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体言化理論と言語分析

体言化理論と言語分析

A5判 574ページ 上製
価格:9,900円 (消費税:900円)
ISBN978-4-87259-715-8 C3080
奥付の初版発行年月:2021年02月 / 発売日:2021年03月上旬
発行:大阪大学出版会  
発売:大阪大学出版会
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内容紹介

認知言語学を含む機能主義言語学の新展開の具体例として、新しい体言化理論を取り上げ、それが従来からの根本的な課題といかに立ち向かい、解決に導くかを各種言語の再分析という形で示した画期的論文集。メトニミーという認知作用を基盤に、名詞ならびにそれに準じる文法構造「準体言」を派生する体言化(nominalization)現象は、語やフレーズといった統語単位の認知的動機づけ、およびそれらの文法とその運用による談話機能の解明を促し、体言類の文法ばかりでなく、「節」や「文」などの基本概念の明確化にも寄与するものである。本書は、世界の地域や系統を異にする多数の言語・言語グループについて、語の派生と構文、特に関係節、その他の埋め込み構文などとの関連性を対象に、 伝統文法・生成文法・言語類型論では個別的に取り扱われてきた現象が新体言化理論によっていかに統一的にまとめ上げられるのかを実証したものである。
This volume, including four articles written in English, is an overdue response to an earlier call by the philosopher of language Zeno Venlder that “the grammar of nominalizations is a centrally important part of linguistic theory”. Based on a new theory of grammatical nominalizations, the volume, comprising 11 chapters, presents refreshingly new analyses of a wide range of phenomena including relative clauses and other subordinate clauses, classifiers and gender, as well as historical developments of nominalization markers in Indo-European languages (Sanskrit, Hindi, German), Japanese and Korean, Formosan languages, Yup’ik Eskimo, Swahili and Gã from Africa, and a variety of other Asian and Amazonian languages of South America. Couched in the functional typological framework, these studies showcase advancement in Functional Linguistics.

著者プロフィール

鄭聖汝(チョン ソンヨウ)

神戸大学大学院文化学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。日本学術振興会外国人特別研究員を経て、大阪大学大学院文学研究科講師。

柴谷方良(シバタニ マサヨシ)

カリフォルニア大学(バークレー校)卒、同大学院博士課程修了。Ph.D. 南カリフォルニア大学助教授、准教授、神戸大学教授を経て、神戸大学名誉教授・ライス大学言語学部教授。

堂山英次郎(ドウヤマエイジロウ)

大阪外国語大学卒、東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。京都大学人文科学研究所助手、大阪大学大学院文学研究科講師、准教授を経て、同大学院教授。

西岡美樹(ニシオカミキ)

大阪外国語大学言語社会研究科博士後期課程修了。博士(言語文化学)。大阪外国語大学講師、大阪大学世界言語研究センター講師、大阪大学大学院言語文化研究科講師を経て、同大学院准教授。

Rajesh Kumar(ラジェーシュ クマール)

イリノイ大学(アーバナ・シャンペーン校)大学院博士課程修了。Ph.D. テキサス大学(オースティン校)講師、インド工科大学(カンプール校、パトナ校)助教、インド工科大学人文社会学研究科マドラス校助教、准教授を経て、同大学教授。

Akua Campbell(エクア キャンベル)

ガーナ大学卒、ライス大学大学院言語学部博士課程修了。Ph.D. ガーナ大学言語学科講師。

Haowen Jiang(ハオウェン ジエン)

国立台湾大学(外国語文学系)卒。国立台湾大学大学院(言語学研究所)。修士号、ライス大学大学院言語学部博士課程修了。MA. Ph.D. 北京大学(中国語言文学学科)博士研究員を経て、独立研究者。

田村幸誠(タムラユキシゲ)

神戸市外国語大学(英米学科)卒、大阪大学大学院文学研究科博士課程前期・後期課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員、フルブライト研究員(ライス大学)、滋賀大学教育学部講師・准教授を経て、大阪大学大学院言語文化研究科准教授。

米田信子(ヨネダノブコ)

東京外国語大学大学院博士後期課程修了。博士(学術)。大阪女学院大学・短期大学准教授、教授、大阪大学世界言語研究センター准教授、教授を経て、同大学大学院言語文化研究科教授。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はしがき

1 ヴェーダ(サンスクリット)語の名詞と体言化構造
—体言化理論からの視点—(堂山英次郎)

1.はじめに
2.ヴェーダ語の名詞類
3.ヴェーダ語の名詞と動詞
4.「従属節」と体言化
5.おわりに

2 ヒンディー語の名詞修飾構造と機能について
—体言化理論からの考察—(西岡美樹、Rajesh Kumar)

1.はじめに
2.先行研究と体言化理論
3.文法的体言化─項体言化編
4.文法的体言化─事態体言化編
5.ヒンディー語の名詞修飾構造とその機能
6.おわりに

3 German relative clauses in nominalization perspective
(Masayoshi Shibatani)

1.Introduction
2.German relative clauses: The problems
3.The nominalization perspective
4.German relative clauses in nominalization perspective
5.Summary and conclusion

4 体言化と名詞句用法標識の関係
—歴史的発達の観点から見た日本語の「の」と韓国語kesの比較を通して—(鄭聖汝)

1.はじめに
2.文法的体言化と両言語を取り巻く理論的・歴史的問題
3.先行研究における扱い方とその問題点
4.体言化辞と名詞句用法標識の区別
5.歴史的発達から見た日本語の二種類の「の」
6.現代韓国語に対する新しい分析
7.韓国語における準体言の歴史的発達
8.おわりに

5 韓国語の体言基盤体言化
—いわゆる属格-s の修飾用法と名詞句用法について—(鄭聖汝)

1.はじめに
2.-sの二用法と従来の考え方の問題点と限界
3.新しい体言化理論と体言基盤体言化
4.現代韓国語における-sをもつ複合名詞
5.名詞句用法の-s
6.様々なレベルの準体言とその内部構造
7.おわりに

6 Argument nominalization in Formosan languages:
A functional-typological approach

(Haowen Jiang )

1.Introduction
2.Grammatical features
3.Key issues of argument nominalization in Formosan languages
4.Conclusion

7 Taking functions seriously: Grammatical nominalization in Budai
Rukai revisited

(Haowen Jiang)

1.Introduction
2.Grammatical architecture
3.Argument nominalization
4.Event/result nominalization
5.Conclusion

8 中央アラスカ・ユピック語からみた体言化理論
(田村幸誠)

1.はじめに
2.体言化理論の要点
3.体言化理論からみた中央アラスカ・ユピック語
4.おわりに

9 Grammatical nominalizations in Gã
(Akua Campbell)

1.Introduction
2.The Gã language
3.Clauses and nominalizations
4.Verbal-based argument nominalizations in Gã
5.Nominal-based nominalizations in Gã
6.Conclusion

10 スワヒリ語における「関係節」と体言化
(米田信子)

1.はじめに
2.スワヒリ語における文法一致と2 種類の関係節
3.体言化の視点から
4.考察
5.おわりに

11 連体修飾の文法
—類別詞と文法性を中心に—(柴谷方良)

1.はじめに
2.出発点
3.類別詞と文法性をめぐって
4.性標示・類別詞の体言化機能
5.文法性・類別詞の体言化分析が意味すること
6.残された課題
7.おわりに

索引
執筆者紹介


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