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タンザニア 開発と遭遇する地域アフリカ農村と貧困削減

アフリカ農村と貧困削減 タンザニア 開発と遭遇する地域

A5判 390ページ 上製
価格:0円 (消費税:0円)
ISBN978-4-87698-954-6 C3033
奥付の初版発行年月:2010年02月 / 発売日:2010年02月下旬

内容紹介

国家や大陸レベルで見る経済学者はアフリカは貧しいという.しかし,実際の農村に焦点を当てると,そこには社会や生態環境の変化に巧みに対応する農民社会がある.このギャップを埋めること無しに,世界はアフリカと正しく向き合うことはできない.緻密なフィールドワークと開発経済学を組み合わせ,地域研究の新しい地平を開く意欲作.

著者プロフィール

池野 旬(イケノ ジュン)

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 教授

1955年 大阪府生まれ

1978年 東京大学経済学部経済学科卒業

2008年 京都大学博士(地域研究)

アジア経済研究所研究職員(1978年より),京都大学大学院人間・環境学研究科助教授(1997年より),京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科助教授(1998年より),同准教授(2007年より)を経て,2008年より現職



主要著書・論文

『ウカンバニ—東部ケニアの小農経営—』 アジア経済研究所,1989年.

『アフリカの食糧問題—ガーナ・ナイジェリア・タンザニアの事例—』(共著) アジア経済研究所,1996年.

『アフリカのインフォーマル・セクター再考』(共編著) アジア経済研究所,1998年.

『アフリカ農村像の再検討』(編著) アジア経済研究所,1999年.

「独立後タンザニア経済と構造調整政策」秋元英一編『グローバリゼーションと国民経済の選択』東京大学出版会,2001年.

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

口 絵

まえがき



序 章 アフリカ農村研究の残された課題

ミクロ—マクロ・ギャップの架橋

1 開発をめぐる国家と地域

1—1.生存戦略を模索する「地域」

1—2.アフリカ農村・農業研究のミクロ—マクロ・ギャップ

1—3.重層する「地域」—2つの研究対象—

1—4.タンザニア農村分析の前提

2 事例とする北東部タンザニアの2つの地域

2—1.キリマンジャロ州ムワンガ県

2—2.キルル・ルワミ村ヴドイ村区キリスィ集落

3 本書の構成

4 ミクロ—マクロ・ギャップを埋める手法



第2章 タンザニアの国家開発政策の変遷

アフリカ社会主義の夢から世銀・IMF主導の開発体制へ

1 アフリカ社会主義体制の挫折

1—1.民間主導の近代化路線—第1期—

1—2.ウジャマー社会主義下の国家開発—第2期—

1—3.ウジャマー社会主義の行き詰まり

2 グローバル化のもとでの国家開発体制の転換

2—1.世銀・IMF主導の構造調整政策—第3期—

2—2.構造調整政策は成功したか?

2—3.開発思想のパラダイム・シフト

2—4.タンザニアの貧困削減政策—第4期—

3 国家開発体制の政治経済学



第3章 ムワンガ県の農業・食糧問題

併存する換金作物の不振と食糧不足

1 ムワンガ県のコーヒー経済の低迷

1—1.タンザニア全体と北部高地のコーヒー経済

1—2.ムワンガ県のコーヒー経済

1—3.山地村2村の事例

2 ムワンガ県の食糧問題

2—1.タンザニアの食糧事情

2—2.ムワンガ県の食糧不足の創造

2—3.食糧配給と農村世帯の自衛策



第4章 キリスィ集落での乾季灌漑作

生活自衛のための新たな営農活動

1 在来灌漑施設—溜池と用水路

1—1.山間部に設置された小さな溜池

1—2.巧みに張り巡らされた用水路

1—3.在来灌漑施設の建造者と管理者

2 灌漑作圃場と圃場耕作者

2—1.灌漑作圃場の耕地保有者

2—2.灌漑作を実践する圃場耕作者

3 開放的な組織化と柔軟な用水利用

3—1.乾季灌漑作全般に関わる組織

3—2.山地村の用水利用者集団との取り決め

3—3.同一日に用水を利用する番水グループ

3—4.柔軟な用水利用

4 在来灌漑施設改良計画(TIP)の試み



第5章 ムワンガ町の拡大と懸案

地域経済の牽引を期待される地方都市

1 ムワンガ県経済の中心地移動

1—1.ムワンガ県の人口動態からの検証

1—2.ムワンガ町の拡大とキリスィ集落への波及

2 地域経済の方向性—農村インフォーマル・セクターに着目

して—

2—1.農村インフォーマル・セクターの概念規定

2—2.農村におけるインフォーマル・セクターの存在形態

2—3.農村インフォーマル・セクター振興の必要性と検討課題

3 対抗的な社会資本整備—ヴドイ村区の水道新設事業—

3—1.ムワンガ町周辺の水道施設

3—2.クワ・トゥガ水道計画



終 章 地域と開発の交接点を求めて

1 地域の主体性—事例からの示唆—

2 ミクロ—マクロ・ギャップを架橋するために

2—1.地域研究と開発諸学の協業は可能か?

2—2.地域理解の共通認識

2—3.ミクロ—マクロをつなぐ試み

2—4.国際的な開発理念の見直し

2—5.地域独自の論理

3 ミクロ—マクロ・ギャップの架橋—まとめと課題—



あとがき

文献リスト


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