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大学の国際教育のパラダイムシフトポスト・コロナ禍時代のグローバル人材育成

ポスト・コロナ禍時代のグローバル人材育成 大学の国際教育のパラダイムシフト

A5判 210ページ 並製
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-87354-759-6 C3037
奥付の初版発行年月:2023年03月 / 発売日:2023年03月上旬

内容紹介

コロナ禍を経て、国際教育やグローバル人材育成教育を取り巻く状況は一変した。本書では、その変化に対応すべく関西大学が取り組んだICTを活用する新しい教育の形を紹介する。ポスト・コロナ禍に向けて大学教育そのものの意義が問われる今、国際教育や人材育成に携わるもの全てにとって必読の書である。

著者プロフィール

池田 佳子(イケダ ケイコ)

関西大学国際部教授・グローバル教育イノベーション推進機構副機構長 Ph.D. (Japanese Language)
専門分野は国際教育、日本語・外国語教育、会話分析、コミュニケーション学。近年はオンライン型国際教育(COIL/Collaborative Online International Learning)の推進に携わる他、外国人留学生のエンプロイアビリティ推進のためのキャリア形成支援教育モデルと産学連携スキームの構築にも尽力している。

前田 裕(マエダ ユタカ)

関西大学長 博士(工学)大阪府立大学
専門分野は同時摂動最適化手法を中心とした、ニューラルネットワークの学習・ハードウェア化とその応用、ロボット制御に関する研究。主な論文に、Maeda Y., Wakamura M., “Bidirectional Associative Memory with Learning Capability Using Simultaneous Perturbation”, Neurocomputing, Vol.69, (2005). Maeda Y., Wakamura M., “Simultaneous Perturbation Learning Rule for Recurrent Neural Networks and Its FPGA Implementation”, IEEE Transactions on Neural Networks, Vol.16, (2005).
共著に『エース 制御工学』(朝倉書店、1999年)、『エース 情報通信工学』(朝倉書店、2004年)など。

藤田 髙夫(フジタ タカオ)

関西大学副学長・国際部長・グローバル教育イノベーション推進機構機構長、文学部教授。博士(文学)関西大学
専門分野は、中国古代史、中国簡牘学、東アジア文化交渉学。碑刻や木簡などの出土資料を活用して、中国古代王朝における国家運営の具体像の解明に携わってきた。近年ではデジタルを活用した新たな資料学としてのデジタル・ヒューマニティーズの開拓を試みている。

山本 英一(ヤマモト エイイチ)

関西大学国際部教授・国際教育センター長、博士(文学)関西大学
専門分野は英語学(語用論・意味論)。著書として『ウソと欺瞞のレトリック ―ポスト・トゥルース時代の語用論』、『「順序づけ」と「なぞり」の意味論・語用論』(いずれも関西大学出版部)。長らく英語教育に携わっており、ESP(English for Specific Purposes)の他、国際教育に関連してEMI(English Medium Instruction)の研究にも取り組んでいる。

本村 康哲(モトムラ ヤスノリ)

関西大学文学部教授・研究推進副部長、博士(学術)神戸大学
専門分野は画像計測、画像処理、教育工学。学生時代は中性子ラジオグラフィによる液体金属等の流体計測と可視化に従事。その後、情報教育、言語教育等に携わった後、ライティング教育、博物館教育等についてエスノグラフィックアプローチを用いたユーザ中心設計にもとづくICT支援学習環境の構築に取り組んでいる。

ベネット アレキサンダー(ベネット アレキサンダー)

関西大学国際部教授、博士(人間・環境学)京都大学 PhD(Japanese culture)Canterbury University
専門分野は日本史、思想史、宗教学。特に、日本の武道文化や武士の倫理の研究に関心がある。その延長線上で、異文化における価値観の相違や衝突に興味を持つ。

バイサウス ドン(バイサウス ドン)

関西大学IIGE(Institute for Innovative Global Education)
特任准教授 Ph.D.(心理学)
専門分野は社会心理学の様々なテーマやトピックで共通の焦点を探り、人間の社会的相互作用を分析。日本のみならずオーストラリアやイギリスの大学での教育経験があり、開発、実施、評価において豊富な経験を持つ。

岩﨑 千晶(イワサキ チアキ)

関西大学教育推進部教授・教育開発支援センター副センター長 博士(情報学)
専門分野は教育工学、大学教育。学習者の学びを育む学習環境デザインをテーマに、大学教育における授業設計、オンライン授業、Faculty Development、学習支援等についての研究に取り組んでいる。

古川 智樹(フルカワ トモキ)

関西大学国際部教授・国際教育センター副センター長 
博士(文学)
専門分野は日本語教育学。留学生向けのビジネス日本語教育、ICTを活用した日本語教育実践(反転授業、ブレンディッドラーニング、eポートフォイオ等)を中心に研究に取り組んでいる。

プールオミッド サッジャド(プールオミッド サッジャド)

関西大学IIGE(Institute for Innovative Global Education)
特任准教授
アラーク大学(イラン)博士号 TEFL(Teaching English as a Foreign Language)
大阪大学人間科学研究科人間科学専攻共生学系 博士号
専門分野は、社会的インタラクションにおけるエスノメソドロジー・会話分析。テクノロジーを媒介とした学習環境での相互作用の研究。COILやICTツールの活用を通じて、高等教育の国際化促進に取り組んでいる。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

まえがき ポスト・コロナ禍時代の人材育成[前田裕]
第一部 多文化・異文化が混合するワークプレースのための人材育成
第1章 外国人留学生のキャリア形成支援のこれから[池田佳子]
1.はじめに
2.文部科学省委託事業留学生就職促進プログラム「SUCCESS-Osaka」
3.キャリア教育としての日本語教育
4.企業が求める「日本語」の再考
5.キャリア教育としての日本語教育事例
6.おわりに

第2章 人材育成志向のビジネス日本語教育[古川智樹]
1.はじめに
2.ビジネス日本語を取り巻く現状
3. SUCCESS-Osakaで行うビジネス日本語教育
4.ビジネス日本語教育の成果
5.おわりに

第3章 外国人材の受入れを通した国内企業の人材の「内なるグローバル化」[池田佳子・ベネットアレキサンダー]
1.はじめに
2.国内企業の「人材のグローバル化」推進の追い風
3.「多様性人財」という概念の推進― Diversity Jamming 研究会―
4. おわりに―多様性と包摂(D&I)を推進すべきもう1 つの大きな理由―

コラム① 日本の産業界が求めるSDGs人材[山本英一]

第二部 オンライン型国際教育実践を通した人材育成
第4章 コロナ禍前後の国内COIL型教育事情の変遷と比較[池田佳子]
1.はじめに―コロナ禍がもたらした非流動性―
2.コロナ禍期のオンライン教育の展開
3.オンライン型国際教育の台頭(COIL)
4.コロナ禍期におけるCOIL実践の広がり
5.COIL型教育の発展と多様化
6.おわりに

第5章  COIL:日本の国際高等教育における行動と方向性の持続可能性、多様性、包括性に向けて[プールオミッドサッジャド]
1.高等教育における国際化
2.国内外での国際化
3.国際化のための新たなカテゴリー
4.国際オンライン協働学習
5.協働学習とエンプロイアビリティ
6.COILと日本における国際教育
7.受け入れモビリティの多様性
8.おわりに

第6章 COIL型協働学習実践の効果検証① 測定対象の能力・スキル[バイサウスドン・池田佳子]
1.はじめに―国際教育プログラムの効果検証の問題点―
2.COIL型教育実践が醸成したい能力
3.相互行為能力(IC)
4.転移可能能力(Transversal Skills 以下TVS)とは
5.異文化間対応能力(intercultural competence 以下ICC)とは
6.おわりに

第7章 COIL型協働学習実践の効果検証② 検証ツールと事例の共有[バイサウスドン・池田佳子]
1.はじめに
2.GPS-Academicの応用による検証結果事例―関西大学COILプログラムの場合―
3.BEVIの応用による検証結果事例―関西大学COILプログラムの場合―
4.おわりに

第8章 オンライン型国際教育と渡航留学の融合の在り方[池田佳子]
1.はじめに:オンライン型国際教育の多様なオプション
2.オンライン留学
3.Virtual Student Mobility(VSM/VM)
4.メタバース(3次元仮想空間)を活用した国際教育
5.ブレンデッド・モビリティー(Blended Mobility)
6.おわりに―オンラインと現地学習型の融合した国際教育が定着するには―

コラム②  コロナ禍が後押しする「教育実践」軸の大学の横展開―JPN-COIL協議会―[池田佳子]

第三部 パラダイムシフトを後押しする教育テクノロジー
第9章 デジタル・テクノロジーを活用した大学の教育実践[本村康哲]
1.はじめに
2.教師の役割
3.教育におけるテクノロジーの変遷
4.LMSの導入
5.ビデオコミュニケーション
6.面接授業とメディア授業
7.コロナ禍の大学の教育実践
8.対面授業再開後の遠隔授業
9.おわりに

第10章 ICTが実現するペダゴジーからアンドラゴジーへと誘う国際教育の設計[岩﨑千晶]
1.現代社会において大学生に求められている能力
2.学習者の学びを育むアクティブラーニング
3.ICTを活用した国際教育の設計
4.ペダゴジーからアンドラゴジーへと誘う国際教育のデザイン
5.ペダゴジーからアンドラゴジーへと誘われ、踏み出す

第11章 大学教育のグローバルDXを見据えた教育実践―J-MCP(Multilateral COIL/VE Project)―[池田佳子]
1.はじめに―大学の内なる国際化を担うDX(デジタルトランスフォメーション)―
2.関西大学の教育のデジタルトランスフォメーション(KU-DX)
3.大学の国際化促進フォーラムとJapan Virtual Campus
4.関西大学のグローバルDX事例:J-MCP
5.おわりに

あとがき ネクスト・ノーマルの社会における大学教育の行方 [藤田髙夫]

語彙リスト


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