生物資源から考える21世紀の農学3
植物を守る
価格:4,840円 (消費税:440円)
ISBN978-4-87698-338-4 C3361
奥付の初版発行年月:2008年01月 / 発売日:2008年01月下旬
食料増産と農業省力化に貢献してきた除草剤や殺虫剤.しかし,今やその安全性や環境影響への不安を誰もが無視できない.では,どのように作物を守るのか? 生物間相互作用や植物が本来持つ防衛機能に学びながら,応用昆虫学,植物生理学,雑草学,農薬化学,生態学等,現代農学が総力を挙げて新しい植物保護科学のパラダイムを開く.
佐久間 正幸(サクマ マサユキ)
京都大学大学院農学研究科教授
(昆虫生理学,応用生物科学専攻)
1951年 神奈川県横浜市生まれ
1980年 京都大学大学院農学研究科博士後期課程単位修得退学
1980年 京都大学農学部文部技官
1992年 京都大学博士(農学)
1996年 京都大学農学部助手
2002年 京都大学大学院農学研究科助教授
2003年より現職
主要論文:
Virtual reality experiments on a digital servosphere: guiding male silkworm moths to a virtual odour source. Comput. Electron. Agri. 35: 243-254 (2002)
Aggregation arrestant pheromone of the German Cockroach, Blattella germanica (L.) (Dictyoptera: Blattellidae): Isolation and structure elucidation of blattellastanoside-A,B. J.Chem.Ecol., 19: 2521-2541 (1993)
「集合フェロモン」『農芸化学の事典』鈴木昭憲・荒井綜一編,朝倉書店(2003)(分担執筆)
目次
序 文
第1章 害虫防除についてのバイオミミクリー的考察 (藤崎憲治)
はじめに
1 昆虫とはどのような生き物か
2 自然の摂理としての害虫問題
3 害虫防除をどう考えるか
おわりに
第2章 ハダニの生態とそれを制する戦略 (高藤晃雄)
はじめに
1 ハダニはどのような生き物か
2 重要種の分布起源とひろがり
3 ハダニの発生動態と薬剤抵抗性
4 ハダニ類の天敵
5 カブリダニによる生物的防除
6 土着天敵によるハダニ個体数の自然制御
おわりに
第3章 昆虫と植物 —攻防と共存の歴史— (西田律夫)
はじめに
1 食草発見の手がかり
2 植物を守る化学障壁
3 攻防の歴史と食性進化
4 共存の絆
おわりに
第4章 新しい殺虫剤 (中川好秋・宮川 恒)
はじめに
1 殺虫剤の作用
2 昆虫成育制御剤
おわりに
第5章 性フェロモンによる害虫防除 (若村定男)
はじめに
1 大規模実験からはじめる
2 防除実験は成功したか
3 疑問点は解けるか
4 施設栽培での効果
5 合成フェロモン剤の特徴
おわりに
第6章 植物を病気から守る (田中千尋・奥野哲郎)
はじめに
1 歴史をかえた植物病
2 植物病の原因と発生
3 農作物・農耕地の特性と植物病
4 植物病防除の考え方と実際
5 遺伝子改変作物の利用
おわりに
第7章 雑草のしたたかな生き残り戦略 —擬態する雑草— (冨永 達) はじめに
1 雑草とはどんな植物か
2 人間と雑草の戦い
3 コムギに擬態するドクムギ
5 除草剤が効かない雑草の出現—雑草の生理・生化学的な擬態
おわりに
第8章 除草剤の半世紀と今後の課題 (萩本 宏)
はじめに
1 雑草管理と除草剤
2 日本の除草剤事はじめ
3 わが国における除草剤利用の技術史
4 除草剤の使用法
5 除草剤の今後
おわりに
第9章 21世紀の植物保護 —有機合成農薬の視点から— (萩本 宏)
はじめに
1 この国の「かたち」を変えたいか,変えたくないか
2 農薬の研究開発は世界に向けて
3 人と自然に安全な農薬は創れるか
おわりに
索 引
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