彫刻の教科書2
わからない彫刻 みる編
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-86463-162-4 C3071
奥付の初版発行年月:2024年03月 / 発売日:2024年03月下旬
さまざまな立場で彫刻に携わる24人の著者が
体験に基づいたリアルな言葉で彫刻をめぐる思考を綴る。
彫刻がいかに「わからない」もの=多様であるかを理解し、
「彫刻とは何か」を考える出発点となる一冊
多様な他ジャンルと交わりながら容易には捉えきれないほどの広がりをみせ、ときに「わからない」ものとされる現代の「彫刻」について、作家、ギャラリスト、学芸員、研究者、批評家、写真家、インストーラー等の多彩な著者が、「彫刻をみる」=「彫刻を展示する」「彫刻を記録する」「彫刻を考える」という面からそれぞれの視点で考察。武蔵野美術大学が『つくる編』に続いておくる『彫刻の教科書』第二弾。
【著者】
冨井大裕・藤井匡・山本一弥・長谷川さち・千葉由美子・三沢厚彦・森啓輔・戸田裕介・間瀬道夫・戸谷成雄・土方大・山本糾・峯村敏明・利部志穂・勝俣涼・林卓行・保井智貴・gnck・箕輪亜希子・三輪健仁・留守玲・木田拓也・小田原のどか・石崎尚
【もくじ】
はじめに:冨井大裕
概論:藤井 匡
彫刻をみる
彫刻を展示する
・ギャラリーでの発表:長谷川さち 千葉由美子
・美術館での発表:三沢厚彦 森 啓輔
・屋外彫刻展/シンポジウム:戸田裕介 藤井 匡
・パブリックアート/コミッションワーク:山本一弥 間瀬道夫
・展示技術:戸谷成雄 土方 大
彫刻を記録する
・写真家が見る彫刻:山本 糾
・批評家が見る彫刻:峯村敏明
彫刻を考える
・インスタレーションと彫刻:利部志穂 勝俣 涼
・レディ・メイドと彫刻:冨井大裕 林 卓行
・フィギュアと彫刻:保井智貴 gnck
・映像によって表現される彫刻:箕輪亜希子 三輪健仁
・置物と彫刻:留守 玲 木田拓也
・銅像と彫刻:小田原のどか 石崎 尚
おわりに:山本一弥
冨井 大裕(トミイ モトヒロ)
冨井大裕(とみい・もとひろ)
1973年新潟県生まれ。美術家。武蔵野美術大学教授(彫刻学科研究室)。99年武蔵野美術大学大学院修了。2015–16年文化庁新進芸術家海外研修制度研修員としてニューヨークに滞在。既製品に最小限の手を加えることで、それらを固定された意味から解放し、色や形をそなえた造形要素として「彫刻」の新たな可能性を模索する。個展、グループ展多数。主な収蔵先:東京都現代美術館、川崎市市民ミュージアム(近藤恵介との共作)、新潟市美術館、東京国立近代美術館、練馬区立美術館。実験スペース「壁ぎわ」「はしっこ」世話人。
藤井 匡(フジイ タダス)
藤井 匡(ふじい・ただす)
1970年山口県生まれ。東京造形大学教授。九州大学文学部卒業。95年から2007年まで宇部市役所学芸員として「現代日本彫刻展」ほかの展覧会を担当。後にフリーランスとして、東京や大阪での展覧会や、日本各地でのアート・プロジェクトに携わる。単著に『現代彫刻の方法』(美学出版)、『公共空間の美術』『風景彫刻』『眞板雅文の彫刻=写真』『ミニマリズム後の人間彫刻』(いずれも阿部出版)。共著に『よみがえるレオナルド・ダ・ヴィンチ』(東京美術)、『ぺらぺらの彫刻』(武蔵野美術大学出版局)など。
山本 一弥(ヤマモト カズヤ)
山本一弥(やまもと・かずや)
1978年高知県生まれ。彫刻家。武蔵野美術大学教授(共通彫塑研究室)。武蔵野美術大学大学院修了。αMプロジェクト2006、中京大学アートギャラリーC・スクエアなどで個展の他、「光陰―ひかり、かげ、とき―」岡崎市美術博物館、「ダブルリフレクション 世界を見つめなおす瞬間」富山市ガラス美術館などのグループ展に参加。主なコミッションワーク:スカパー東京メディアセンター、飯野ビルディング、JPタワー名古屋、横浜野村ビル、ホテルオーレインなど。
目次
はじめに 冨井大裕
概論 「もう一度、なぜ〈わからない彫刻〉か」藤井匡
彫刻をみる
彫刻を展示する
ギャラリーでの発表:ギャラリーでの3つの展覧会 長谷川さち
ギャラリーでなぜ彫刻を見せるのか 千葉由美子
美術館での発表:美術館の空間には個性がある 三沢厚彦
美術館と彫刻──千葉市美術館での3つの展示を事例に 森啓輔
屋外彫刻展/シンポジウム:彫刻シンポジウムと屋外彫刻展 戸田裕介
屋外彫刻のこれまでとこれから 藤井匡
パブリックアート/コミッションワーク:彫刻のコミッションワーク 山本一弥
コミッションワークこころえ 間瀬道夫
展示技術:物体が空間をつくり出す 戸谷成雄
段取り八分仕事二分 土方大
彫刻を記録する
写真家がみる彫刻:写真は現実の再現ではない 山本糾
批評家がみる彫刻:作家ではなく作品を批評する 峯村敏明
彫刻を考える
インスタレーションと彫刻:「立つ」を考える──新たな構造 利部志穂
揺らぐ彫刻とインスタレーション 勝俣涼
レディ・メイドと彫刻:私のレディ・メイド 冨井大裕
既製品、拾得物、日用品
──〈レディメイド〉あるいは「できあがった彫刻」たち 林卓行
フィギュアと彫刻:空間のための人物像 保井智貴
彫刻の周縁、立体造形の肥沃 gnck
映像によって表現される彫刻:映像との対話、いくつかの断片について 箕輪亜希子
「彫刻的映像」と「彫刻/映像」 三輪健仁
置物と彫刻:複雑な拮抗 留守玲
置物の再生──彫刻と工芸のはざま 木田拓也
銅像と彫刻:「彫刻のわからなさ」から「わからない彫刻」を考える:銅像編 小田原のどか
どうぞうの周縁 石崎尚
おわりに 山本一弥