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進化論と社会変異するダーウィニズム

変異するダーウィニズム 進化論と社会

A5判 664ページ
価格:5,720円 (消費税:520円)
ISBN978-4-87698-621-7(4-87698-621-5) C3030
奥付の初版発行年月:2003年11月 / 発売日:2003年10月中旬

内容紹介

ダーウィニズム=進化論の登場によって,人文・社会科学も大変革を迫られた.「進化」を導きの糸として,さまざまな領域で「新しい学問」が誕生した.その一世紀半の軌跡を,総合的に追究する論集.初期の概念をめぐる論争,社会学をはじめとする諸科学への影響,とりわけ優生学などを促進した課程をたどり,現代における最新到達点を示す.


目次

はしがき

ダーウィニズムと人文・社会科学                  阪上 孝
 一 ダーウィニズムと人文・社会科学 ――その二つの局面
 二 第一局面におけるダーウィニズム
 三 累積的変化の理論 ――ソースティン・ヴェブレン
 四 「文化進化論」

I 概念と論争

ダーウィンを消した女 ――クレマンス・ロワイエと仏訳『種の起源』 北垣 透
 一 知の広がりの諸様態
 二 『種の起源』の進化と変異
 三 翻訳のダイナミズムとポリティクス
 四 フェミニズムとレイシズムのあいだ
 五 一元論的唯物論
 六 ダーウィンの威光
カプセルのなかの科学 ――スペンサー=ヴァイスマン論争      小林 博行
 一 舞台と発端
 二 争点――三つのレベル
 三 基本的対立
 四 余波と副産物
「変質」と「解体」 ――精神医学と進化論             大東 祥孝
 一 変質論と進化論
 二 「解体」学説と進化論
 三 「変質」と「解体」の精神医学における進化論的意義
 四 ダーウィニズムと精神医学
親族研究に置ける進化概念の受容 ――進化から変容へ        田中 雅一
 一 進化から歴史へ
 二 類別的名称とは? ――ドラヴィダ型親族名称体系
 三 『人類の血族と婚姻の諸体系』の初稿
 四 進化主義の導入
 五 『古代社会』における家族と親族
 六 モーガン以後の親族研究 ――レヴィ=ストロースとニーダム
 七 進化を決定する要因 ――スリランカの漁村から

II 進化論から見た社会

闘争する社会 ――ルドヴィク・ダンプロヴィチの社会学大系     小山 哲
 一 「ファシズムへの予備工作」?
 二 ポーランド・ポジティヴィズムと進化論の受容
 三 グンプロヴィチのプロフィール
 四 グンプロヴィチの社会学大系 ――進化論との関連を中心に
 五 「ポーランドの土壌」から生まれたもの
『動物社会』と進化論 ――アルフレッド・エスピナスをめぐって   白鳥 義彦
 一 エスピナスの位置づけ
 二 エスピナスの経歴
 三 『動物社会』について
 四 社会学への道
 五 動物社会への視点
加藤弘之の進化学事始                       武田 時昌
 一 近代日本に置ける進化論の啓蒙活動
 二 バックル文明史観からダーウィン進化論へ
 三 人口論とダーウィン説
 四 人種論における進化説
 五 ドイツ進化主義者の影響
 六 加藤弘之の進化論理解
 七 『日本之開化』の進化学
 八 社会ダーウィニズムへの傾斜
 九 科学知識としての進化論
群体としての社会 ――丘浅次郎における「社会」の発見をめぐって  上野 成利
 一 丘浅次郎と「社会」の発見
 二 生存競争と適者生存 ――生物の進化
 三 団体生活と服従西神 ――人類の滅亡
 四 自然淘汰と人類改良 ――社会の進化
 五 生存競争と相互扶助 ――生物の階級
 六 有機体国家から群体社会へ
個体としての生物、個体としての社会                斎藤 光
  ――石川千代松における進化と人間社会
 一 石川千代松の位置
 二 石川の進化思想を測る二つの水準点
 三 『進化新論』におけるダーウィン的構図と個体論的構成
 四 進化と社会

III 人種と優生学

人口とその徴候 ――優生学批判のために              宇城 輝人
 一 統計
 二 写真
 三 優生学の視点
アメリカ人類学に見る進化論と人種                 竹沢 泰子
 一 『種の起源』以前のアメリカ人類学 ――モートンとアメリカ人類学派
 二 ダーウィンと人類学
 三 進化論とアメリカ人類学者 ――ブリントン、パウエル、クロッソン
 四 シカゴ世界大博覧会と人種の展示 ――パットナム
 五 人類学にとっての進化論
人種主義と優生学 ――進化の科学と人間の「改造」(アメリカの場合)小林 清一
 一 心理学の展開と遺伝の科学
 二 移民問題と人種主義
 三 遺伝の科学と優生学
 四 優生運動 ――断種と移民制限
 五 優生運動の転換と遺伝の科学

IV ダーウィニズムの現在

「ダーウィン革命」とは何であったか                横山 輝雄
 一 コペルニクス革命とダーウィン革命
 二 ダーウィン革命についての二つの解釈
 三 ダーウィン革命と世界観の問題
 四 ダーウィン革命と歴史性の問題
 五 ダーウィン革命と目的論の問題
必然としての「進化の操作」                    加藤 和人
  ――現代社会における人と自然の行方を考える
 一 現代における進化の科学と思想
 二 実験生物学と「進化の操作」の可能性
 三 生態系の変化 ――すでに操作されている自然
 四 人と自然の見方について ――「文化としての自然」を考える
進化経済学の現在                         八木 紀一郎
 一 進化的な科学革命の構造
 二 再生した進化経済学 ――諸潮流
 三 出現しつつあるコア構造
 四 岐路か統合か ――進化経済学の現在の課題

  ダーウィニズムの展開 関連年表
  人名索引
  執筆者一覧


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