ガリレオが天体望遠鏡を使い始めてからも300年以上にわたって,天体観測は可視光が頼りだった.20世紀になって,電波望遠鏡をはじめ,赤外線やX線望遠鏡が実用化され,可視光では見えなかったものが見えるようになってきた.そのような新しい“目”でさまざまな天体現象を見比べながら,宇宙の謎に迫る.
福江 純(フクエ ジュン)
大阪教育大学教授,理学博士,専門は理論宇宙物理学,とくにブラックホール降着円盤と宇宙ジェット.
1956年宇部市生まれ.1978年京都大学理学部卒業,1983年京都大学大学院理学研究科(宇宙物理学専攻)博士後期課程修了.日本学術振興会特別研究員,大阪教育大学助手,助教授を経て,2004年4月より現職.
【主な著書】
『アインシュタインの宿題』(光文社,2003年),『となりのアインシュタイン』(PHP研究所,2004年),『100歳になった相対性理論』(講談社,2005年),『科学の国のアリス』(大和書房,2005年),『シネマ天文楽入門』(裳華房,2006年),Black-Hole Accretion Disks(共著)(Kyoto University Press, 1998, 2008)ほか
目次
はじめに
第1章 白の宇宙—光と色のしくみ
1 光と放射
2 光と色
3 電磁波とスペクトル
4 放射のしくみ
第2章 黄の宇宙—可視光で観た暖かい世界
1 可視光で眺めた天界
2 母なる星—太陽
3 地球の仲間たち—惑星
4 天界の綺羅たち—恒星
第3章 橙の宇宙—可視光で観た温かい世界
1 天の川銀河俯瞰
2 群れ集う星々—星団
3 天界の叢雲たち—星雲
4 天の川の仲間たち—銀河
5 群れ集う銀河—銀河団
6 光り輝く天界の大渦巻き—降着円盤
第4章 赤の宇宙—赤外線で観た生温い世界
1 赤外線で眺めた天界
2 暖められた大気—惑星
3 冷たい星々—恒星
4 塵の叢雲—星間雲
5 塵埃の円盤—銀河
第5章 紫の宇宙—電波で観た冷熱い世界
1 電波で眺めた天界
2 仄かに輝く叢雲たち—星間分子雲
3 爆発の残滓—超新星残骸
4 冷たく熱いガス—電波銀河と電波ジェット
5 ビッグバンの残照—3K宇宙背景放射
第6章 藍の宇宙—X線で観た熱い世界
1 X線で眺めた天界
2 太陽の冠—太陽コロナ
3 太陽系の極光—惑星
4 熱く輝く星々—X線星
5 光り輝くブラックホール—降着円盤
第7章 青の宇宙—ガンマ線で観た超熱い世界
1 ガンマ線で眺めた天界
2 天界最大の爆発—ガンマ線バースト
3 天界の対消滅—マイクロクェーサー
第8章 緑の宇宙—スペクトル線で観た世界
1 水素輝線で眺めた天界
2 輝線で観た周辺世界—太陽と太陽系
3 輝線で観た星々—特異星
4 輝線で観た拡がった天体—星雲と銀河
5 見た目か中身か—活動銀河
第9章 黒の宇宙—見えない世界を観る
1 闇の天体—ブラックホール
2 闇の物質—ダークマター
3 闇の勢力—ダークエネルギー
おわりに
読書案内
索引