プリミエ・コレクション36
〈仏の物語〉の伝承と変容 草原の国と日出ずる国へ
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-87698-277-6 C3315
奥付の初版発行年月:2013年03月 / 発売日:2013年03月下旬
インドで生まれた〈仏の物語〉は、ユーラシア大陸を横断し、北端と東端の地に辿り着くまでにさまざまな変容を遂げる。モンゴルの『仏の12の行い』と日本の『今昔物語集』を題材に、サンスクリット語、チベット語、漢語、日本語のさまざまな一次史料を駆使しながら解明する。
山口 周子(ヤマグチ ナリコ)
(公益財団法人)中村元東方研究所研究員,東方学院講師。
京都大学大学院文学研究科博士課程修了。京都大学博士(文学)。
研究分野はモンゴル仏教(仏教説話,仏伝文学)。
主な業績
‘On the Praise of the 21 Tārās in the Arjai Cave Temple’(『印度學佛教學研究』58-3,2010年),「Lalitavistaraモンゴル語テキストに見られる人名および尊格名称の「サンスクリット化」について」(共著,『人文知の新たな総合に向けて』京都大学大学院文学研究科21世紀COEプログラム第5回報告書,下,2007年),「「雲馬王譚」の変容―Jātakaから『今昔物語集』まで―」(『佛教史學研究』54-2, 2012年)など。
目次
序
前編 仏伝の最北端−−モンゴル帝国に伝わった「仏の物語」
Ⅰ 仏伝『ラリタヴィスタラ』
Ⅱ 「モンゴル語抄本」説の真偽
1. 奥書からの問題提起
2. 先行研究の見解
3. 「第3のテキスト」の可能性
Ⅲ 物語のʻ嵌め木細工ʼ
1. 菩薩の家族構成
2. 供養者の娘
3. さらなる原典候補
4. 妻と息子
5. ナンダー,ナンダバラー,スジャーター
6. 「仏十二行」
Ⅳ モンゴル大蔵経成立について−−サンスクリット借用語から見えてくるもの
1. 「雪の国」から「草原の国」へ
2. モンゴル語訳『ラリタヴィスタラ』
3. ウイグル人僧侶のあしあと
4. モンゴル語訳『ラリタヴィスタラ』の翻訳者像
5. まとめ
後編 『ジャータカ』から『今昔物語集』まで
天空をゆく馬の物語
はじめに
1. 雲馬(ヴァラーハッサ)ジャータカ
2. 「雲馬物語」の分類
(1)物語の構成と関連テキスト一覧
(2)物語の分類−−「僧迦羅」の物語の位置づけ
(2-1)物語の構成による分類−−「雲馬物語」のヴァリエーション
(2-2)本生譚としての分類−−ブッダの「前世」は誰か
(2-3)教訓提示の有無−−「雲馬譚」のメッセージ
(2-4)まとめ−−「雲馬譚」と「僧迦羅」の物語
3. 『大唐西域記』の「雲馬譚」
4. 『大唐西域記』と『根本説一切有部毘奈耶』
(1)吉凶幡
(2)羅刹女の追跡
(3)王の殺害
(4)王位継承
(5)羅刹女退治
(6)建国
(7)物語の主旨
5. 『佛説大乗荘嚴寶王經』,『今昔物語集』,「普門品第二十五」
6. まとめ −−テキストの相関関係
付−−梵・蔵・蒙語対応語彙一覧
あとがき
索 引