学術選書059 諸文明の起源11
古代マヤ 石器の都市文明 [増補版]
価格:2,200円 (消費税:200円)
ISBN978-4-87698-859-4(4-87698-859-5) C1320
奥付の初版発行年月:-0001年12月
最近まで、マヤは好奇の眼差しで見られ、「謎の文明」とされてきた。この「謎」に挑戦し、考古学と関連諸科学の学際的な研究が組織されたのは20世紀後半である。旧大陸とは異なる神殿ピラミッド、王権、マヤ文字、農業体系…。さらには、大きな地域差を有した「石器の都市文明」であったということが解明された。この古代マヤの全容を通史として、わが国を代表するマヤ研究者が100枚を超える豊富な図版を駆使して「新しいマヤ文明観」をいきいきと描いた好著に、最近の発見や現地調査の成果を加えた最新版。
青山 和夫(アオヤマ カズオ)
茨城大学人文学部教授(マヤ文明学,人類学専攻)
1962年京都市生まれ,1985年東北大学文学部史学科考古学専攻卒業.1996年米国ピッツバーグ大学人類学部大学院博士課程修了.人類学博士(Ph.D.).1986年以来,ホンジュラス共和国ラ・エントラーダ地域,コパン谷,グアテマラ共和国アグアテカ遺跡やセイバル遺跡で,マヤ文明の調査に従事している.「古典期マヤ人の日常生活と政治経済組織の研究」で日本学術振興会賞,日本学士院学術奨励賞を受賞.日本を代表するマヤ学の推進者.
【主な著書】
『マヤ文明 密林に栄えた石器文化』(岩波書店),『“謎の文明”マヤの実像にせまる』(NHK出版),『古代メソアメリカ文明 マヤ・テオティワカン・アステカ』(講談社),『古代アメリカ文明 アステカ・マヤ・インカ』(共著,山川出版社),『メソアメリカの考古学』(共著,同成社),『岩波 アメリカ大陸古代文明事典』(共編著,岩波書店),『マヤ学を学ぶ人のために』(分担執筆,世界思想社),訳書に『新しい考古学と古代マヤ文明』(単訳,新評論),『マヤ文明の興亡』(単訳,新評論).他に欧文による研究書・論文多数.
目次
口 絵
目 次
はじめに
第1章……「都市なき文明」から「石器の都市文明」へ
1 メソアメリカのなかのマヤ文明
2 石器の都市文明
3 マヤ地域——多様な自然環境
4 時代区分
5 マヤ人とは? 多様な言語集団
6 二〇世紀半ばまでのマヤ文明観
7 新しいマヤ文明観
8 政治的に統一されなかったマヤ文明
第2章……マヤ文明の起源——先古典期マヤ文明
1 石期・古期(先土器時代)
2 先古典期の土器と農耕定住村落
3 先古典期のマヤ低地南部
4 先古典期のマヤ低地北部
5 先古典期のマヤ高地
6 初期王権の発達
7 先古典期後期の後半の社会の大変動
第3章……古典期マヤ文明の王権と初期国家群の発達
1 古典期マヤ文明と初期国家群の発展
2 マヤ文字
3 算術と循環する複雑なマヤ暦
4 天文学
5 古典期の統治行政機構と王権
第4章……「石器の都市文明」を支えた「技術」
1 人力エネルギーの都市文明
2 主に非大河灌漑農業を基盤にした多様な農業
3 製作技術
第5章……古典期マヤ都市の盛衰
1 古典期の諸都市の繁栄と戦争
2 古典期前期のテオティワカンとの交流
3 古典期前期の諸都市の盛衰
4 古典期後期のマヤ低地南部の諸都市の盛衰
第6章……コパン、アグアテカの事例にみる「石器の都市文明」
1 古典期マヤ国家、都市性、交換、手工業生産と戦争——コパン
2 古典期マヤ支配層の手工業生産と日常生活——アグアテカの宮廷人
第7章……マヤ低地南部の「古典期マヤ文明の衰退」とマヤ低地北部の全盛
1 古典期終末期のマヤ低地南部社会の大変動
2 マヤ低地南部の古典期マヤ文明の衰退
3 古典期終末期のマヤ低地南部の都市の繁栄
4 古典期後期・終末期のマヤ低地北部の諸都市の発展
5 古典期のマヤ高地の諸都市の盛衰
第8章……後古典期マヤ文明とスペイン人の侵略
1 発展しつづけた後古典期マヤ文明
2 後古典期のマヤ低地北部の繁栄
3 後古典期のマヤ低地南部
4 後古典期のマヤ高地の盛衰
5 「未完の征服」とマヤ文明最後の都市タヤサル
6 植民地時代のマヤ文化の創造と民族史料
第9章……マヤ文明と現代世界
1 一次文明としてのマヤ文明——文明の多様性と共通性
2 「マヤの水晶ドクロ」のいかさま
3 マヤ=現在進行形の生きている文化伝統
4 マヤ考古学と現代社会
あとがき
マヤ文明略年表
文献目録
索引(逆頁)