母語をなくさない日本語教育は可能か 定住二世児の二言語能力
価格:6,160円 (消費税:560円)
ISBN978-4-87259-617-5 C3037
奥付の初版発行年月:2019年02月 / 発売日:2019年03月中旬
日本語が母語ではない子どもたちにとって、母語の存在は、言語学習の側面のみならず、自尊感情やアイデンティティ、親子関係にも大きく影響する。中国ルーツの子どもの多い小学校、ベトナムルーツの児童が少数在籍する小学校で行われてきた母語と日本語の二言語教育の実績から、日本語が母語ではない子どもたちへの「何もなくさない」全人的な教育に対する姿勢や環境整備のあり方を提示する。
真嶋 潤子(マジマ ジュンコ)
大阪大学大学院言語文化研究科日本語・日本文化専攻 教授
主な著作:『南山大学地域研究センター共同研究シリーズ10 ことばを教える・ことばを学ぶ ―複言語・複文化・ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)と言語教育―』(2018、行路社、共著)、『日本語学 入門:第二言語習得研究』( 2015、明治書院、共著)、『日本と諸外国の言語教育におけるCan-Do 評価― ヨーロッパ言語共通参照枠( CEFR )の適用―』(2010、朝日出版社、共著)、『大阪外国語大学学術研究双書18 Learner Differences and Japanese Language Education: A Study of Field Dependence/Independence Cognitive Styles and Japanese Language Learning』(1998、大阪外国語大学学術出版委員会)ほか。
櫻井 千穂(サクライ チホ)
同志社大学日本語日本文化教育センター准教授
中島 和子(ナカジマ カズコ)
トロント大学(カナダ)名誉教授
乌日嘎(ウリガ)
太原理工大学(中国)外国語学院副教授
孫 成志(ソン セイシ)
大連理工大学(中国)外国語学院副院長、副教授
友沢 昭江(トモザワ アキエ)
桃山学院大学国際教養学部教授
于 濤(ユ タオ)
大阪府八尾市立小学校教諭
清水 政明(シミズ マサアキ)
大阪大学大学院言語文化研究科准教授
近藤 美佳(コンドウ ミカ)
大阪大学外国語学部非常勤講師
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに
第1部: 総論
第1章 本書の目的と研究概要
第2章 日本国内と大阪の外国人児童生徒の言語教育(母語と日本語)の現状
第3章 定住二世児の継承語と日本語の関係とその評価
第4章 中国語版対話型読書力アセスメントの開発
第2部: 「しんどい」集住地区の子どもたち
第5章 日本語が母語ではない子どもの二言語能力
5-1 集住地域の中国ルーツ児童の複数言語能力の関係について−大阪府下の公立小学校での調査研究より−
5-2 ダブル・リミテッド状態が疑われた中国ルーツ児童Kの二言語とアイデンティティの発達
5-3 公立小学校における低学年CLD児 への言語教育と二言語能力―中国語母語話者児童への縦断研究より―
5-4 6年生になったCLD児自身の当事者意識
第6章 保護者への家庭言語環境調査から見える子どもの二言語能力
第7章 集住地区にある公立小学校の言葉の指導と工夫
第3部 少数点在地区の子ども
第8章 公立小学校における少数点在児童への継承語指導の取り組み
第4部 いわゆるエリート層の保護者と子どもの教育戦略
第9章 日本で多言語環境を生かしてマルチリンガル人材に育った大学生の成功要因 −国立大学で中国語を専攻する中国ルーツの5名の事例研究より−
資料I
資料II
文献リスト