学術選書001
土とは何だろうか?
価格:1,650円 (消費税:150円)
ISBN978-4-87698-801-3(4-87698-801-3) C1361
奥付の初版発行年月:2005年12月 / 発売日:2005年12月上旬
生命を育て,生活の素材としても欠かせない土.身近で馴染み深いにもかかわらず,その素性や働きを私達はよく知らない.その「土」が,今,危機に直面している.土壌学の泰斗が「土」の性質や働き,とりわけ人の営みと自然が関わりう場,すなわち水田が育んだ豊かな土についてやさしく解説し,環境創造の在り方について考える.
久馬 一剛(キュウマ カズタケ)
1931年生まれ.1954年京都大学農学部農芸化学科卒業.同大学院博士課程修了.1960年京都大学農学部助手,京都大学東南アジア研究センター助教授,教授を経て1978年より京都大学農学部教授(土壌学講座担任),同学部長.1995年滋賀県立大学環境科学部教授,2001年退官.京都大学名誉教授,滋賀県立大学名誉教授.
この間日本土壌肥料学会会長,日本学術会議会員,国際イネ研究所理事などを歴任.
水田土壌学,熱帯土壌学を専門とし,日本土壌肥料学会賞(1975),日本熱帯農業学会賞(1978),日本農学賞,読売農学賞(1985).を受賞.
主な著書
PaddySoilsinTropicalAsia,TheirMaterialNatureandFertility(ハワイ大学出版部)
東南アジアの低湿地(農林統計協会)
最新土壌学(朝倉書店)
農業と環境(富民協会)
食料生産と環境(化学同人)
熱帯土壌学(名古屋大学出版会)
PaddySoilScience(京都大学学術出版会)
目次
口 絵
第1章 はじめに
1 「土」と「土壌」
2 土を語る言葉
第2章 土壌はどのようにしてできるか
1 大規模造成農地の土
2 土壌の働きはどのようにして支えられているのか
3 自然の土壌はどのようにしてできるか
第3章 植物の栄養と土壌の働き
1 土はなくとも木は育つ!
2 土壌の養分供給能
3 土壌の養分保持能
4 肥沃度の高い土と低い土
第4章 日本の畑の土
1 日本の土壌はみな酸性!
2 日本の特異な畑土壌—黒ボク土
3 畑土壌の管理
4 土壌のアルカリ性
第5章 水田稲作と土
1 稲作圏としてのモンスーンアジア
2 水田土壌の特性と灌漑水
3 湛水の功罪—窒素とリンの有効化と根腐れ
4 水田と畑の優劣比較
5 日本の稲作の特殊性
第6章 土の中の生き物たち
1 土壌生物たちの働き
2 土壌生態系における窒素循環と微生物
3 根圏における微生物たちと植物の根の働き
4 連作障害と土壌管理
第7章 世界の土と日本の土
1 土の色と土壌の種類
2 土壌の分類,調査,作図
3 世界の土壌のいろいろ (1)
4 世界の土壌のいろいろ (2)
第8章 地球環境問題の中の土壌
1 熱帯林破壊と焼畑
2 地球温暖化と土壌
3 酸性雨と土壌
4 土壌の塩類化
5 土壌侵食
6 砂漠化
第9章 人間にとって土とは何か
1 生物圏の成り立ちと土壌
2 土壌資源の有限性
3 持続可能な農業と土壌
4 人間にとって土とは何か
あとがき