緑の帝国 世界銀行とグリーン・ネオリベラリズム Imperial Nature: The World Bank and Struggles of Social Justice in the Age of Globalization
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-87698-724-5 C3031
奥付の初版発行年月:2008年02月 / 発売日:2008年02月中旬
本書を読まずして世界銀行は語れない.ブレトンウッズ体制とともに誕生した世界銀行.発展途上国への開発援助政策は,今や,市場重視の開発政策と環境保護主義の「思いがけない結びつき」を経て,グリーン・ネオリベラリズムへと変容した.そのヘゲモニーが持つ権力性を言説分析によって明らかにし,「静かな支配」の実像に迫る.
マイケル・ゴールドマン(ゴールドマン,M.(マイケル))
1994年,社会学博士(カリフォルニア大学).現在,ミネソタ大学社会科学部准教授,マクナイト・プレジデンシャル・フェロー(McKnight Presidential Fellow,将来有望な准教授に授与される米国のフェローシップ).主な著作に,Privatizing Nature: Political Struggles for the Global Commons. Rutgers University Press, 1998. "Under New Management: Historical Context and Current Challenges at the World Bank." 2007. Brown Journal of World Affairs, special issue on Wolfowitz's Bank, Vol. XIII: 2, Summer 2007. ほか,グローバル化と専門知識の普及にかかわる論文多数.
山口 富子(ヤマグチ トミコ)
1995年英国国立バース大学社会科学科開発学修士,2004年ミシガン州立大学社会学部博士課程修了.社会学博士.国際連合地域開発センター研究員を経て,現在,国際基督教大学教養学部准教授.主な論文に,「科学技術をめぐる言説論的アプローチの展望」『国際基督教大学社会科学研究所モノグラフシリーズ』 No.12, 2007年.メControversy over Genetically Modified Crops in India: Discursive Strategies and Social Identify of Farmersモ Discourse Studies. Vol.9, 2007."The Economic Hegemonization of Bt Cotton Discourse in Indiaモ Discourse and Society. Vol. 15, 2004.
目次
日本語版への序文
謝辞
第1章 世界銀行を理解する
グリーン・ヘゲモニーの興隆,世銀スタイル
開発学における緊張関係
第三の道——「巡り合わせの領域」の分析論
脆弱なヘゲモニー
第2章 世界銀行の台頭
幸先の良いスタート
マクナマラの時代
世銀の権力の種をまく
負債と構造調整
グリーンとネオリベラルの緊張関係
結論
第3章 知識の生産——世界銀行のグリーン・サイエンス
研究課題と組織的制約
環境研究とプロジェクト・サイクル
職員の環境アセスメント研修
環境モニタリングは至難の業
知識のヒエラルキー
ナルキッソスの回帰?
ピラミッド型支配構造の維持
経済学者の中の人類学者
合意形成
組織の内部制約と対外的圧力の狭間で
結論
第4章 あたらしい学問の誕生——環境知識の生産
ラオスにおける環境知識の生産
グリーン・ネオリベラリズムの主観性
結論
第5章 エコ統治性と環境国家の生成
ラオスを緑化する
新たな法,機関,プロジェクト
ハイブリッドな国家主体の生成
不均衡開発
結論
第6章 水の民営化,市民社会のネオリベラル化——越境する政策ネットワークの権力
越境する政策ネットワークの台頭
水をめぐる新たな世界的課題とネットワーキング
水の民営化という言説空間とその拡張
水改革に関する国際合意
水の民営化の強要
パイプの亀裂
矛盾あふれる「非」市民社会の台頭か?
結論
第7章 それは閉鎖できるか?
政治活動家からの反応
マイケル:ハイチ中央電力労働組合オルガナイザー
ジェイムズ:債務と開発を考えるジンバブエ連合のオルガナイザー
[監訳者解題]拡がる「緑」のヘゲモニー
参考文献
索引