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事後・事前的措置としての経済効果の定量分析環境政策と責任保険

環境政策と責任保険 事後・事前的措置としての経済効果の定量分析

A5判 304ページ 並製
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-87354-757-2 C3033
奥付の初版発行年月:2023年01月 / 発売日:2023年01月下旬

内容紹介

海外では、環境政策に多用されている責任保険であるが、日本ではあまり用いられていない。本書は、責任保険を用いた環境政策が日本経済に与える影響を一般均衡モデル、部分均衡モデルを用いて定量的に分析・評価したものである。また、同モデルを用いて環境税制の運営コスト(取引コスト)の影響の評価も行っている。

著者プロフィール

桑名 謹三(クワナ キンゾウ)

1960年高知県生まれ。1986年東京大学工学部船舶工学科卒業。
1986年4月より2002年3月まで大手損害保険会社(現損害保険ジャパン株式会社)に勤務。その後,法政大学大学院社会科学研究科環境政策プログラム修士課程および上智大学大学院地球環境学研究科博士後期課程を修了。博士(環境学)。東北公益文科大学准教授を経て,現在,関西大学社会安全学部准教授。
専門は,基金,保証証券,目的税などを含む広義の保険を用いた環境政策・公共政策の可能性の分析・評価とそれらを用いた政策の提言。
主な著作に,「環境保険の経済効率性について―環境税(ピグー税)との比較」『保険学雑誌』599号(2007年),「金融保証の強制化による環境リスク抑制効果」『環境経済・政策研究』3巻1号(2010年),「SDGsとファッション」『アカデミアが挑むSDGs―関西大学の多様な取り組み』(関西大学出版部,2022年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに
 1.環境保険とは
 2.責任保険を用いた公共政策
 3.責任保険政策の特徴
 4.環境保険政策の現状
 5.問題意識と定量分析の必要性

第1章 リスクの定量化と保険料,保険サービス
 1.1 本書におけるリスクの分類
 1.2 PRTRデータについて
 1.3 LIMEによる被害係数
 1.4 リスクの定量化
 1.5 環境汚染賠償責任保険の保険料
 1.6 リスク係数と保険料率の定義
 1.7 本書における保険サービス

第2章 責任保険政策評価モデルの構造とデータセット
 2.1 3部門3財モデル
 2.2 データセットの作成方法
 2.3 モデルの定式化
 2.4 キャリブレーション
 2.5 外生パラメータの設定
 2.6 プログラムの概要
 2.7 指標の定義

第3章 純粋な民営保険による政策の評価
 3.1 政策の概要
 3.2 政策が各産業に与える影響
 3.3 政策による化学物質の排出量・リスクの減少
 3.4 政策による厚生変化
 3.5 政策による全要素生産性の変化
 3.6 保険サービス率が政策に与える影響
 3.7 保険料水準が政策に与える影響の評価
 3.8 感応度分析
 3.9 政策評価のまとめ

第4章 政府からの補助金付保険による政策の分析
 4.1 政策の概要とプログラムの変更
 4.2 政策が各産業および政府に与える影響
 4.3 政策による化学物質の排出量・リスクの減少
 4.4 政策による厚生変化
 4.5 政策による全要素生産性の変化
 4.6 保険サービス率が政策に与える影響
 4.7 保険料水準が政策に与える影響の評価
 4.8 感応度分析
 4.9 補助金付保険政策の評価のまとめ

第5章 同様の政策を環境税で行った場合の分析
 5.1 政策の概要とプログラムの変更
 5.2 政策が各産業に与える影響
 5.3 政策による化学物質の排出量・リスクの減少
 5.4 政策による厚生変化
 5.5 政策による全要素生産性の変化
 5.6 リスク乗数が政策に与える影響
 5.7 感応度分析
 5.8 比較のまとめ

第6章 自動車大気汚染への環境保険の適用と,改善効果の分析
 6.1 なぜ自動車大気汚染公害か
 6.2 現行法下における環境保険の適用
 6.3 新法制定を視野に入れた環境保険の適用
 6.4 自動車大気汚染の改善効果の分析
 6.5 対象車種の決定
 6.6 自動車の環境負荷を測る基準
 6.7 保険料の算出
 6.8 需要の価格弾力性の推定
 6.9 環境改善効果の予測

終章

巻末付表
参考文献
あとがき
索引


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