変容する親密圏/公共圏 2
アジア女性と親密性の労働
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-87698-574-6 C3336
奥付の初版発行年月:2012年02月 / 発売日:2012年02月下旬
アジアの女性は二つの顕著な変化を迎えている。家事・育児役割に専念する主婦が増える一方,外国人家事労働者に介護や育児を担わせている。これらの変化はどのような実態をはらんでいるのか。「主婦化」と「再生産のグローバル化」を軸に,各国の変化を比較する。
落合 恵美子(オチアイ エミコ)
京都大学大学院文学研究科教授。
東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。専攻:家族社会学。
主な著作:『21世紀家族へ—家族の戦後体制の見かた・超えかた(第3版)』(有斐閣,2004年),『アジアの家族とジェンダー』(山根真理・宮坂靖子と共編,勁草書房,2007年)。
Asia’s New Mothers: Crafting Gender Roles and Childcare Networks in East and Southeast Asian Societies. Folkestone: Global Oriental, 2008, co-edited with Barbara Molony.
赤枝 香奈子(アカエダ カナコ)
京都大学大学院文学研究科特定助教。
京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(文学)。専攻:ジェンダーとセクシュアリティの社会学。
主な著作:『近代日本における女同士の親密な関係』(角川学芸出版,2011年)。
目次
序 章 親密性の労働とアジア女性の構築 [落合恵美子]
1 「親密性の労働」とは何か
1—1.親密性の労働
1—2.家事(労働)
1—3.再生産労働
1—4.無償労働と「主婦化」
1—5.ケアと感情労働
1—6.女性とその活動の構築
2 アジア女性の構築
2—1.良妻賢母の近代性と伝統化
2—2.社会主義近代からの移行
2—3.国境を越える家事労働者・妻・エンターテイナー
3 本書の構成
第I部 親密性の労働とは何か
第1章 ケアワークの文化,文化をこえるケアワーク [藍 佩嘉]
はじめに
1 文化的枠組みとしてのケアの私事化
2 ケアワークの階層的分業
3 政策のパラメータとケアのレジーム
4 重なり合った意味と文脈化された実践
5 国際移動の文脈におけるケアワーク
結 論
第2章 主婦の仕事・母の仕事—オランダ社会における家事の文化とその変容 [中谷 文美]
はじめに
1 オランダ社会における家事の位置づけ
1—1.内外の区分と女性領域としての家内空間:17世紀
1—2.「主婦業」の成立と家事をめぐる知識の体系化:19世紀
1—3.専業主婦の普遍化:第二次世界大戦後
2 主婦の仕事
3 母の仕事
おわりに
第3章 インド都市中間層における「主婦」と家事 [押川 文子]
1 「親密性の労働」とは何か
1—1.親密性の労働
1—2.家事(労働)
1—3.再生産労働
1—4.無償労働と「主婦化」
1—5.ケアと感情労働
1—6.女性とその活動の構築
2 アジア女性の構築
2—1.良妻賢母の近代性と伝統化
2—2.社会主義近代からの移行
2—3.国境を越える家事労働者・妻・エンターテイナー
3 本書の構成
第I部 親密性の労働とは何か
第1章 ケアワークの文化,文化をこえるケアワーク [藍 佩嘉]
はじめに
1 文化的枠組みとしてのケアの私事化
2 ケアワークの階層的分業
3 政策のパラメータとケアのレジーム
4 重なり合った意味と文脈化された実践
5 国際移動の文脈におけるケアワーク
結 論
第2章 主婦の仕事・母の仕事—オランダ社会における家事の文化とその変容 [中谷 文美]
はじめに
1 オランダ社会における家事の位置づけ
1—1.内外の区分と女性領域としての家内空間:17世紀
1—2.「主婦業」の成立と家事をめぐる知識の体系化:19世紀
1—3.専業主婦の普遍化:第二次世界大戦後
2 主婦の仕事
3 母の仕事
おわりに
第3章 インド都市中間層における「主婦」と家事 [押川 文子]
はじめに:主婦と家事
1 背景:インドの都市中間層と家事使用人
1—1.「ミドル・クラス」から「新中間層」へ
1—2.中間層と家事使用人
2 インタビュー調査:家族史のなかの「主婦」
2—1.事例1 Mさん一家(デリー):拡大家族から複数世帯家族へ
2—2.事例2 Nさん一家(ケーララ州T市):教育する母親の「柔軟な」就労
2—3.ケアにおける親族の役割と家事使用人
3 事例から考える:主婦の仕事とは何か
おわりにかえて
第II部 〈良妻賢母〉の変奏
第4章 近代初期韓国における「新女性」の困難—「女性解放」と「賢母良妻」との関係に焦点を当てて [徐 智瑛]
1 近代国民国家とジェンダーについての問い
2 1900—1910年代における国家主義的プロジェクトから生まれた,
女性の解放と「賢母良妻」概念との出会い
3 1920年代における「女性解放」と「賢母良妻」思想の対立
4 伝統的でも近代的でもなく—1930年代韓国における「賢母良妻」の変容
5 「平等」の近代的神話と女性のアイデンティティの分裂
第5章 モダニティを売る—1920—30年代上海における「月■牌」と雑誌広告に見る主婦の表象 [呉 咏梅]
はじめに
1 近代都市と消費社会の誕生
2 カレンダー・ポスター,雑誌広告に見る「摩登女性」,
「主婦」の表象
2—1.民国期の「摩登女性」
2—2.「月■牌」や雑誌広告における主婦
結 論
第6章 市場経済の転換期を生きる中国女性の性別規範—3都市主婦のインタビューを通して [鄭 楊]
はじめに
1 問題の所在
1—1.中国の主婦とは
1—2.「経済的役割」と「良妻賢母的役割」に揺れる新中国の女性
1—3.軽視・看過されている新中国女性の役割:良妻賢母と女性内部の多様性
2 調査の概要
3 分析
3—1.経済的条件と学歴(技術)が受動型主婦の選択と周囲の態度を左右する
3—2.能動型の主婦:良妻賢母的役割への強い責任感と職業をもつ女性への憧憬
結 論
第7章 「公的労働と家事労働をうまくこなすには,三つの頭と六本の手が必要である」
—ベトナム「現代」女性のジレンマ [クアット・チュ・ホン,ブイ・チュ・フォン,リ・バック・ズン]
はじめに
1 ベトナムの状況から見る家事労働
2 調査データ
3 調査結果
3—1.家事労働の社会的構築
3—2.事例1 農村女性の生活
4 家事労働の貨幣価値
結 論
第III部 越境する妻と労働者
第8章 農家の娘から外国人妻へ—ベトナムの移民送出コミュニティにおける結婚・移住・ジェンダー [ダニエル・ベランジェ,チャン・ジャン・リン,リ・バック・ズン,クアット・チュ・ホン]
はじめに
1 移民送出コミュニティにおけるジェンダー・移住・社会変化
2 調 査
3 ジェンダーの再構成
3—1.移住した娘
3—2.移民世帯の女性
3—3.若年単身女性
3—4.若年単身男性
3—3.息子と娘の再定義
結 論
第9章 業者婚をした中国女性の主体性と葛藤 [■ 洪芳]
はじめに
1 アジアから来た妻たちは日本でどう描かれてきたか
2 調査手法と具体的な事例
事例1 Hさん 36歳再婚 2006年4月来日(夫 58歳,自営業)
事例2 Sさん 37歳初婚 2006年9月来日(夫 56歳,会社経営 再婚)
事例3 Zさん 29歳初婚 2006年7月来日(夫 47歳,サラリーマン 初婚)
3 女性たちの主体性と葛藤
おわりに
第10章 シンガポールにおける海外出稼ぎ家事労働者の抵抗の諸相 [上野加代子]
はじめに
1 枠 組
2 調査方法
3 困難と抵抗
4 考 察
おわりに
第11章 日本における移住セックスワーカー—「社会的排除」に遭う変化の体現者 [青山 薫]
はじめに
1 外国人女性が性産業で働く環境
2 個人的な経験とマクロな社会変化との相互規定性
—エイジェンシーを中心に
3 近代化,グローバル化と女性
4 人身取引と人身取引防止政策
5 「不法」滞在者半減計画—外国人「不審者」イメージの創出
6 日本における移住セックスワーカーの横顔
おわりに—移住セックスワーカーから日本社会へのメッセージ
第12章 韓国の移民政策における多文化家族の役割 [李 惠景]
はじめに
1 韓国の移民政策の変遷
1—1.初期(1987—1994年):産業研修生制度という選択
1—2.中期(1995—2003年):改革の試み
1—3.2004年以降:拡大と包摂の制度化
1—4.韓国移民政策に変化をもたらした要因
2 韓国への結婚移民:1990年以降
3 国際結婚家族に関する政策
3—1.背景
3—2.2006年4月26日の「結婚移民者支援対策」
3—3.政府の変化をもたらした要因
結 論
索 引
執筆・翻訳者紹介はじめに:主婦と家事
1 背景:インドの都市中間層と家事使用人
1—1.「ミドル・クラス」から「新中間層」へ
1—2.中間層と家事使用人
2 インタビュー調査:家族史のなかの「主婦」
2—1.事例1 Mさん一家(デリー):拡大家族から複数世帯家族へ
2—2.事例2 Nさん一家(ケーララ州T市):教育する母親の「柔軟な」就労
2—3.ケアにおける親族の役割と家事使用人
3 事例から考える:主婦の仕事とは何か
おわりにかえて
第II部 〈良妻賢母〉の変奏
第4章 近代初期韓国における「新女性」の困難—「女性解放」と「賢母良妻」との関係に焦点を当てて [徐 智瑛]
1 近代国民国家とジェンダーについての問い
2 1900—1910年代における国家主義的プロジェクトから生まれた,
女性の解放と「賢母良妻」概念との出会い
3 1920年代における「女性解放」と「賢母良妻」思想の対立
4 伝統的でも近代的でもなく—1930年代韓国における「賢母良妻」の変容
5 「平等」の近代的神話と女性のアイデンティティの分裂
第5章 モダニティを売る—1920—30年代上海における「月■牌」と雑誌広告に見る主婦の表象 [呉 咏梅]
はじめに
1 近代都市と消費社会の誕生
2 カレンダー・ポスター,雑誌広告に見る「摩登女性」,
「主婦」の表象
2—1.民国期の「摩登女性」
2—2.「月■牌」や雑誌広告における主婦
結 論
第6章 市場経済の転換期を生きる中国女性の性別規範—3都市主婦のインタビューを通して [鄭 楊]
はじめに
1 問題の所在
1—1.中国の主婦とは
1—2.「経済的役割」と「良妻賢母的役割」に揺れる新中国の女性
1—3.軽視・看過されている新中国女性の役割:良妻賢母と女性内部の多様性
2 調査の概要
3 分析
3—1.経済的条件と学歴(技術)が受動型主婦の選択と周囲の態度を左右する
3—2.能動型の主婦:良妻賢母的役割への強い責任感と職業をもつ女性への憧憬
結 論
第7章 「公的労働と家事労働をうまくこなすには,三つの頭と六本の手が必要である」—ベトナム「現代」女性のジレンマ [クアット・チュ・ホン,ブイ・チュ・フォン,リ・バック・ズン] 175
はじめに
1 ベトナムの状況から見る家事労働
2 調査データ
3 調査結果
3—1.家事労働の社会的構築
3—2.事例1 農村女性の生活
4 家事労働の貨幣価値
結 論
第III部 越境する妻と労働者
第8章 農家の娘から外国人妻へ—ベトナムの移民送出コミュニティにおける結婚・移住・ジェンダー [ダニエル・ベランジェ,チャン・ジャン・リン,リ・バック・ズン,クアット・チュ・ホン] 201
はじめに
1 移民送出コミュニティにおけるジェンダー・移住・社会変化
2 調 査
3 ジェンダーの再構成
3—1.移住した娘
3—2.移民世帯の女性
3—3.若年単身女性
3—4.若年単身男性
3—3.息子と娘の再定義
結 論
第9章 業者婚をした中国女性の主体性と葛藤 [■ 洪芳]
はじめに
1 アジアから来た妻たちは日本でどう描かれてきたか
2 調査手法と具体的な事例
事例1 Hさん 36歳再婚 2006年4月来日(夫 58歳,自営業)
事例2 Sさん 37歳初婚 2006年9月来日(夫 56歳,会社経営 再婚)
事例3 Zさん 29歳初婚 2006年7月来日(夫 47歳,サラリーマン 初婚)
3 女性たちの主体性と葛藤
おわりに
第10章 シンガポールにおける海外出稼ぎ家事労働者の抵抗の諸相 [上野加代子]
はじめに
1 枠 組
2 調査方法
3 困難と抵抗
4 考 察
おわりに
第11章 日本における移住セックスワーカー—「社会的排除」に遭う変化の体現者 [青山 薫]
はじめに
1 外国人女性が性産業で働く環境
2 個人的な経験とマクロな社会変化との相互規定性
—エイジェンシーを中心に
3 近代化,グローバル化と女性
4 人身取引と人身取引防止政策
5 「不法」滞在者半減計画—外国人「不審者」イメージの創出
6 日本における移住セックスワーカーの横顔
おわりに—移住セックスワーカーから日本社会へのメッセージ
第12章 韓国の移民政策における多文化家族の役割 [李 惠景]
はじめに
1 韓国の移民政策の変遷
1—1.初期(1987—1994年):産業研修生制度という選択
1—2.中期(1995—2003年):改革の試み
1—3.2004年以降:拡大と包摂の制度化
1—4.韓国移民政策に変化をもたらした要因
2 韓国への結婚移民:1990年以降
3 国際結婚家族に関する政策
3—1.背景
3—2.2006年4月26日の「結婚移民者支援対策」
3—3.政府の変化をもたらした要因
結 論
索 引
執筆・翻訳者紹介