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日本海軍連合艦隊の研究

日本海軍連合艦隊の研究

A5判 344ページ 上製
価格:8,250円 (消費税:750円)
ISBN978-4-8329-6885-1 C3021
奥付の初版発行年月:2022年12月 / 発売日:2022年12月中旬

内容紹介

海軍の栄光の象徴ともいえる連合艦隊とは実際にはいかなる組織であったのか。島嶼戦での陸軍部隊の飢餓と玉砕の裏には連合艦隊をめぐる問題があった。政治・外交・メディア・戦争の分野を横断して、「臨時組織」の権威確立と暴走を実証する。

著者プロフィール

木村 聡(キムラ サトシ)

1993年、茨城県生まれ
2016年3月、北海道大学文学部卒業
2021年3月、北海道大学大学院文学研究科歴史地域文化学専攻博士後期課程修了。博士(文学)
外務省外交史料館アジア歴史資料センター協力室非常勤職員、防衛大学校総合安全保障研究科後期課程特別研究員を経て
2022年4月より別府大学専任講師

■主な著書・論文
『聯合艦隊:海軍の象徴の実像』中央公論新社、2022年
「ワシントン海軍軍縮後の連合艦隊:その制度の変遷と戦争指導の分裂」史学会編『史学雑誌』第128編8号,2019年8月
「友鶴事件と海軍軍縮条約脱退への道」軍事史学会編『軍事史学』第57巻第2号,2021年9月

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はしがき
凡 例

序 論 連合艦隊とはいかなる組織であるか
 第一節 連合艦隊の概要と日本近代史における地位
 第二節 先行研究の概要と問題点──軍隊研究の射程とその限界
 第三節 課題解決の枠組みと研究の意義


 第一部 平時における連合艦隊の活動

第一章 連合艦隊の海軍法規上の地位と軍縮体制下での変容
 はじめに
 第一節 教育・訓練の施行者としての艦隊司令長官
 第二節 ワシントン体制下の連合艦隊の変容
 第三節 昭和8(1933)年の連合艦隊の常設化と軍令部改革
 おわりに

第二章 関東大震災と海軍大演習
 はじめに
 第一節 連合艦隊の本土帰還と指揮命令系統の確立
 第二節 第二艦隊による命令の具体化と実行体制の確立
 第三節 小林第三戦隊司令官の海軍内部での孤立
 第四節 震災後の艦隊の活動
 おわりに

第三章 美保関事件
 はじめに
 第一節 ワシントン海軍軍縮会議後の海軍の主張と政策
 第二節 美保関事件の発生と加藤寛治の免責
 第三節 事件後の連合艦隊の報道
 おわりに

第四章 ロンドン海軍軍縮条約──前線部隊の統率と海軍の統制問題
 はじめに
 第一節 海軍部内の役割の区別と連合艦隊
 第二節 ロンドン海軍軍縮条約を巡る財部彪海軍大臣の不評判
 第三節 海軍一般士官から見たロンドン海軍軍縮条約の兵力補充
 おわりに

第五章 連合艦隊の政治運動
 はじめに
 第一節 末次長官期以前の海軍の状況
 第二節 末次長官期の連合艦隊と政治運動
 第三節 上申書問題後の末次と連合艦隊の活動と報道
 おわりに

第一部の小括


  第二部戦時における連合艦隊の活動

第一章 連合艦隊司令部の独立と大海令──日中戦争と真珠湾攻撃を事例に
 はじめに
 第一節 日中戦争の開戦と訓練への影響
 第二節 大海令および大海指による指揮系統整備と連合艦隊の拡大
 第三節 真珠湾作戦計画の立案過程
 おわりに

第二章 ガダルカナル島を巡る陸海軍協同作戦と連合艦隊
 はじめに
 第一節 ガダルカナル島の戦いの概要
 第二節 南東方面作戦を巡る現地陸海軍の関係認識
 第三節 連合艦隊による撤退の働きかけ
 おわりに

第三章 海軍から見た島嶼戦と陸軍の玉砕──アッツ島玉砕以降を中心に
 はじめに
 第一節 北方方面作戦を巡る軍令部と参謀本部の交渉と連合艦隊の反対
 第二節 「絶対国防圏」の成立と連合艦隊の独走
 おわりに

第四章 軍令部の介入と先例重視の相克──豊田副武長官期を中心に
 はじめに
 第一節 連合艦隊司令部の壊滅と連合艦隊改廃の議論
 第二節 豊田副武長官期の連合艦隊
 おわりに

第二部の小括

結 論 「臨時組織」の権威確立とその暴走


あとがき
索引


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