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過去と向き合い、表現する民俗学 フォークロア編

民俗学 フォークロア編 過去と向き合い、表現する

A5判 242ページ 並製
価格:1,760円 (消費税:160円)
ISBN978-4-86463-152-5 C3039
奥付の初版発行年月:2022年09月 / 発売日:2022年09月下旬

内容紹介

フォーク(人々)あるところに
かならずロア(物語)あり
それを見聞きし、記し、読み解き
みずからの発見/表現とするには?

フォークロアとは、フォーク(人々、ある集団)と、ロア(伝統的な知識や物語)を合わせた造語である。今やレトロなことばとなったフォークロア。しかし、伝統をただ重んじるのではなく、過去からあるものに意味を見出し、今を豊かにしようというまなざしがその根底にある。なぜか懐かしくて理想的。ロマンチックだけど、ちょっぴり怖くて蠱惑的。そんなフォークロアを引き受けながら、みずからの表現を模索する旅に出よう。


[もくじ]
はじめに

[フォークロアの三つの顔]
  ノスタルジア(郷愁)―フォークロアはなぜ懐かしいか
  ファンタジー(幻想)―フォークロアはなぜちょっと怖いか 
  フォーク・カルチャー(民俗文化)―フォークロアからどう生活を理解するか 

[わたしたちのなかのフォークロア]
  人体模型に見る身体観
  意匠の日本らしさ・地域らしさ
  自文化を探求し実践する
  生活を取り巻く道具ともの
  怪異とフォークロアの文学
  大災害を伝承する文学
  概念をかたちにすることばと造形

[これからの時代のフォークロア]
  フォークロアはものに宿る
  誰にも開かれた問いと表現

あとがき
各章を深める一冊
各節の関連論文

著者プロフィール

加藤 幸治(カトウ コウジ)

1973年、静岡県浜松市生まれ。武蔵野美術大学教養文化・学芸員課程教授、東京大学教養学部非常勤講師。和歌山県立紀伊風土記の丘学芸員(民俗担当)、東北学院大学文学部歴史学科教授(同大学博物館学芸員兼任)を経て、2019年より現職。博士(文学)。専門は民俗学、博物館学。
近著に『民俗学 ヴァナキュラー編―人と出会い、問いを立てる』(武蔵野美術大学出版局、2021年)、『津波とクジラとペンギンと―東日本大震災10年、牡鹿半島・鮎川の地域文化』(社会評論社、2021年)、『渋沢敬三とアチック・ミューゼアム―知の共鳴が創り上げた人文学の理想郷』(勉誠出版、2020年)、『文化遺産シェア時代―価値を深掘る〝ずらし〟の視角』(社会評論社、2018年)、『復興キュレーション―語りのオーナーシップで作り伝える〝くじらまち〟』(社会評論社、2017年)ほかがある。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに 
フォークロアのイメージ/螺旋構造としての三つの顔/フォークロア思考のレッスン

[フォークロアの三つの顔]
 ノスタルジア(郷愁)―フォークロアはなぜ懐かしいか
   フォークロアと仮構の故郷
   懐かしさはどこからやってきたか
   平原の理想郷
   民話採集の地としての理想郷
   昔話研究へとつながる神話の理想郷
   民衆に宿る文化の発見
   ノスタルジック・ナショナリズム

ファンタジー(幻想)―フォークロアはなぜちょっと怖いか
   感情の発露と想像の自由
   ロマン主義を生み出した近代
   芸術におけるロマン主義
   フォークロアのゴシック的イメージ
   フォークロアの魔力

フォーク・カルチャー(民俗文化)―フォークロアからどう生活を理解するか
   現代に息づく文化の伝統
   民俗誌的に地域を見る
   ムラを生きる空間・時間
   社会科学的な合理性と文学の心

[わたしたちのなかのフォークロア]
人体模型に見る身体観
   生きる活力の表現
   痕跡から銅人形を検討する
   銅人形のたどった「人生」
   江戸庶民の医学観
   人体の模倣と偶像
   不気味の谷
   フォークロア思考のレッスン(1)

意匠の日本らしさ・地域らしさ
   失いゆくなかで発見するもの
   日本三大漆器産地の黒江
   黒江塗における技術的特徴
   分業体制のなかの年中行事
   日本らしさを追求する職人たち
   名物をデザインする
   デザインされる郷土
   フェイクロア、フォークロリズム
   フォークロア思考のレッスン(2)

自文化を探求し実践する
   東北の造形文化の素朴さ
   郷土玩具の発見と旅
   版画で表現された雪国の文化
   勝平得之が描いた秋田の風景
   民俗学のアマチュアリズム
   フォークロア思考のレッスン(3)

生活を取り巻く道具ともの
   過去の生活の痕跡としての民具
   分類思考の近代性
   民俗文化財の分類
   分類の不可能性
   フォークアートの神話
   現代の民具
   フォークロア思考のレッスン(4)

怪異とフォークロアの文学
   山怪は生きたフォークロア
   「信じるも八卦、信じないも八卦」
   山の怪異小説としての『高野聖』
   『遠野物語』の世界観
   三島由紀夫の『遠野物語』評
   象徴主義的な幽霊との遭遇劇
   集めると見えてくる
   フォークロア思考のレッスン(5)

大災害を伝承する文学
   災害文学の古典
   災害経験の歴史を刻む
   「記録」と「文学」の狭間にあるもの
   ラフカディオ・ハーンのまなざし
   フォークロアを記述する
   災害経験は「伝える」ことができるか
   フォークロア思考のレッスン(6)

概念をかたちにすることばと造形
   ことばは認識を拡張する
   言外の意味とフォークロア
   人々の自然理解とことば   
   風という不思議な現象
   異界・異形の民俗と造形
   幻獣を描き継ぐ文化
   ムカデ絵馬の倍返し
   ことばの持つ想像力と創造性
   フォークロア思考のレッスン(7)

[これからの時代のフォークロア]
フォークロアはものに宿る
   ライフと表現
   他者のまなざしをみずからのものとする
   感情のコレクション
   新たなコレクション観

誰にも開かれた問いと表現
   誰のなかにもある誰かの物語
   文化継承とは新たに表現すること
   過去の文化の引き受け方
   研究や表現の自由と倫理
   開かれたアマチュアリズム

あとがき
各章を深める一冊
各節の関連論文


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