阪大リーブル73
スポーツで蒔く平和の種 紛争・難民・平和構築
価格:1,980円 (消費税:180円)
ISBN978-4-87259-641-0 C1336
奥付の初版発行年月:2020年12月 / 発売日:2020年12月上旬
複雑化した近年の紛争への対処として、国際社会が行う様々な試みの中で、いま有効な手段の一つとして、「スポーツを通じた平和構築」が注目されている。コソボ、カンボジア、東ティモール、南スーダンなど、様々な国と地域で活動に携わってきた著者が、紛争、停戦、復興、開発へと移行する諸段階における「スポーツ」の意味や位置づけを探るとともに、紛争から開発の段階ごとにその期待された役割の違いを浮かび上がらせる。東京オリンピック開催を控えたわが国において、「スポーツ」への関心が高まる中、「スポーツ」と「社会貢献」「国際協力」「平和構築」を結びつけ、スポーツが多様な平和に貢献する可能性を有することを示す。
岡田千あき(オカダ チアキ)
大阪大学大学院人間科学研究科・准教授。
青年海外協力隊(ジンバブエ)、大阪外国語大学外国語学部助手、講師、准教授を経
て現職。神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。
主たる研究分野は、スポーツを通じた開発と平和、生涯スポーツ、スポーツ教育学。
国際協力論文コンテストにおいて外務大臣奨励賞、昭和池田財団より昭和池田優秀
賞、日本運動・スポーツ科学学会より優秀発表賞、優秀論文賞を受賞。
長谷一宏(ナガタニ カズヒロ)
1987年東京都生まれ。IT 業界企業にてコンサルタント。
大阪大学大学院博士前期課程修了。修士(人間科学)。
物流業界企業、青年海外協力隊員(ウガンダ)を経て現職。
加朱 将也(カシュ マサヤ)
1987 年滋賀県生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程。滋賀県立八日
市高等学校保健体育科教諭。日本ラグビーフットボール協会国際貢献部門員。
青年海外協力隊員(エチオピア)として現地の中高校で活動、滋賀県日野町立桜谷
小学校勤務、ヨルダンにあるザータリ(シリア)難民キャンプの国際NGO(教育施
設)で活動、国連UNHCR 協会ファンドレーザー、滋賀県立大学実習助手を経て現
職。テレビ東京「地球VOCE」出演。JICA 国際協力機構理事長賞、日本運動スポー
ツ科学学会賞(オーラル賞)受賞。
奥野 輔(オクノ タスク)
1989年兵庫県生まれ。IT エンジニア。
大阪大学大学院基礎工学研究科で修士(工学)、人間科学研究科で修士(人間科学)
を取得。NPO 法人Little Bridge のスタッフとして、ボスニア・ヘルツェゴビナのス
ポーツアカデミー「mali most」の運営に関わった。
目次
はじめに
第1章 スポーツを通じた平和構築
1 スポーツに何ができるのか?
2 開発とは何か
3 平和とは何か
4 平和のためのスポーツ
5 SDPの課題
第2章 平和の本質を考える:南スーダン
1 南スーダンで起こっていること
2 スポーツを通じた平和構築
3 National Unity Day
4 スポーツの中の平和、スポーツの周縁での平和
第3章 難民の生活に寄り添う:シリア
1 人を知り、現実を知る
2 難民になったシリア人
3 青年たちの課題とスポーツを通じた教育活動
4 援助者が行うスポーツ教育
5 難民の生活とともにあるスポーツ
6 私たちの問題として
第4章 民族の壁を越える:ボスニア・ヘルツェゴビナ
1 スポーツを通じた民族の和解
2 ボスニア・ヘルツェゴビナと民族紛争
3 残された民族の分断と和解への試み
4 スポーツアカデミー「マリモスト」の設立
5 フィールドからみたモスタル市とマリモスト
6 マリモストの運営と評価
7 人と人の架け橋へ
第5章 生活の形を創る:カンボジア
1 二〇一九年、カンボジア
2 ホームレスワールドカップとHappy Football Cambodia Australia(HFCA )
3 HFCAに参加する青少年たち
4 HFCAの成果、ホームレスワールドカップの成果
5 社会の発展に呼応するスポーツ
6 復興―開発の流れの中でのスポーツ
おわりに
参考文献