東洋史研究叢刊之七十八(新装版16)
明代海禁=朝貢システムと華夷秩序
価格:8,140円 (消費税:740円)
ISBN978-4-87698-536-4 C3322
奥付の初版発行年月:2013年12月 / 発売日:2013年12月中旬
明代の国際秩序や通商秩序をめぐっては、さまざまな意見があり、定まった見解はない。本書は、明初に確立した「朝貢一元体制」という体制を支える「海禁=朝貢システム」の構造と特質とを明らかにし、通商に関わる朝貢のシステムと「互市」の体制とを、礼でもって治める天朝体制の構図のなかでとらえ直すことで、秩序全体の構造を明らかにする。
檀上 寛(ダンジョウ ヒロシ)
京都女子大学文学部教授
1950年生まれ。神戸市出身。中国近世史専攻。
京都大学大学院文学研究科博士課程(東洋史学専攻)満期退学。「明朝専制支配の史的構造」で京都大学博士(文学)。
堺女子短期大学、富山大学、京都女子大学助教授を経て現職。
主要論著
『明の太祖朱元璋』、白帝社、1994年
『明朝専制支配の史的構造』、汲古書院、1995年
『永楽帝—中華「世界システム」への夢—』、講談社選書メチエ、1997年
『東アジア海洋域圏の史的研究』(共編著)、京都女子大学研究叢刊39、2003年
『中国人物列伝 第四講』(共編著)、恒星出版、2005年
『中国の歴史・下』(共著)、昭和堂、2005年
『中国歴史研究入門』(共著)、名古屋大学出版会、2006年
『永楽帝—華夷秩序の完成—』講談社学術文庫、2012年
目次
序 論
第一部 明朝と海禁=朝貢システム
総論 元明時代の海洋統制と沿海社会
はじめに
一 元・明王朝の海洋統制
二 元・明代の海外貿易
三 元代の海防
四 元代の海賊と海運
五 元末の日元関係
六 元末の反乱と海賊方国珍
おわりに
第一章 明初の海禁と朝貢 ――明朝専制支配の理解に寄せて――
はじめに
一 明初の対外政策と海禁
二 海禁=朝貢システムの政治的意義
おわりに
第二章 「国初寸板不許下海」考
はじめに
一 「沿海貿易存在」説の疑問
二 洪武朝後半期の沿海部と海防強化策
三 海禁の強化と沿海貿易の禁止
おわりに
第三章 明代「海禁」の実像 ――海禁=朝貢システムの創設とその展開――
はじめに
一 海禁=朝貢システムの成立と東アジア海洋世界
1 国初の積極的対外政策と海禁体制
2 海禁体制下の在外華人
二 鄭和の南海遠征と海禁=朝貢システムの完成
三 民間貿易の復活と海禁=朝貢システムの終焉
おわりに
第四章 明代海禁概念の成立とその背景 ――違禁下海から下海通番へ――
はじめに
一 海禁と『明律』「違禁下海」律
二 市舶司の廃止と海禁の変質
三 「違禁下海」律と「問刑条例」
四 対概念としての辺禁と海禁
おわりに
第五章 小結 ――通時代的な海禁理解に向けて――
はじめに
一 清代海禁の時代的変遷
二 海禁の目的と時代性
三 海禁=朝貢システムと海禁概念
四 清代の海禁概念
おわりに
第二部 明代朝貢体制の諸相
第六章 明初の対日外交と林賢事件
はじめに
一 『吏文』収載の榜文に見る明初の外交
二 胡惟庸と三仏斉の通謀
三 林賢事件の真相
おわりに
第七章 明代朝貢体制下の冊封の意味 ――日本国王源道義と琉球国中山王察度の場合――
はじめに
一 蕃王の冊封の形式と特徴
二 日本国王源道義の冊封問題
三 琉球国中山王察度の冊封問題
おわりに
第三部 明代朝貢体制と華夷秩序
第八章 初期明帝国体制論
はじめに
一 元・明革命の意義
1 元・明革命は民族革命か
2 明朝は漢民族国家か
3 元・明革命の連続性
二 明朝支配の意味
1 皇帝独裁体制の確立
2 中国社会の体制的帰結
三 明初体制の実体
1 国内身分序列の固定化
2 明的華夷秩序の完成
3 現代中国の起源
おわりに
第九章 明朝の対外政策と東アジアの国際秩序 ――朝貢体制の構造的理解に向けて――
はじめに
一 東アジアの国際秩序と秩序原理
二 明朝の成立と国際秩序の形成
1 国際秩序の二つの形式
2 冠服と宗法秩序
三 華夷秩序の明的表現形式
おわりに
第十章 明代中華帝国論
はじめに
一 天下と天子の位相
二 明代中華帝国の支配の構図
1 元・明革命と明の天下
2 華と夷の分離
三 天下一家から華夷一家へ
おわりに
終章 明清時代の天朝体制と華夷秩序
はじめに
一 天下と天朝
二 天朝体制下の朝貢と互市
1 唐宋時代の朝貢・盟約・互市
2 天朝体制と互市
3 礼制としての互市
三 「天朝体制」論の可能性
おわりに
あとがき
参考文献一覧
索引
中文要旨
中文目次