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シモン・ド・モンフォールの乱

シモン・ド・モンフォールの乱

A5判 510ページ
価格:5,280円 (消費税:480円)
ISBN978-4-87698-623-1(4-87698-623-1) C3022
奥付の初版発行年月:2003年12月 / 発売日:2003年12月上旬

内容紹介

議会史上不朽の名に輝くバロンの反乱と13世紀英国国制史に関する精密な研究は,必ずしも多くない.欧米においてさえ,既存研究は公刊年代記に基づく政治史の叙述であった.著者自身が原史料を解説分析することによって,反乱を通じ,国王権が封建領主の最高封主の立場から,国家の公権力執行者の立場へと変わった過程を鮮やかに描き出す.

著者プロフィール

朝治 啓三(アサジ ケイゾウ)

関西大学文学部教授
1948年大阪生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。
神戸女学院大学選任講師、教授を経て、1996年より現職。
1987-89年、ケムブリッジ大学クレア・ホールにてフェロー、その後ライフメンバー。
環太平洋中世学会、パイプ・ロル・ソサエティ会員。
主な著訳書
共編著『西洋中世の秩序と多元性』法律文化社、1994年。
『西欧中世史 下』ミネルヴァ書房、1995年。
分担執筆『世界各国史11 イギリス史』山川出版社、1988年。
編集協力『世界史事典』角川書店、2001年。
翻訳分担『J.C.ホウルト歴史学論集 中世イギリスの法と社会』(城戸毅監訳)刀水書房、1993年ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第一部 事件の経過と論点の整理

第1章 事件の経過
1-1 改革運動の開始からリュイスの戦いまで
1-2 リュイスの戦いからイヴシャムの戦いまで
1-3 イヴシャムの戦いから特別巡回裁判の実施まで
第2章 改革計画の主要論点
2-1 改革運動中に公表された諸文書から見た改革運動の論点
2-2 改革計画の論点についての理論的整理
第3章 封建的主従関係のトラブルをめぐる論点
3-1 一三世紀における所領経営の革新をめぐる研究史
3-2 国政改革計画における封主封臣関係のトラブルとその是正
第4章 封建国家の公権力をめぐる論点
4-1 反乱期の中央権力
4-2 王国統治における国王と諸侯の分担と協力
4-3 小括

第二部 一二六〇年代ケムブリッジシァの権力の構造

第5章 一二六八年の特別巡回裁判とケムブリッジシァの反乱者たち
5-1 国政改革運動とケムブリッジシァの現地住民
5-2 ケニルワース裁定
5-3 特別巡回裁判
5-4 特別巡回裁判と在地領主たち  
第6章 一二六〇年代のケムブリッジシァの陪審員たち
6-1 一二六〇年代のケムブリッジシァの陪審員たち
6-2 バロンの反乱とケムブリッジシァの陪審員たち
第7章 アーミングフォード・ハンドレッドの陪審員とグロスタ伯のリート裁判権
7-1 陪審の告発手続きと特徴
7-2 バッシングボーンbassingbourn教区の有力土地保有者と陪審員
7-3 ハンドレッド陪審の告発
7-4 選抜陪審の告発
7-5 グロスタ伯の影響力  
第8章 トリップロウ・ハンドレッドの陪審員たちとイーリ司教の特権
8-1 ハンドレッド陪審による告発(一二六一年と一二六八年)
8-2 私的裁判権とハンドレッド陪審の告発
8-3 告発と審理そしてその結果
8-4 一二六一年と一二六八年の比較
第9章 イーリ司教裁判権のレガリアと領主裁判権そして十人組
9-1 トリプロウ・ハンドレッドで特権を保有していた領主たちの裁判記録
9-2 荘園裁判記録の分析
9-3 特権領主のレガリア
9-4 出仕者、十人組、ハンドレッド陪審
第10章 リトル・シェルフォード村の荘園領主裁判権の社会的存在意義
10-1 一三世紀イングランド荘園法廷記録分析の視角について
10-2 一三世紀ケムブリッジシァ、リトル・シェルフォード村の荘園領主と教区民
10-3 地元民にとっての荘園領主とは  
10-4 小括

第三部 一三世紀イングランドの王国共同体

第11章 一二一五~一二五八年の王権、諸侯特権そして王国共同体
11-1 一二一五年のマグナ・カルタと王国共同体
11-2 一二一六、一七、二五年のマグナ・カルタと王国共同体
11-3 一二三四年におけるマグナ・カルタの再確認
11-4 一二四二年の課税と諸侯の反発
11-5 一二四四年のPaper Constitution
第12章 国王の対特権政策と諸侯の共同体
12-1 一二五〇年のヘンリ三世の対特権政策
12-2 ヘンリ三世の寵臣団と一二五〇年代における諸侯の共同体
12-3 令状復命権をめぐるウースタ司教からシェリフへの不満
12-4 諸侯による改革の要求と運動の開始
第13章 一二五八~六〇年のイングランド王国共同体
13-1 一二五八~六〇年の王国共同体
13-2 王国共同体と国王評議会、そして封主封臣関係
13-3 国政をめぐる国王と封建諸侯
13-4 ヘンリの王国共同体と改革派バロンの王国共同体
第14章 一二六四~六七年における王国共同体の意味の変化
14-1 レスタ伯の政府のもとでの「王国共同体」
14-2 一二六五~六七年の王国共同体

結  論

あとがき
初出一覧
参考文献
索  引
英文要約


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