シリーズ臨床哲学第5巻
哲学対話と教育
価格:2,530円 (消費税:230円)
ISBN978-4-87259-727-1 C3010
奥付の初版発行年月:2021年02月 / 発売日:2021年02月下旬
人が学び成長する場をひらく、哲学対話――。判断がつかないこと、悩んでいること、そしてそれに対処する術を知らないことを認めることから始め、それに向き合いつつ考え続けること、考えるための対話の場を開き続けること、それが臨床哲学です――
哲学対話は、未知の状況に対応できる力を身に着けるための「主体的・対話的で深い学び」を実現する。問いをめぐって自由に発言し、よく聴きあいながら共に考えていく経験こそ、すべての学びにつながる主体的・対話的な「構え」をつくる。日本各地の学校、専門職教育、社会教育、企業研修、地域づくりの場で実践されてきた記録とともにその意味と方法を考え直し、哲学対話の未来を構想する。
寺田俊郎(テラダトシロウ)
1962(昭和37)年広島県生まれ。洛星中学・高等学校教諭を経て、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。上智大学文学部哲学科教授。実践哲学の研究・教育の傍ら、街中、学校、企業での哲学実践に取り組む。
著書として『どうすれば戦争はなくなるのか―カント『永遠平和のために』を読む』(現代書館)、共編著として『グローバル化時代の人権のために』(上智大学出版会)、共著として『哲学カフェのつくりかた』(大阪大学出版会)など。
小川泰治(オガワタイジ)
1989(平成元)年兵庫県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課
程単位取得退学。宇部工業高等専門学校一般科講師。NPO 法人こども哲学・おとな哲学アーダコーダ理事。上智大学在学中に哲学対話に触れて以降、各地で学校教育における哲学対話の実践やサポートに関わっている。
共著に『ゼロからはじめる哲学対話― 哲学プラクティス・ハンドブック』(ひつじ書房)、『こども哲学ハンドブック― 自由に考え、自由に話す場のつくり方』(アルパカ)。
中川雅道(ナカガワマサミチ)
1986(昭和61)年京都府生まれ。大阪大学大学院文学研究科後期課程修了。神戸大学附属中等教育学校教諭。
哲学カフェをたまに開催しながら、勤め先の神戸大学附属中等教育学校の授業で「子どもの哲学」を実践している。
藤本啓子(フジモトケイコ)
1952(昭和27)年広島県生まれ。神戸大学大学院文化学研究科博士後期課程単位取得退学。兵庫県立須磨友が丘高校非常勤講師(臨床哲学)、ウェル・リビングを考える会代表、カフェフィロ会員。哲学カフェ、メ
ディカルカフェのほか、高校での哲学対話の授業、医療・福祉をテーマとした哲学対話ワークショップに取り組む。
著書として『いのちをつなぐファミリー・リビングウィル』(木星舎)、共著として『福祉・医療用語辞典』(創元社)、『生きるを考える』(日本看護協会出版会)、『哲学カフェのつくりかた』(大阪大学出版会)。
渡邊美千代(ワタナベミチヨ)
1958(昭和33 )年名古屋市生まれ。2009(平成21 )年逝去。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。愛知医科大学教授。メルロ=ポンティから多くの影響を受けて、看護実践経験をもとにケア論を研究した。
博士論文『身体とケアの看護現象学―ケアの〈あいだ〉に見えること・見えないこと』。論文として「看護における現象学の活用とその動向」『看護研究』37 巻5号(共著、2004年)、「「食べる/食べない」人のケアを考える」『臨床哲学』4 巻(共著、2002 年)など。
鈴木径一郎(スズキケイイチロウ)
1982(昭和57)年大阪府生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。大阪大学共創機構・CO デザインセンター特任助教。
アントレプレナーシップ養成の傍ら、地域での哲学対話実践や人文科学の研究成果の演劇化などにも取り組む。演出作品として、『朗読劇「ディブック」― 二つの世界のはざまで』(2016 年・東京・シアターΧ)[文部科学
省 科学研究費・基礎研究( B )『ユダヤ自治』再考―アシュケナージ文化圏の自律的特性に関する学際的研究による]など。
辻明典(ツジアキノリ)
1987(昭和62)年福島県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士前期課程修了。福島県公立学校教員。てつがくカフェ@せんだいスタッフ。
2012年から「てつがくカフェ@南相馬」を始め、原発事故の被災地における哲学対話を継続中。共著に『哲学カフェのつくりかた』。
川崎唯史(カワサキタダシ)
1989(平成元)年兵庫県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。熊本大学大学院生命科学研究部助教。
共編書として『フェミニスト現象学入門―経験から「普通」を問い直す』(ナカニシヤ出版)。
堀越耀介(ホリコシヨウスケ)
1991(平成3 )年東京都生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。東京大学大学院教育学研究科博士後期課程/日本学術振興会特別研究員( DC2 )。
上智大学グローバル・コンサーン研究所客員所員として哲学カフェを開催するほか、東京都立大山高校・奥多摩高校外部講師として哲学対話を担当。
田代伶奈(タシロレイナ)
1989(平成1 )年ドイツ生まれ。上智大学大学院哲学研究科博士前期課程修了。私立明星学園中学校「総合探究科 哲学対話」非常勤講師。
自由大学で哲学対話の講座キュレーションや社会人向けの哲学コミュニティ「Questions without Answers」を主催。
今井祐里(イマイユリ)
1993(平成5 )年埼玉県生まれ。上智大学大学院哲学研究科博士前期課程修了。
自由大学で哲学対話の講座キュレーションや社会人向けの哲学コミュニティ「Questions without Answers 」を主催。人々が協同して問い、考え続けるための場づくりやチームメイク、ワークショップ企画が専門。
永井玲衣(ナガイレイ)
1991(平成3 )年東京都生まれ。上智大学文学研究科哲学専攻博士後期課程。立教大学兼任講師。
哲学研究と並行して、学校・企業・寺社・美術館・自治体などで哲学対話を幅広く行っている。「コアトークカフェ」運営、「京都洛北哲学カフェ」共同代表。
古賀裕也(コガユウヤ)
1978(昭和53 )年福岡県生まれ。九州大学人文科学府人文基礎専攻修了、上智大学文学部哲学研究科博士前期課程修了。高校倫理非常勤講師を経て、現在かえつ有明中・高等学校社会科主任。
主に学校・カフェ・寺社などで対話の場づくりを試みてきた。「コアトークカフェ」運営、「京都洛北哲学カフェ」共同代表。
堀静香(ホリシズカ)
1989(平成元)年神奈川県生まれ。上智大学文学部哲学科卒業。慶進中学高等学校国語科非常勤講師。
小説等授業で扱った教材をもとに哲学対話を実践している。
中岡成文(ナカオカナリフミ)
1950(昭和25)年山口県生まれ。京都大学哲学科で学んだのち、大阪大学大学院教授などを歴任し、現在は郷里の岩国市に住む。市民とともに学ぶ「中之島哲学広場」、がん患者・家族との哲学対話(おんころカフェ)にかかわるほか、英語による哲学カフェで進行役を務める。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
監修者のことば
はじめに
序 章 教育における哲学対話の発祥と展開
第1部 学校での哲学対話
第1章 持続可能な発展のための教育と哲学対話―幸ケ谷小学校
コラム 哲学対話の「学校化」に抗う―中学校での哲学対話
第2章 実感のある問いを、生きた言葉で―小石川中等教育学校
第3章 まるで祈るように、話しつづける―神戸大学附属中等教育学校
第4章 今日は何をするの?―須磨友が丘高等学校
コラム 放課後のきらめき―都立高校での哲学対話
第5章 専門教育でも、教養教育でも、課外活動でも―大学での哲学対話
第6章 看護教育における哲学カフェとソクラティク・ダイアローグの試み
第2部 哲学対話の広がり
第7章 ビジネス・パーソンと哲学する―企業での哲学対話
コラム Philosophy for Adults―問いを持って暮らし、働くための哲学対話
第8章 いつから楽になったのだろうか?―地域包括支援センターでの哲学カフェ
第9章 原発禍の町で問う
第10章 哲学対話とマジョリティ/マイノリティ―哲学カフェin とよなか国際交流センター
コラム 問いに集うということ―まちづくりと哲学対話
第3部 哲学対話と教育
第11章 それでも哲学対話を教育に生かす
第12章 そういえば、結局のところ、対話するってどんなことだろう?
終 章 往復書簡
コラム 高校公民科「倫理」と「哲学対話」の異次元的邂逅
コラム たったひとりに出会うこと― 国語科における哲学対話の実践から
おわりに