グローバリズムが席巻する中、四囲をEU加盟国に囲まれているスイスの、その影響による変貌著しい集団的労働関係規制に焦点を当て、使用者団体と労働組合との間で締結されるスイス労働協約の法理論的特質を究明する。その今日的情況も分析。
中野 育男(ナカノ イクオ)
1952年 神奈川県箱根町生まれ 法政大学大学院社会科学研究科博士課程修了。博士(社会学)
法政大学講師,宮崎大学助教授などを経て,現在,専修大学商学部教授。
『米国統治下沖縄の社会と法』専修大学出版局,2005。『学校から職業への迷走』専修大学出版局,2002。『スイス労働契約の研究』労働総合研究所,1995。『市民社会の変容と労働法』(共著)信山社,2005。『福祉国家への視座』(共著)ミネルヴァ書房,2000。『少子化と社会法の課題』(共著)法政大学出版局,1999。ほか
目次
序 章 21世紀のスイス労働協約
1節 新たな労働空間の出現
2節 個別的労働関係の法的帰結
3節 スイス法における労働協約の位相
4節 集団的労働法の危機
5節 労働組合の新たな戦略
第1章 スイス集団的労働関係規制の淵源
1節 スイス集団的労働関係の成立
2節 スイス労働協約の成立
3節 企業内労使関係規制の発展
4節 スイスにおける団結の権利構造
5節 スイス労働協約法制の特質
6節 経営組織法と共同決定
第2章 スイス集団的労働関係規制の展開
1節 結社の自由と団結権
2節 集団的労働関係の当事者
3節 企業内労使関係規制の展開
4節 労働協約規制の展開
5節 平和義務
第3章 スイス労働関係における賃金交渉
1節 スイス労働経済の推移
2節 ナショナルセンターの賃金交渉
3節 産別賃金交渉の展開
4節 スイスにおける賃金交渉の特質
第4章 スイス労働関係における労働時間交渉
1節 労働時間の短縮
2節 時間外・休日労働
3節 労働時間の弾力化
4節 休暇・休日・休憩
第5章 スイス労働関係における均等取扱いと多様性の確保
1節 問題の所在
2節 均等取扱い
3節 多様性の確保
4節 保護のシステム
5節 労働組合の取組み
終 章 スイス集団的労働関係の変容
1節 労働協約のアクター
2節 団体交渉と労働協約の締結
3節 雇用保障と労働協約
4節 従業員参加の制度
5節 争議行為と紛争解決システム
お わ り に