古代世界におけるモーセ五書の伝承
価格:9,240円 (消費税:840円)
ISBN978-4-87698-976-8 C3014
奥付の初版発行年月:2011年02月 / 発売日:2011年02月上旬
国際プロジェクト「ヘレニズム時代とローマ時代におけるモーセ五書本文伝承史」において,内外の著名な研究者が共同発表した最新の研究成果を紹介する.モーセ五書のヘブライ語聖典,ギリシア語訳聖典,新発見の死海写本を参照しつつ,伝承過程を詳細に分析し、モーセ五書が旧約聖書理解のために果たした重要な役割を明らかにする.
秦 剛平(ハタ ゴウヘイ)
多摩美術大学教授,同大学図書館長.
著訳書は80冊あまり,そのうち西洋古典の翻訳として,ヨセフス『ユダヤ古代誌』『ユダヤ戦記』(ちくま学芸文庫),『七十人訳ギリシア語聖書』(河出書房新社),フィロン『フラックスへの反論/ガイウスへの使節』,エウセビオス『コンスタンティヌスの生涯』,ピロストラトス『テュアナのアポロニオス伝』(以上,京都大学学術出版会),エウセビオス『教会史』(講談社学術文庫)がある.
守屋 彰夫(モリヤ アキオ)
東京女子大学教授.
旧約聖書学,アラム語学専攻.『聖書の中の聖書解釈——第二神殿時代の聖書思想——』(日本聖書協会),「死海文書アラム語『外典創世記』解釈と註解(聖書学論集42),「ペルシア時代の大祭司の系譜——初期ユダヤ教の一側面——」(聖書学論集37),「歴代誌上下註解」(『新共同訳 旧約聖書略解』.日本キリスト教団出版局),「原サマリア・テクストからサマリア五書へ」(日本旧約学会『旧約学研究』)ほか.
目次
はじめに
主催者挨拶 守屋彰夫
基調講演 秦 剛平
レオトーン・ポリス神殿址
——ブーバスティス・アグリアともうひとつのユダヤ神殿
第Ⅰ部 モーセ五書の本文伝承について
1章 「無からの創造」の教理とトーフー・ワ・ボーフー
津村 俊夫
2章 一つの十戒,複数のテキスト
大住 雄一
3章 第二神殿時代におけるモーセ五書の発展的展開
ユージーン・ウーリック
4章 聖性という観点から分析したモーセ五書の筆写・本文伝達
エマニュエル・トーヴ
第Ⅱ部 ヘレニズム的ユダヤ教とモーセ五書
5章 はじめに創世記と出エジプト記のギリシア語訳がつくられた
秦 剛平
6章 ヘレニズム的ユダヤ教と七十人訳聖書
テッサ・レイジャック
7章 フィロンはどのギリシア語訳聖書を読んでいたのか?
グレゴリー・E・スターリング
8章 ヨセフス『ユダヤ古代誌』の後半部
——ローマの聴衆にとってのその重要性
スティーブ・メイソン
第Ⅲ部 死海文書とモーセ五書
9章 死海文書における創世記解釈
ジョン・J・コリンズ
10章 ヨベル書とクムラン出土の関連文書におけるモーセ五書の律法の釈義
ジェイムズ・C・ヴァンダーカム
11章 アラム語死海文書『外典創世記』の構造とそこに投影されているモーセ五書本文の特徴について
守屋 彰夫
第Ⅳ部 新約聖書とモーセ五書
12章 福音書伝承の変遷と七十人訳聖書
佐藤 研
13章 マルコにおけるトーラーの受容
——最大の戒めに関する問い
アデラ・ヤーブロ・コリンズ
14章 創造と聖なる空間
——フィロン,第四福音書,ヘブライ人への手紙によるモーセ五書の重要主題の再使用
ハロルド・W・アトリッジ
特別寄稿
15章 地理学的視点から見たモーセ五書の本文伝承
——東西文化のさらなる接点を求めて
池田 裕
16章 パウロとパロディ
——アブラハム物語再話(ガラテヤ3〜4章)に見るパウロの意図
浅野 淳博
編者あとがき
索引