駐日スイス公使が見た第二次世界大戦 カミーユ・ゴルジェの日記
価格:7,700円 (消費税:700円)
ISBN978-4-87259-769-1 C0021
奥付の初版発行年月:2023年03月 / 発売日:2023年04月中旬
日本に魅了された中立国スイス公使が背負う「利益保護国」の使命と、大日本帝国の行方 ―――
第二次世界大戦中に駐日スイス公使として日本に駐在したカミーユ・ゴルジェが残した日記の全編日本語訳と解説。本邦初公開。
外交官であり、また文芸作品や法律書の文筆家でもあったカミーユ・ゴルジェは、駐日スイス公使としての執務の傍ら、第二次世界大戦中の日本の姿をユニークな視点で記録してきた。日本に魅了されて来日したゴルジェが目撃したのは、変わり果てていく日本の姿だった。政府と外務省の関係・交渉の苦労、日本の貴族・エリートとの付き合い、憲兵隊と陸海軍からの暴力と差別、駐日スイスコミュニティ、東京空爆、広島と長崎への原爆投下、終戦をめぐって刻一刻と変わる政治状況など、1940年1月から1945年12月までの日々を率直な思いとともに日記という形で残し、知られざる大日本帝国の裏側を活写する。戦時中を日本で過ごしたスイス人による見聞録はいまだ公刊されておらず、中立国であるスイス人による証言は、歴史学・政治学的にも貴重な資料となる。
そして、このゴルジェの日記は果たして現代の日本にとってどのような意味を持つのか。日本在住のスイス人研究者ピエール=イヴ・ドンゼ(大阪大学)が、記憶のメカニズムに注目して、他国における歴史的経験を理解するためのアプローチとしての「日記」の意義を検討する。
ゴルジェ公使の日記を発掘したクロード・ハウザー(フリブール大学)による、日記が書かれた背景とともに、ゴルジェがどのような人物であったのか、そして戦争中の日本におけるスイス外交の役割と公使の仕事についての解説つき。
カミーユ・ゴルジェ(カミーユ ゴルジェ)
1893年にスイス生まれ。1916年ジュネーブ大学法学部卒業。連邦公務員(経済省、政治省)。
1924-1926年に法律顧問として日本外務省に派遣された。1939年まで、国際連盟をはじめとする国際機関や外交会議にスイス代表として参加し、特に活躍した。東京(1940-1945年)、
アンカラ(1946-1950年)、モスクワ(1950-1953年)、コペンハーゲン(1954-1957年)のスイス公使を歴任後、1957年に同公使館が大使館に格上げされた際に大使に就任した。法律
および文芸作品も執筆。
主要著作:La neutralité helvétique : son évolution politique et juridique des origines à la
Seconde guerre mondiale (Ed. polygraphiques, 1947) ほか多数。
ピエール=イヴ・ドンゼ(ピエール イヴ ドンゼ)
大阪大学大学院経済学研究科教授。ヌーシャテル大学人にてPhD in human sciences (history)
。専攻はグローバル経営史。
主要著作:『ラグジュアリー産業―急成長の秘密』(有斐閣、2022年)ほか多数。
クロード・ハウザー(クロード ハウザー)
フリブール大学文学部教授。フリブール大学文学部にてPhD in letters (history)。専攻は国際文化関係史、知識人文史。
主要著作:La Chine en partage. Ding Zuochao-Auguste Viatte. Une amitié intellectuelle au XXe siècle (Editions Alphil, 2018)ほか多数。
鈴木光子(スズキ ミツコ)
1938年東京生まれ。東京外国語大学フランス語科卒。
フランス郵船(MM)勤務ののち、スイス政府観光局次長として長年スイスに親しむ。
主な著書に、『世界歴史紀行─スイス』(読売新聞社1987年)、『スイス紀行』(クレオ1994
年)、『スイスアルプス花の旅』(講談社1995年)『スイスとっておきの旅便り』(JTB 出版
2001年)、『ジュネーブとレマン湖地方』(日経BP2001年)他。翻訳に『いとしのエラ』
(BOC 出版2009年)、『ピアニスト』、『さらばピカソ』(アルファベータ・ブックス、
2013/2017年)など。日本ペンクラブ、日本旅行作家協会会員。
目次
はじめに ピエール=イヴ・ドンゼ、クロード・ハウザー
イントロダクション 日出ずる国の崩壊 カミーユ・ゴルジェ
日記 ある証人の日記 カミーユ・ゴルジェ
1940年
1941年
1942年
1943年
1944年
1945年
おわりに ピエール=イヴ・ドンゼ、クロードハウザー
註
付録 テーマ別ノート
参考文献
人名一覧