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環境ガバナンス論

環境ガバナンス論

A5判 328ページ
価格:4,620円 (消費税:420円)
ISBN978-4-87698-727-6 C3036
奥付の初版発行年月:2007年10月

内容紹介

複雑で重層化した環境問題にどう対処するか.その解決には多様な非政府アクターの利害調整と合意形成が不可欠である.ガバナンス論を基礎に,コモンズ論・社会関係資本論にも目を配りつつ,豊富な事例ーーNGO・企業の取り組み,流域管理,都市形成ーーにもとづきその解決策を探る.持続可能な社会の構築に向けた環境政策論の到達点.

著者プロフィール

松下 和夫(マツシタ カズオ)

東京大学経済学部卒業,ジョンズ・ホプキンズ大学大学院政治経済学科修士課程修了。環境省・OECD・国連・地球環境戦略研究機関等勤務を経て,現在,京都大学大学院地球環境学堂教授,国連大学高等研究所客員教授兼務。主な著作に,『環境政治入門』(平凡社,2000年),『環境ガバナンス:市民・企業・自治体・政府の役割』(岩波書店,2002年)など。専攻:環境政策論,環境ガバナンス論,気候変動政策。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はしがき [松下 和夫]

第I部 なぜ今環境ガバナンスか

第1章 環境ガバナンス論の新展開[松下 和夫・大野 智彦]
1 なぜ今環境ガバナンスか
2 ガバナンスの意味
3 これまでの主要なガバナンス概念
4 コモンズ論,社会関係資本論と環境ガバナンス論
5 持続可能な都市と環境ガバナンス
6 地球環境ガバナンスの構築と強化
7 環境ガバナンス論の課題

第2章 環境ガバナンスの分析視角[武部 隆]
1 はじめに:環境ガバナンスの四つの分析視角
2 契約論的な視点に立った環境ガバナンス
3 社会関係資本の視点に立った環境ガバナンス
4 リスク分析の視点に立った環境ガバナンス
5 環境効率性の視点に立った環境ガバナンス
6 むすび:環境ガバナンス論の構築に向けて

第3章 真のエコテクノロジーを生む技術ガバナンス[内藤 正明]
1 いま技術のガバナンスがなぜ問題か?
2 技術がもたらした功罪
3 技術の副作用がなぜ生じたか
4 技術の新たなガバナンスの試み
5 これからの技術ガバナンス主体としての市民
6 市民技術による持続可能な地域社会の形成
7 我が国の持続可能社会像を目指す事例
8 技術ガバナンスのこれから

第II部 非政府アクターと環境ガバナンスの構造変革

第4章 地球環境ガバナンスの変容とNGOが果たす役割:戦略的架橋 [松本 泰子]
1 はじめに:地球環境ガバナンスの変容とNGO
2 分析視角:戦略的架橋とは
3 事例:国際環境NGOのノンフロン冷蔵庫キャンペーンと企業の意思決定
4 むすび

第5章 企業と持続可能社会:CSRの役割 [小畑 史子]
1 はじめに
2 CSRの現状
3 環境のグローバル及びローカルな側面とCSR
4 国家法とCSR
5 むすび

第6章 環境リスクコミュニケーションにおける共有知識の役割[吉野 章]
1 はじめに
2 環境リスクとリスクコミュニケーション
3 開発をめぐる対立と不信
4 合意形成におけるリスクコミュニケーションの可能性
5 むすび

第III部 ガバナンスから流域管理を考える

第7章 流域連携とコースの自発的交渉[浅野 耕太]
1 はじめに
2 流域の外部経済モデル
3 コースの自発的交渉
4 流域連携を妨げるもの

第8章 流域ガバナンスを支える社会関係資本への投資[大野 智彦]
1 はじめに
2 社会関係資本形成と公共政策
3 なぜ流域連携が必要か
4 流域連携支援の実際
5 「支援」の効果:聞き取り調査から
6 考  察

第9章 流域水管理における主体間の利害調整:
矢作川の水質管理を素材として[太田 隆之]
1 はじめに
2 矢作川の水質汚濁と矢水協
3 矢水協を検証するための理論的フレームワーク
4 矢水協の結成と活動による費用負担問題
5 むすび

第IV部 都市のガバナンスを改善する

第10章 サスティナブル・シティづくりのためのガバナンス[吉積 巳貴]
1 はじめに
2 サスティナブル・シティづくりの潮流
3 サスティナブル・シティづくりのための政策統合
4 サスティナブル・シティのための市民参加
5 おわりに

第11章 途上国の都市の環境ガバナンスと環境援助:
タイのLA21プロジェクトを素材として[礪波 亜希・森 晶寿]
1 なぜLA21プロジェクトに注目するのか
2 なぜ持続可能性が求められるようになったのか
3 LA21作成支援プロジェクトの背景:地方分権化と補完性原則
4 LA21作成支援プロジェクトとその成果
5 LA21を通じた都市の環境ガバナンス改善と対外援助への示唆

第V部 環境ガバナンスの戦略的課題

第12章 環境ガバナンス論の到達点と課題[松下 和夫]
1 はじめに
2 なぜ今環境ガバナンスか
3 非政府アクターと環境ガバナンスの構造変革
4 ガバナンスから流域管理を考える
5 都市のガバナンスを改善する
6 環境ガバナンス論の到達点と課題

第13章 環境政策の欠陥と環境ガバナンスの構造変化[植田 和弘]
1 はじめに
2 現代環境問題の特質
3 環境政策の欠陥と環境ガバナンスの課題
4 持続可能な発展の重層的環境ガバナンス
5 おわりに

あとがき
索引


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