死が消滅する社会 遺品整理業をめぐる死とモノの社会学
価格:5,610円 (消費税:510円)
ISBN978-4-86283-385-3 C3036
奥付の初版発行年月:2025年02月 / 発売日:2025年02月中旬
近代化で死別や看取りはいかに変容したのか。遺品整理業へのフィールドワークからエスノグラフィーを描き出し、そこに死の個別化を見出す。補論で死のゲゼルシャフト化に抵抗する試みの紹介も。
目次
序 文
図表一覧
第一章 死への社会学的アプローチ
一 無形の死
二 死と有形のモノ─死の意味づけ
三 死の近代的側面─モノと死の意味の変容
(1) 死の商品化・産業化
(2) 死の医療化
四 死の社会学の理論枠組みに向けて
(1) 死別研究批判
(2) 死と社会秩序
第二章 死の社会的処理の論理
一 モノの交換形式
(1) 等価交換
(2) 象徴交換
二 社会類型と死
(1) ゲマインシャフトは死者こそ砦
(2) 物象化─ゲゼルシャフトの交換原理
(3) 死のゲマインシャフト化/ゲゼルシャフト化
三 死別の悲哀
(1) 供犠の喪失
(2) 死別のアノミー
第三章 現代社会の死・家族・所有物
一 家族の現代的変容─単独世帯化
二 家族と所有物
(1) 家族と共有財産
(2) 私的所有からみる個人化─市場・法
三 所有物へのゲゼルシャフトの論理の浸透
四 生活空間からの死と死者の排除─遺品の意味の変容
第四章 遺品整理業のエスノグラフィー
一 遺品整理業の登場
(1) 死の産業化の拡大
(2) 最初の遺品整理業
(3) 資格化にみる遺品整理の均質化
二 遺品整理業の作業事例
(1) 遺品整理業B
(2) 遺品整理業C
(3) 孤独死と遺品整理業
(4) リユース事業にみる遺品
三 小括
第五章 死の個別化 ── 結語
一 議論の振り返り
二 贈与なき遺品
三 終活のメンタリティ
四 死の個別化
補 論 ゲゼルシャフトで死が見出されるとき ── ボルタンスキーの試み
一 消滅に抗する想起の力
二 ボルタンスキーによる虚構の死
三 神話作用への賭け
参考文献
あとがき
索引