王政府の再編成
第四章 国王裁判権と諸侯国
第一節 諸侯国から国王裁判権への上訴
(一)王と諸侯の裁判管轄
(二)諸侯上訴法廷の創設
(1)家産諸侯国
(2)親王国
第二節 パリ―上訴法廷体制の構築
(一)上訴ルートと上訴件数
(二)諸侯、パリ高等法院、王
(1)諸侯
(2)パリ高等法院
(3)王
終 章
文献目録
事項索引
地名索引
人名索引
あとがき