イギリス炭鉱写真絵はがき
価格:3,740円 (消費税:340円)
ISBN978-4-87698-733-7 C3072
奥付の初版発行年月:2008年01月 / 発売日:2008年02月上旬
「これがわれわれの働く炭鉱です!」——絵はがきの黄金時代は,石炭産業の全盛期と重なっていた.地の底で働き,生死をともにする共同生活のなかで,炭鉱労働者たちはたがいの絆を強めた.絵はがきに写された画像,そしてその収集熱と消費のありかたから,彼らの日常生活と心性に迫る.産業史とメディア史に橋を架ける意欲作.図版多数.
乾 由紀子(イヌイ ユキコ)
2006年,京都大学大学院人間・環境学研究科修了.博士(写真・美術史).
筑豊の元炭鉱労働者・写真家とのコラボレーションによる作品展企画『トロッコだけが残った』(銀座・博多ニコンサロン,福岡県宮若市石炭記念館(旧宮田町石炭記念館)等)を経て,共著に『炭鉱往歳:本田辰己写真集』(れんが書房新社、1999年)がある.
目次
序
1 炭鉱写真絵葉書を探して
2 絵葉書・写真の大衆化・社会的階級
第一章 絵葉書と先行写真メディア—産業・労働はどのように写し出されたのか
1 労働者の絵葉書
2 ヴィクトリア期の写真と労働者階級
3 写真の初期大量複製メディアと労働者階級
第二章 炭鉱の配達—ダービシャーの石炭会社の広告絵葉書
1 クレイ・クロス社の広告絵葉書シリーズとその観客
2 大衆写真における坑内の眺め
3 企業価値を映す
4 別の視線
第三章 コミュニティのイコン—ウィガンの女性炭鉱労働者の絵葉書
1 紳士の秘密の箱
2 女性炭鉱労働者と視覚表象
3 スタジオ写真絵葉書—カルトの名残り
4 仕事場の写真絵葉書
第四章 記念された死—バーミンガム近郊の炭鉱事故の絵葉書
1 ハムステッド炭鉱事故の絵葉書
2 写真屋ゴサードと事件絵葉書
3 新聞・雑誌写真とフォトモンタージュ
4 記念された死
第五章 炭鉱のスーヴェニア—南ウェールズの炭鉱の風景絵葉書
1 労働者の移動とスーヴェニア
2 風景における産業の居場所
3 トポグラフィー絵葉書
4 スーヴェニアとしての炭鉱絵葉書
5 補完の物語
むすび
あとがき
Acknowledgments
注
研究の方法および関連機関・所蔵元一覧
参考文献
図版出典一覧
索 引