近現代東アジアの地域秩序と日本
価格:6,600円 (消費税:600円)
ISBN978-4-87259-699-1 C3020
奥付の初版発行年月:2020年02月 / 発売日:2020年03月上旬
グローバル化が進む現代において、経済や人的交流の面で相互依存が深まる一方で、安全保障・経済問題や価値観をめぐる対立は激しさを増している。本書は日米中の政治史を専門とする研究者が、20世紀の東アジアにおいて、各国の動向が交錯しつつ形成されてきたアジア秩序構想の歴史的生成およびその諸相を論じる。政治経済・軍事安全保障・価値観が複合的に作用する現代の問題にいかに対峙すべきか、歴史的見地から検討する。
瀧口 剛(タキグチ ツヨシ)
大阪大学大学院法学研究科教授。専門は日本政治史、主な著作は、「戦後日本のアジア主義論」田中仁編『21 世紀の東アジアと歴史問題』(法律文化社、2017 年)、「満州事変後における自由通商運動の軌跡―「大東亜共栄圏」への道」(甲南法学、第57 巻第3・4号、2017 年)、「平生釟三郎と政財界」安西敏三編『現代日本と平生釟三郎』(晃洋書房、2015 年)。
醍醐 龍馬(ダイゴ リュウマ)
小樽商科大学商学部准教授、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター客員准教授。専門は日本政治外交史、日露関係史。主な著作は、「戊辰戦争期日露関係と樺太―雑居地をめぐる植民競争」(東アジア近代史23 号、2019 年)、「外務卿副島種臣と日露領土交渉―樺太千島交換条約への道筋」(国際政治191 号、2018 年)、『異郷に生きるⅥ―来日ロシア人の足跡』(共著、成文社、2016 年)。
片山 慶隆(カタヤマ ヨシタカ)
関西外国語大学英語国際学部准教授。専門は、日本近代史。主な著作は、『日露戦争と新聞―「世界の中の日本」をどう論じたか』(講談社選書メチエ、2009 年)、『小村寿太郎―近代日本外交の体現者』(中公新書、2011 年)、『近代日本メディア人物誌―ジャーナリスト編』(共著、ミネルヴァ書房、2018 年)。
久野 洋(ヒサノ ヨウ)
日本学術振興会特別研究員PD。専門は、日本近代史。主な著作は、「明治中期における進歩党系勢力の地域的基盤―犬養毅の選挙地盤を中心に」(日本史研究621 号、2014 年)、「地域政党鶴鳴会の成立―明治期地方政治史研究の一視角」(史学雑誌125 編7 号、2016年)、「立憲国民党の成立―犬養毅と坂本金弥の動向を中心に」(史学雑誌第126 編12 号、
2017 年)。
久保田 裕次(クボタ ユウジ)
国士舘大学文学部専任講師。専門は、日本近現代史。主な著作は、『対中借款の政治経済史―「開発」から二十一ヵ条要求へ』(名古屋大学出版会、2016 年)、「満蒙政策と政友会―大正期における野田卯太郎と山本条太郎」(日本史研究666 号、2018 年)、「第一次世界大戦期の勝田主計―正貨問題・「日支親善」・戦後構想」(東アジア近代史22 号、2018 年)。
中谷 直司(ナカタニ タダシ)
帝京大学文学部社会学科准教授。専門は、日本外交史・国際関係史。主な著作は、『強いアメリカと弱いアメリカの狭間で─第一次世界大戦後の東アジア秩序をめぐる日米英関係』(千倉書房、2016 年)、The Decade of the Great War : Japan and the Wider World in the 1910s(共著、Brill1 Academic Publishers, 2014)、『日中戦争はなぜ起きたのか─近代化をめぐる共鳴と衝突』(共著、中央公論新社、2018 年)。
小野 博司(オノ ヒロシ)
神戸大学大学院法学研究科准教授。専門は、日本法制史。主な著作は、『マグナ・カルタの800 年』(共著、関西学院大学出版会、2019 年)、『概説日本法制史』(分担執筆、弘文堂、2018 年)、『戦時体制と法学者1931~1952』(共編著、国際書院、2016 年)。
鄒 燦(スウ サン)
大阪大学大学院国際公共政策研究科助教。専門は、近代日中関係史、日中戦争史。主な著作は、『盧溝橋事件記念日をめぐる日本と中国―政治的語りに見る日中戦争像の比較研究』(大阪大学出版会、2018 年)、「盧溝橋事件とその後の中国共産党―対国民党政策の展開と抗日を中心に」(『現代中国研究』第32 号、2013 年)。
矢嶋 光(ヤジマ アキラ)
名城大学法学部准教授。専門は、日本政治外交史。主な著作は、『芦田均と日本外交―連盟外交から日米同盟へ』(吉川弘文館、2019 年)、「外務省連盟派とその政策―戦前外交官のキャリアパスと「機関哲学」の形成と継承」(名城法学68 巻1 号、2018 年)。
高橋 慶吉(タカハシ ケイキチ)
大阪大学大学院法学研究科准教授。専門は、アメリカ外交史。主な著作は、『21 世紀の東アジアと歴史問題』(共著、法律文化社、2017 年)、『米国と戦後東アジア秩序―中国大国化構想の挫折』(有斐閣、2019 年)
野間 俊希(ノマ トシキ)
国立国会図書館職員。専門は、日本政治外交史。
田中 仁(タナカ ヒトシ)
中国・南開大学講座教授(大阪大学大学院法学研究科教授)。専門は、中国政治史、20世紀中国政治。主な著作は、Historical Narratives of East Asia in the 21st Century :Overcoming the Politics of National Identity(編著、Routledge, 2020)、「現代中国政治の転換と華国鋒―『毛沢東選集』第五巻の資料的考察」(石川禎浩編『毛沢東に関する人文学的研究』、京都大学人文科学研究所附属現代中国研究センター、2020 年)、「華国鋒研究の概況と展望」(『史学研究』305 号2020 年)。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに 瀧口剛
Ⅰ 帝国化する日本とアジア地域秩序構想――明治から大正へ
第一章 明治初期外交官による東アジア政策構想―駐露公使榎本武揚の「北守南進」論―
醍醐龍馬
第二章 対外硬派のアジア認識―鈴木天眼の思想と行動―
片山慶隆
第三章 犬養毅の対外論―日清戦後を中心に―
久野洋
Ⅱ 国際主義とアジア地域主義の相克――大正から昭和戦前期へ
第四章 第一次世界大戦期の対華国際借款団をめぐる日英関係
久保田裕次
第五章 満洲事変とワシントン体制―二つの国際協調の終焉―
中谷直司
第六章 大阪財界と戦時・大東亜共栄圏への道―栗本勇之助と政治経済研究会―
瀧口剛
第七章 満洲国親属継承法と林鳳麟
小野博司
第八章 日本統治下の台湾における日中戦争観―総督府の戦争記念活動を中心とした考察―
鄒燦
Ⅲ 冷戦とアジア地域構想――昭和戦後期から現代へ
第九章 戦間期「新外交」論者と戦後冷戦秩序―芦田均の積極的再軍備論―
矢嶋光
第十章 F・D・ローズヴェルトの戦後アジア構想―中国大国化の条件―
高橋慶吉
第十一章 日韓国交正常化交渉(一九五一~一九六〇)と日本外務省の対北朝鮮外交方針―在北朝鮮日本財産処理方針の分析を通じて―
野間俊希
第十二章 現代中国政治における「毛沢東思想」の再定義と日中関係―月刊誌『中国研究』に見る同時代の語り―
田中仁
索引
執筆者紹介