日本の大学発ベンチャー 転換点を迎えた産官学のイノベーション
価格:3,740円 (消費税:340円)
ISBN978-4-87698-966-9 C3034
奥付の初版発行年月:2010年06月 / 発売日:2010年06月中旬
戦後期にソニーやホンダを輩出し躍進を遂げた日本経済。長期不況の続く今,ベンチャーの活躍に期待が寄せられている。日本の大学発ベンチャーが,現在直面する"成長の壁"を克服し,日本経済の再復活に貢献するには何が必要か。丹念なヒアリング調査から,起業を支える関係ネットワーク・外部資源を活用した新しい経営の在り方を提示。
桐畑 哲也(キリハタ テツヤ)
甲南大学マネジメント創造学部准教授,京都大学経営管理大学院関西経済経営論(関西アーバン銀行)講座客員准教授,奈良先端科学技術大学院大学知的財産本部客員准教授。
京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了(経済学博士),日本放送協会(NHK)記者,株式会社三菱総合研究所研究員,奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究調査センター准教授などを経て現職。
主な著書・論文に,「大学発ベンチャー育成とベンチャーキャピタル」(『三菱総合研究所所報』42,2003年),『ナノテク革命を勝ち抜く』(編著,講談社,2005年),「新技術ベンチャー創出とベンチャーキャピタルの投資後活動」(『JAPAN VENTURES REVIEW』7, 2006年),“The Commercialization Process of New Technology Based Firms in Japan”(Kyoto Economic Review, 76(2), 2007),“The Challenges and Issues with Nanotechnology at the Product Development Stage”(Journal of Intellectual Property, 5(2), 2008),“Post-Investment Activities of Venture Capitalists When Making Investments in New Technology-Based Firms in Japan”(Kyoto Economic Review, 78(1), 2009)など。
目次
序 章 日本の大学発ベンチャーにみる現状と課題
1 大学発ベンチャーへの期待と現実
2 転換点を迎えた日本の大学発ベンチャー —本書の目的—
3 本書の構成
4 日本の大学発ベンチャーにみる現状と課題 —章括—
第1章 大学発ベンチャーと外部資源
1 大学発ベンチャーとは何か?
(1)多様な大学発ベンチャーの定義
(2)大学知財事業化の有力手法としての大学発ベンチャー
2 外部資源 —大学発ベンチャー成長の源泉—
(1)関係ネットワーク資産
(2)起業環境
(3)大学発ベンチャーの起業環境
3 大学発ベンチャーと外部資源 —章括—
第2章 大学発ベンチャーの特徴と意義
1 大学発ベンチャーの特徴
(1)大学発ベンチャーの潜在性
(2)大学発ベンチャーの不確実性
2 大学発ベンチャーの意義
(1)日本の科学技術イノベーションシステム
(2)日本の科学技術イノベーションシステムにおける意義
3 大学発ベンチャーの特徴と意義 —章括—
第3章 日米欧の大学発ベンチャーと育成施策
1 アメリカの急成長大学発ベンチャー
2 ヨーロッパの大学発ベンチャー
3 日本の大学発ベンチャー
4 経済,地域振興施策としての大学発ベンチャー
5 日米欧の大学発ベンチャーと育成施策 —章括—
第4章 転換点を迎えた日本の大学発ベンチャー
1 “成長の壁”に直面する日本の大学発ベンチャー
2 日本の大学発ベンチャーの経営課題
(1)大学発ベンチャーの経営課題
(2)質問票調査からみた日英の経営課題認識
3 転換点を迎えた日本の大学発ベンチャー —章括—
第5章 日本の大学発ベンチャーにおける顧客,資金,人材
1 顧客・販路
(1)市場・顧客
(2)市場・顧客調査の実施時期
2 資金調達
(1)資金調達の困難な時期
(2)株式公開による資金調達
3 人材
(1)経営陣の外部登用
(2)経営陣のビジネス経験
4 日本の大学発ベンチャーにおける顧客,資金,人材 —章括—
(1)顧客・販路
(2)資金調達
(3)人材
第6章 経営課題としての顧客,資金,人材
1 特有のキャズム現象 —顧客・販路—
2 特有のデスバレー現象 —資金調達—
(1)大学発ベンチャーの資金調達:投資家とデスバレー現象
(2)特有のデスバレー現象
3 相互補完的経営陣 —人材—
(1)経営陣の相互補完
(2)補完性の弱い経営陣
4 経営課題としての顧客,資金,人材 —章括—
(1)顧客・販路
(2)資金調達
(3)人材
第7章 日本の大学発ベンチャーにおける外部資源連携
1 信頼関係・緊密度
(1)信頼関係
(2)緊密度
2 知識獲得
(1)技術知識獲得
(2)市場・顧客知識獲得
(3)事業計画策定における知識獲得
3 ネットワーク獲得
(1)顧客
(2)人脈獲得
(3)経営人材獲得
4 資金調達
5 投資家からの知識・ネットワーク獲得
6 日本の大学発ベンチャーにおける外部資源連携 —章括—
(1)信頼関係・緊密度
(2)知識獲得
(3)ネットワーク獲得
(4)資金調達
(5)投資家からの知識・ネットワーク獲得
(6)外部資源連携における論点
第8章 経営課題としての外部資源連携
1 ソーシャルキャピタル及び知識獲得
(1)ソーシャルキャピタル
(2)知識獲得
2 知識・ネットワーク獲得
(1)外部資源による知識・ネットワーク提供機能
(2)大学依存
3 資金調達
(1)情報の非対称性問題
(2)外部資源による投資家紹介機能
(3)発展途上の投資家関係,紹介ネット構築
4 人材獲得
(1)外部資源による経営人材紹介機能
(2)個人的ネットワーク依存
5 経営課題としての外部資源連携 —章括—
(1)知識・ネットワーク獲得
(2)資金調達
(3)人材獲得
終 章 大学発ベンチャー“成長の壁”克服に向けて
1 大学発ベンチャー“成長の壁”克服に向けて —本書のまとめ—
2 ハイリスク,ハイリターン世界のプロフェッショナル
参考文献
あとがき
索 引