室町王権と絵画
価格:8,140円 (消費税:740円)
ISBN978-4-87698-628-6(4-87698-628-2) C3021
奥付の初版発行年月:2004年02月 / 発売日:2004年02月下旬
朝廷の地、京都に武家政権を成立させた室町幕府がその支配を確立するには、武力や政治力を強化するだけでは、足りなかった。公家文化を積極的に吸収、あるいは侵食することで、その権威を荘厳する必要があったのである。緻密な作品研究から、<やまと絵>を巡る文化の争奪戦の様相を鮮やかに浮き上がらせ、政治史としての美術史を本格的に切り拓く。
目次
序 章 当麻寺奥院所蔵「十界図屏風」
第一節 「十界図屏風」の研究史と問題点
第二節 描かれた「十界」
第三節 様式的特徴
第四節 当麻往生院の開創と「十界図屏風」の成立
第一部 初期室町幕府と土佐派の成立
第一章 室町殿絵巻コレクションの形成
第一節 合戦絵と「源氏将軍神話」の創出
第二節 足利将軍家の信仰と絵巻
第三節 義満権力の絵巻化と絵合
第四節 コレクションの行方
第二章 藤原行光と土佐派の成立
第一節 「北朝」の絵所預―行光の活動と所領―
第二節 行光の活動基盤―幕府と醍醐寺―
第三節 行光と足利義詮・義満
第四節 行光から光重へ
第二部 室町幕府全盛期における土佐派の展開
第三章 清凉寺本「融通念仏縁起絵巻」と足利義満七回忌追善
第一節 問題の所在
第二節 詞書染筆の日付と足利義満七回忌
第三節 詞書筆者たち(一)
第四節 詞書筆者たち(二)
第五節 義満追善の清凉寺常燈
第六節 六絵師の競演―絵の制作過程と各々の特徴―
第四章 六角寂済と足利義満―六角絵所の成立と展開―
第一節 寂済の活動
第二節 寂済と義満
第三節 義満没後の六角絵所
第四節 六角絵所の興亡
第五章 土佐行広と土佐派の展開
第一節 行広の活動
第二節 肖像画制作
第三節 仏画制作
第四節 行広の落款と「土佐ブランド」の確立
第五節 行広と嵯峨の信仰世界
第六章 藤原行秀と春日絵所の系譜
第一節 行秀と行広
第二節 醍醐寺の仏画制作
第三節 春日絵所の系譜
第三部 応仁・文明の乱前後における土佐派と狩野派成立
第七章 足利義政室町殿の舞絵制作と土佐広周・土佐光信
第一節 義政室町殿の二つの十二間
第二節 『綱光公記』と『體源抄』にみる室町殿舞絵
第三節 義政の義教憧憬
第四節 広周と光信
第五節 室町殿舞絵の史的位置
第八章 禅林寺本「融通念仏縁起絵巻」と足利義政
第一節 文安本と禅林寺本
第二節 義教追善としての禅林寺本
第三節 禅林寺と二尊院、足利氏の関係
第四節 禅林寺本の絵師
第九章 応仁・文明の乱後の文物復興と土佐派・狩野派
第一節 後土御門天皇・足利義尚と絵巻
第二節 土佐広周と土佐行定
第三節 土佐弟子としての狩野正信
第四節 肖像画に見る正信の土佐派学習
第十章 「槻峯寺建立修行縁起」と細川政元―戦国絵巻の成立―
第一節 土佐光信の活動とその画風
第二節 「槻峯寺建立修行縁起絵巻」の内容と伝来
第三節 橋本公夏の文芸活動と在国
第四節 政変・修験・絵巻―「槻峯寺建立修行縁起絵巻」と政元―
第五節 政元の源氏意識と異国調伏
結 論