環境と防災の土木計画学
価格:9,020円 (消費税:820円)
ISBN978-4-87698-742-9 C3051
奥付の初版発行年月:2008年03月 / 発売日:2008年03月上旬
様々な災害に備え,被害を最小限に食い止めるには,自然環境から人間の活動にいたるまでのすべてのプロセスを考慮しなければならない.土木計画では,これらすべてのプロセスについて,事前に多くの調査とシミュレーションが必要となる.計画立案に必要な様々な手法を,基礎から懇切に解説した本書は,学生から実務者まで必携の書である.
萩原 良巳(ハギハラ ヨシミ)
京都大学防災研究所(水資源環境研究センター)教授
1946年,京都市に生まれる.1968年,京都大学工学部土木工学科卒業.1970年,京都大学大学院工学研究科土木工学専攻修士課程修了.同年,(株)日水コン入社(水資源・環境システム計画の研究に従事),システム開発部長,中央研究所主席研究員を経て,1994年,流通科学大学商学部教授(地域環境計画学担当).この間,1977年京都大学工学博士(題目;水環境計画に関するシステム論的研究),東京都立大学土木工学科非常勤講師,同大学院ならびに岐阜大学大学院非常勤講師(主として環境システム解析担当).1997年,京都大学防災研究所(総合防災研究部門,自然・社会環境防災研究分野)教授(土木計画学特論,環境システムモデリングを担当).2005年,同研究所水資源環境研究センター(Socio and Eco Environment Risk Management研究領域)(社会環境防災計画学を担当)に配置換え,現在に至る.
主たる著書は,「土木計画学演習」(共著;森北出版,1985),「21世紀の都市と計画パラダイム」(共著;丸善,1995),「水文水資源ハンドブック」(共著;朝倉書店,1997)「都市環境と水辺計画—システムズアナリシスによる」(共著;勁草書房,1988),「都市環境と雨水計画—リスクマネジメントによる」(共編著;勁草書房,2000),「防災学ハンドブック」(共著;朝倉書店,2001)「防災学事典」(共著;築地書館,2002),「総合防災学への道」(共編著;京都大学出版会,2006),「コンフリクトマネジメント—水資源の社会リスク」(共著;勁草書房,2006:日本地域学会著作賞,2007)など.年次学会などの口頭発表を除く論文数約250篇.
目次
口絵
まえがき
第1章 環境と防災の計画学序説
1.1 環境問題,環境政策,国土開発計画の変化過程と日本社会の病弊
1.2 土木計画学と環境との対話
1.3 適応システムとしての計画方法論
第2章 問題の明確化と社会調査
2.1 問題の明確化
2.2 社会調査
2.3 標本の抽出
2.4 現地調査と集計
2.5 分析と解釈
2.6 格差社会システムの分布
第3章 多変量解析法
3.1 多変量解析法とは
3.2 重回帰分析
3.3 主成分分析
3.4 判別分析
3.5 クラスター分析
3.6 数量化理論
第4章 心理・行動分析法
4.1 最尤法
4.2 因子分析
4.3 共分散構造分析モデル
4.4 離散選択モデル
第5章 静的最適化
5.1 最適化手法の分類
5.2 古典的非制約最適化問題
5.3 古典的等号制約問題
5.4 ニュートン-ラプソン法
5.5 線形計画法
5.6 非線形計画法
5.7 階層システム最適化
第6章 動的システムと最適化
6.1 社会システムの持続可能性とは何か
6.2 準線形化による動的システムのパラメータの同定
6.3 動的計画法
6.4 最大原理
第7章 費用便益分析と多基準分析
7.1 費用便益分析
7.2 環境の価値とその経済的評価
7.3 公平性とアローの不可能性定理による費用便益分析の限界
7.4 多基準分析
第8章 コンフリクト分析とマネジメント
8.1 社会システムの標準形ゲームによる表現
8.2 社会システムの特性関数形協力ゲームによる表現
8.3 コンフリクト分析(序数型非協力ゲーム理論)
8.4 進化ゲームの理論
8.5 コンフリクトマネジメント
8.6 コンフリクトにおける合意形成と均衡解の安定性
あとがき
索 引
適用例と事例