グローバル化時代の人文学 上 連鎖する地域と文化 対話と寛容の知を求めて
価格:6,050円 (消費税:550円)
ISBN978-4-87698-709-2 C3090
奥付の初版発行年月:2007年03月 / 発売日:2007年02月中旬
グローバル化時代といわれて久しい.科学や技術はもとより,法律・経済などの領域でも「世界標準」こそが確たるキーワードとなっている.学問の世界においては,さらにその傾向が強い.こうした中にあって,人文学はいかなる貢献をなし得るか.この問いに,「対話と寛容の知」としての立場を鮮明に打ち出した論集である.人文学の諸分野を総集し,京都大学文学部創設100周年記念として世に問う.
目次
序 文 ——グローバル化する現代世界をみつめつつ ✎ 紀平 英作 欧文
第一部 多様な地域と文明の個性
第一章 中華文明の骨格 ——科挙の展開 ✎ 平田 昌司
第二章 アジアのなかの日本列島 ✎ 上原 真人
第三章 テュルク人とイスラーム ——王権の観念をめぐって ✎ 濱田 正美
第四章 近代ヨーロッパの自画像 ——ポーランドからのまなざし ✎ 小山 哲
第五章 グローバル化時代の人文学 ——アフリカからの挑戦 ✎ 松田 素二
第二部 分裂と統合の世界史
第六章 古代ギリシア人の世界意識と歴史記述 ✎ 中務 哲郎
第七章 言語からみたインド・ヨーロッパ世界 ——多様化と収斂化 ✎ 吉田 和彦
第八章 ユーラシア世界史から人類史へ ——モンゴル時代から始まるなにか ✎ 杉山 正明
第九章 一六世紀末における日本人の地理認識の転換 ✎ 藤井 讓治
第十章 ガリバーからゴールドラッシュへ ✎ 金田 章裕
——英国の世界認識と世界覇権をめぐって
第十一章 世界分割の時代を超えて ——第一次世界大戦と新たな世界構想の胎動 ✎ 紀平 英作
第三部 文化融合の諸相
第十二章 散文の歴史 ——今昔物語集の頃 ✎ 木田 章義
第十三章 月と花 ——和漢対比の一側面 ✎ 川合 康三
第十四章 正教の受容とキリル文字文化圏の成立 ✎佐藤 昭裕
——古ロシア文章語形成の一段面
第十五章 フィクションとしての旅行記 ✎ 田口 紀子
——メリメの『カルメン』に見る「スペイン性」の表象
第十六章 世紀末ウィーンにおける「異」意識 ✎ 西村 雅樹
第十七章 翻訳という越境 ——『ロリータ』をめぐって ✎ 若島 正
索 引(逆頁)
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