本書は，東北大学21世紀COEプログラム「流動ダイナミクス国際研究教育拠点」の教育研究活動の中で行われた複雑流体に関する集中講義の内容をまとめたものである。複雑流体は，非線形な問題を取り扱っており，いまだ，基礎理論が確立されていない。しかし，近年の実験技術の進歩により，ようやく詳細な実験結果を得ることが可能となり，同時に新たな理論やシミュレーションも展開されつつあり，今後の新素材などへの応用が期待される分野である。本書では，３人の実験家と１人に理論家が、ガラス転移近傍の流体力学的相互作用，ソフトマターにおけるジャミング、分光学によるソフトマターの特徴付け、荷電コロイド分散系における相変化など、それぞれの専門のトッピクスについて，各自の視点より基礎から最新に成果までを報告し，今後の複雑流体の学理構築への一助となることが期待される。