トンボと自然観
価格:6,270円 (消費税:570円)
ISBN978-4-87698-638-5(4-87698-638-X) C1040
奥付の初版発行年月:2004年11月 / 発売日:2004年08月中旬
人は,様々な自然環境や文化的伝統の下で育ちながら,なにがしかの自然観を形作ってゆく.この自然観には,生物としてのヒトに普遍的といえる部分から人それぞれの個人に特有の部分まで,いろんなレベルでの独特さと共通性が積み重なっている.様々な角度から虫と人の関わりを検討することで,現代人の重層的自然観を浮かび上がらせる.
目次
ことのはじまり
序章 アキアカネにおける「虫」から「風景」への転換:上田哲行
第1部 トンボへのまなざし
第1章 蜻蛉呼称の推移 —アキヅ・カゲロフ・トンバウ:横尾文子
第2章 中国大陸における民俗学的トンボのイメージ:朱 耀沂
第3章 韓国におけるトンボの象徴性:鄭 光
第4章 《朝鮮王朝実録》の昆虫とその象徴性—トンボとセミ,アリを中心に:鄭 光
第5章 トンボに美をみる:古賀悦子
第6章 日本の近現代文学に見るトンボ:横尾文子
第7章 トンボの方言から見えてくるもの:斎藤慎一郎
第8章 もう1つの赤とんぼ:東和敬・沢辺京子・上田哲行
第9章 日本人はトンボをどのように見てきたか:上田哲行
第2部 虫たちをめぐる自然観
第10章 怨霊の自然観 —「鳥獣虫の供養塔」に寄せて:横尾文子
第11章 蜻蛉とる子は知恵を得ぬ —トンボに関する禁忌伝承について:上田哲行
第12章 害虫観の近代:瀬戸口明久
第13章 ゴケグモ騒動からみた日本人の自然観:吉田 真
第14章 クモ合戦の文化論:斎藤慎一郎
第15章 クモ合戦の生態学:吉田 真
第16章 俳句にみる自然観の変遷 —昆虫にかかわる用法から:遊磨正秀
第17章 江戸の虫たちをめぐる表現と言説:秋草の美学から虫のパロディーへ:遠藤 彰
第18章 ファーブル『昆虫記』の翻訳と読者 ——「虫好き文化ルネサンス」の現代と未来 :遠藤 彰
終章 アニミズムと科学そして原風景 —現代日本人の重層的自然観:上田哲行
あとがき