顔をみること -表された顔をめぐる美術史・文化史的断章-
価格:2,420円 (消費税:220円)
ISBN978-4-87354-539-4 C3070
奥付の初版発行年月:2012年03月 / 発売日:2012年03月上旬
キリスト教教会などの境界域に見られるグリーンマン、ユトレヒト写本を中心とした初期中世写本、「我に触れるな」主題に関連するマグダラのマリアのイメージ、近代初期フランドル写本のクローズアップや、江戸期の狩野派や文人画の相貌表現など、洋の東西を問わず取りあげた、絵画や彫刻に表された顔をめぐる多面的考察。
目次
口絵
まえがき
第1章「境界の顔」としてのグリーンマン(溝井裕一)
1.謎に包まれた教会彫刻
グリーンマンとは何者か
「境界」とは何か
2.「境界の顔」としてのグリーンマン美術
グリーンマンの形態学
3.教会における「境界の顔」としてのグリーンマン
柱頭に登場するグリーンマン
グリーンマンと門
要石や図像の周縁に登場するグリーンマン
4.結び
第2章 ユトレヒト詩篇の顔 中世絵画をたどる(鼓 みどり)
1.『ユトレヒト』の顔を見る
2.カロリング朝写本彩飾の顔
3.アングロサクソンに移入された『ユトレヒト』の顔
4.イングランド・ロマネスク写本の顔
5.結び
第3章 庭で見つめる(バーバラ・バート 蜷川順子 訳)
「我に触れるな」における身体と身体化
15世紀ネーデルラントを強調しながら
1.ノリ・メ・タンゲレの視覚的分析:
マルティン・ショーンガウアーの銅版画
2.ノリ・メ・タンゲレ図像の展開史概観の試み
3.ネーデルラントとドイツにおける
ノリ・メ・タンゲレの比較研究
4.結び 身体と身体化
第4章 写本挿絵に見るクローズアップ(蜷川順子)
ヘント=ブリュッヘ派と関西大学のフランドル写本
1.ヘント=ブリュッヘ派とクローズアップ
1-1.ヘント=ブリュッヘ派による写本挿絵の一般的特徴
1-2.シモン・マルミオンと半身像による
クローズアップの登場
1-3.『メイヤー・ファン・デン・ベルフの聖務日課書』と
クローズアップ
1-4.『グリマーニの聖務日課書』とクローズアップ
2.関大本とクローズアップ
2-1.関大本の概要
2-2.半身像によるクローズアップ
3.結び
第5章 耳鳥齋の顔貌表現と狩野派及び写生派(中谷伸生)
耳鳥齋、狩野典信、渡辺崋山
1.狩野典信《竹林七賢図》における顔貌表現
2.耳鳥齋の肉筆画と版本における顔貌表現
3.渡辺崋山の《佐藤一齋像》の顔貌表現
4.結び
英文要約 English Summaries
主要人名索引
地名索引