ロシア連邦憲法体制の成立
価格:5,500円 (消費税:500円)
ISBN978-4-8329-6801-1 C3031
奥付の初版発行年月:2016年02月 / 発売日:2016年03月上旬
エリツィンはなぜ中央集権的な大統領制を制定しながら遠心的な連邦制を容認したのか。
本書では、体制転換の重層性に着目し、連邦憲法制定過程を分析。大統領権限と連邦制規定が取引材料になったことが、相反する特徴を持つ政治制度が憲法に組み込まれた理由であることを示す。
溝口 修平(ミゾグチ シュウヘイ)
東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程修了。博士(学術)。
現在,東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻助教。
主要業績は,『連邦制の逆説?──連邦制は効果的な統治制度か』(共編,ナカニシヤ出版,近刊),『ポスト社会主義期の政治と経済──旧ソ連・中東欧の比較』(分担執筆,北海道大学出版会,2011年),「ウクライナ危機をめぐる二重の相互不信」『地域研究』(第16巻第1号,2015年)など。
目次
第1章 政治制度の形成とその意図せざる帰結
第1節 問題の所在──体制転換後のロシアの混乱
第2節 統治制度の変容──ソ連共産党から大統領制と連邦制へ
第3節 既存研究とその問題点
第4節 重層的転換論
第1項 ソ連/ロシアの体制転換の特徴
第2項 重層的転換論の視角とその問題点
第5節 分析枠組と構成
第1項 分析枠組──体制転換の動態的分析に向けて
第2項 構 成
第6節 議論の射程と本書の意義
第2章 ソ連の統治制度とその矛盾
第1節 ソ連の統治制度
第1項 「党=国家体制」の成立とその構造
第2項 「党=国家体制」の機能
第3項 「党=国家体制」の矛盾
第2節 ペレストロイカとソ連の解体
第1項 ゴルバチョフの登場
第2項 ゴルバチョフの経済改革
第3項 ゴルバチョフの政治改革
第4項 連邦制再編問題
第5項 ソ連の解体
第3節 小 括──ソ連解体と残された課題
第3章 ロシアの自立化の萌芽(1990年)
第1節 ソ連におけるロシアの位置
第2節 ロシア人民代議員大会の創設と議会制度の概要
第1項 議会制度の概要
第2項 人民代議員選挙と議員の連合形成
第3項 憲法委員会の設置
第3節 自立化の始まり
第1項 最高会議議長の選出
第2項 国家主権宣言
第4節 小 括
第4章 自立化の拡大(1990年~1991年)
第1節 経済的自立化──「法律戦争」と私有化の進展
第1項 500日計画と法律戦争
第2項 私有化関連法の制定
第3項 経済的自立化の影響
第2節 政治的自立化──大統領制の導入
第1項 大統領制の導入
第2項 政治的自立化の影響
第3節 2つの連邦条約とソ連の解体
第1項 ロシアの連邦条約をめぐる問題状況
第2項 2つの連邦条約の交錯
第4節 小 括
第5章 市場経済化の開始と議会内ブロックの離合集散(1992年)
第1節 ソ連解体前後の政治主体
第1項 大 統 領──特別権限の獲得
第2項 議会内ブロック
第3項 連邦構成主体行政府
第2節 急進的市場経済化と私有化
第1項 背 景
第2項 第6回人民代議員大会
第3項 私有化法改正と私有化国家プログラム
第4項 ガイダール報告に関する決定
第5項 急進的市場経済化の影響
第3節 政治制度改革をめぐる争いと最高会議の「原子化」
第1項 背 景
第2項 最高会議での政府法審議
第3項 第7回人民代議員大会
第4節 小 括
第6章 権力闘争の激化と新憲法制定(1993年)
第1節 権力闘争の激化
第1項 「円卓会議」の組織
第2項 第8回人民代議員大会
第3項 「特別統治秩序に関する大統領令」
第4項 第9回人民代議員大会
第2節 国民投票
第1項 国民投票の結果
第2項 2つの憲法草案
第3節 憲法協議会
第1項 憲法協議会の創設
第2項 憲法協議会の構成
第3項 新憲法をめぐる審議内容
第4節 「10月事件」と憲法制定
第1項 「10月事件」
第2項 最終草案の策定
第3項 国民投票による憲法制定
第5節 小 括
第7章 結 論
第1節 重層的転換における政治制度の形成
第2節 強い大統領制と非対称な連邦制
第3節 21世紀のロシア
参考資料 ロシア人民代議員大会・最高会議の主要会派
参考文献
あとがき
事項索引
人名索引