学術選書072
マカベア戦記 上 ユダヤの栄光と凋落
価格:2,200円 (消費税:200円)
ISBN978-4-87698-872-3 C1314
奥付の初版発行年月:2015年11月 / 発売日:2015年11月中旬
ユダヤ人たちはセレウコス朝シリアの支配下におかれていたが、前167年にアンティオコス四世の命を受けた役人たちが父祖伝来のユダヤ教を棄て、「異教の祭壇」に豚を捧げるよう強要する。この冒瀆行為に対し、祭司マッタティアスと息子ユーダス・マッカバイオスらが決起し、世に言う「マカベア戦争」が起こる。手に汗握るユダヤ王朝存亡を描く歴史資料を丹念に読み解きながら、ユダヤ
秦 剛平(ハタ ゴウヘイ)
多摩美術大学名誉教授
聖書文学協会所属(ヨセフス・セミナー運営委員、フィロン・セミナー運営委員、ヘレニズム・ユダヤ教専門部会運営委員)、オックスフォード大学客員教授(1999—2000年)、同大学客員研究員(2001年以降)、現在ケンブリッジ大学(クレア・ホール)フェロー終身会員、(ウォルフソン・コレッジ)フェロー終身会員
主な著書/『乗っ取られた聖書』『異教徒ローマ人に語る聖書——創世記を読む』『書き替えられた聖書——新しいモーセ像を求めて』『聖書と殺戮の歴史——ヨシュアと士師の時代』『神の支配から王の支配へ——ダビデとソロモンの時代』『南北分裂王国の誕生——イスラエルとユダ』『空白のユダヤ史——エルサレムの再建と民族の危機』(以上京都大学学術出版会)、『旧約聖書続編講義』(リトン)、『ヨセフス——イエス時代の歴史家』『美術で読み解く新約聖書の真実』『美術で読み解く旧約聖書の真実』『美術で読み解く聖母マリアとキリスト教伝説』(以上ちくま学芸文庫)、『反ユダヤ主義を美術で読む』『描かれなかった十字架』『名画でたどる聖人たち』『名画で読む聖書の女たち』『天使と悪魔——美術で読むキリスト教の深層』(以上青土社)ほか
主な訳書/フィロン『フラックスへの反論/ガイウスへの使節』エウセビオス『コンスタンティヌスの生涯』ピロストラトス『テュアナのアポロニオス伝1』(以上京都大学学術出版会)、ヨセフス『ユダヤ戦記』全7巻3分冊、同『ユダヤ古代誌』全20巻6分冊(ちくま学芸文庫)、エウセビオス『教会史』全10巻2分冊(講談社学術文庫)『七十人訳ギリシア語聖書』全5分冊(河出書房新社)ほか30冊
主な論集編纂/共編『古代世界におけるモーセ五書の伝承』(京都大学学術出版会)、『ヨセフス論集』全4分冊(山本書店)、『エウセビオス論集』全3分冊(リトン)
目次
はじめに
第1章……マカベア戦争(その一)
——ハスモン一族の反乱からユーダス・マッカバイオスの死まで
主資料となるマカベア第一書はプロパガンダ文書
『古代誌』第一二巻の補助資料となるものは
ダマスコのニコラオスとその著作
前三世紀の後半から前二世紀の後半へ
前大祭司ヤソーンと大祭司メネラオスの角逐
エルサレムのヘレニズム化
アンティオコス四世エピファネースとエジプト遠征
アンティオコス四世の第一回エルサレム占領
アンティオコス四世の第二回のエルサレム侵入と神殿荒らし
エルサレムの神殿、ゼウス・オリュンピオスの神殿と呼ばれるようになる
エルサレム神殿の完全敗北とそれにつづく楽しい光景
悲惨な光景も
都エルサレムからの脱出
ゼウス・オリュンピオスに捧げられたサマリアびとの神殿
サマリアびとの請願書
マッタティアスとその息子たち
ギリシア化はエルサレムから地方へ
マッタティアスの決起
マッタティアスの熱心
マッタティアスと息子たち、荒れ野へ逃れる
ハシダイオイの参加
死の床でのマッタティアスによる後継者の指名
新指揮官ユーダス・マッカバイオスの登場
リュシアス、自軍の敗北に愕然とする
ユーダス・マッカバイオスらがエルサレムで目にしたものは
神殿での清掃作業の開始
神殿の再奉献
ダニエルの預言
光の祭
神殿の再奉献後は
「打倒ユダヤ民族」に駆り立てたものは
シモーンのガリラヤ遠征
ユーダス・マッカバイオスとヨナテースのギレアデほかでの戦闘
アンティオコス四世の死とアンティオコス五世の即位
ユーダス・マッカバイオス、エルサレムのアクラを破壊する
アンティオコス五世の軍勢、神殿攻撃を開始しようとする
アンティオコス五世、和平の協定を結んだ後、城壁を破壊する
大祭司メネラオス(オニアス)、処刑される
アルキモス、メネラオスの後継の大祭司になる
ローマから帰国したデーメートリオス一世、王位に就く
デーメートリオス一世、バッキデースとアルキモスを派遣する
バッキデースとアルキモス、デーメートリオス一世のもとへ戻る
ニカノールの遠征とアダサでの会戦
戦勝記念日について
ユーダス・マッカバイオス、大祭司となる
ユーダス・マッカバイオス、ローマと協定を結ぶ?
バッキデースとの戦闘の再開とユーダス・マッカバイオスの落命
第2章……マカベア戦争(その二)
——ヨナテースの登場
ヨナテース、後継の指導者になる
平和の一時的な到来
アンティオコスの子アレクサンドロス、王を僭称する
デーメートリオス一世、ヨナテースに書簡を送る
アレクサンドロス、ヨナテースを大祭司に任命する
デーメートリオス一世、ヨナテースに再度書簡を送る
書簡を比較してみれば
デーメートリオス一世の敗北とその死
ヨセフスの脱線記事の目的は
わくわくどきどきする歴史の展開
預言者イザヤの言葉に励まされたオニアス四世
オニアス四世の亡命先
王と王妃に宛てたオニアス四世の書簡
書簡に見られる不自然さほか
王と王妃からの返書
他の所でヨセフスは
オニアス四世の神殿の光景は
同じころに
オニアス四世の神殿跡はどこ?
ピートリによる神殿跡の同定は誤り
オニアス四世の神殿跡の発掘の重要さ
アレクサンドリア在住のユダヤ人とサマリアびとの争い
アレクサンドロス、エジプト王の娘を娶る
デーメートリオス二世ニカトールの侵入
ヨナテース、アポローニオスをアシドドで打ち破る
プトレマイオス・フィロメートール、シリアに入る
アレクサンドロス・バラスの死とプトレマイオス・フィロメートールの死
デーメートリオス二世と、ユダヤ人に宛てた書簡
トリュフォーンの陰謀
ヨナテース、デーメートリオス二世を支援する
ヨナテース、アンティオコスと同盟する
ヨナテース、ガザを占領しベツスーラを攻略する
ローマ人との同盟の再確認とスパルタとの親善
ユダヤ人の中の三つの宗派
ヨセフスはまだファリサイ派?
ヨナテースらの新たな勝利、ヨッパの占領、エルサレムの城壁の再建工事
デーメートリオス二世、捕虜となる
ヨナテース、トリュフォーンの罠に陥る
地図・ユダヤ史年表
図版一覧
索引