アシナガバチ一億年のドラマ カリバチの社会はいかに進化したか
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-8329-7311-4(4-8329-7311-8) C1045
奥付の初版発行年月:2001年08月 / 発売日:2001年08月下旬
ギャンブル仮説か? 3/4仮説か? あるいは協同的多雌性仮説か? 日本をはじめ,東南アジア,オーストラリア,ブラジルなどにおける広範な調査に,最新の視点を取り入れて,カリバチにおける社会進化の道すじを解りやすく紹介.1億年をかけたイノベーションの謎に迫る.
山根 爽一(ヤマネ ソウイチ)
茨城大学教育学部教授.理学博士.
主要著書:
フタモンアシナガバチ (文一総合出版,1986)
チビアシナガバチの社会 (共著,東海大学出版会,1989)
スマトラの自然と人々 (共著,八坂書房,1992)
昆虫の社会進化—ハチの比較社会学 (共編著,博品社,1993)
目次
第 1章 子育ての技術革新—社会生活への長い道のり
1 カリバチとハナバチ
2 植物食から寄生生活へ
3 他人のすみかを借用する—巣作りの起源
4 自分で巣をつくる—建築家の誕生
5 狩りに先立って産卵する—空室産卵
第 2章 独居と社会生活の接点を探る—ハラボソバチの社会
1 熱帯アジアの隠遁生活者
2 忍耐のいる行動観察
3 メリイヒメハラボソバチのルーズな社会
4 母巣で働いてから独立する娘たち
5 ハラボソバチは真社会性といえるか
第 3章 個人主義か集団主義か—独立創設するアシナガバチ
1 独立創設と巣分かれ創設
2 温帯のアシナガバチの生活史
3 複数のメスによる巣作り—多雌創設
4 債権交代で延命するチビアシナガバチのコロニー
5 巣を分割するオーストラリアのチビアシナガバチ
6 独力で創設するか,集団に加わるか
第 4章 コロニーの巨大化—巣分かれ創設するアシナガバチ
1 アシナガバチ類の巣分かれ創設
2 旧世界のチビアシナガバチの生活
3 南米で分化したエピポナ類
4 巣分かれ創設はいかに進化したか
5 巣分かれ創設と表裏一体の多女王制
第 5章 カースト分化—社会組織の完成度の指標
1 カーストの違いは,まず行動にあらわれる
2 カースト間の形態的分化
3 カースト分化の様相とその意味
第 6章 建築技術のイノベーション—構造の多様性と進化
1 ハチの巣は魅惑のかたまり
2 ハラボソバチの巣のみごとな分化
3 細い柄で吊り下げ,「化学の鍵」をかける
4 住居の育児環境を快適に保つ
5 巣材と建築技術は社会進化を左右する
第 7章 カリバチの社会はいかに進化したか
1 社会進化の古典的仮説—栄養交換説
2 子をつくらずに自分の性質を伝える—血縁選択理論
3 みんなで集まれば怖くない—協同的多雌性仮説
4 どの身のふり方が有利か—ギャンブル仮説
5 異世代社会と同世代社会—社会進化の道すじ