専修大学社会科学研究所社会科学研究叢書26
川崎の研究 産業・労働・くらしの諸相
価格:3,520円 (消費税:320円)
ISBN978-4-88125-391-5 C3336
奥付の初版発行年月:2024年03月 / 発売日:2024年06月上旬
工場の街のイメージが強い「川崎」だが、南北に長い市域の中には田園地域、商業地域、外国人が居住し働く地域など多様な顔をもつ。本書では、こうした川崎の諸特徴を「産業・労働・くらし」と対象を切り分け分析する。
小池 隆生(コイケ タカオ)
[現職]専修大学経済学部教授
[専門]社会政策,社会保障論
[著書・論文]「貧困認識と規定要因としての「農村的生活様式」―岩手県内自治体住民に対する意識調査結果から」『専修大学社会科学研究所月報』663号,2018年。「生活保護『改革』を考える」新井康友他編『検証「社会保障改革」―住民の暮らしと地域の実態から』(第2章)自治体研究社,2014年。「労働と生活にとっての『安定』とは何か―貧困を捉える視角としての『移動』を考える」町田俊彦編『雇用と生活の転換―日本社会の構造変化を踏まえて』(第5章)専修大学出版局,2014年,ほか。
兵頭 淳史(ヒョウドウ アツシ)
[現職]専修大学経済学部教授
[専門]社会政策,労働問題,労働運動史
[著書・論文]『図説・労働の論点』旬報社,2016年(共著)。『ワークフェアの日本的展開』専修大学出版局,2015年(共編著)。『現代労働問題分析』法律文化社,2010年(共編著)。「最低賃金制と社会運動ユニオニズム」『季刊・労働者の権利』350号,2023年。「社会政策の形成と労働者集団の役割―戦後日本の労働組合による最低賃金制運動を中心に」『日本労働研究雑誌』64巻10号,2022年,ほか。
長尾 謙吉(ナガオ ケンキチ)
[現職]専修大学経済学部教授
[専門]経済地理学,都市・地域経済論
[著書・論文]Local industrial displacement, zoning conflicts and monozukuri planning in Higashi Osaka, Japan, Land Use Policy , Vol. 134, 2023(共著)。「持続可能な経済社会とローカリティ研究」『21世紀における持続可能な経済社会の創造に向けて』(日本経済学会連合)1巻3号,2022年(共著)。『社会連帯経済と都市─フランス・リールの挑戦』ナカニシヤ出版,2021年(共編著),ほか。
遠山 浩(トオヤマ コウ)
[現職]専修大学経済学部教授
[専門]金融論,イノベーション論,中国経済論
[著書・論文]『中堅・中小企業のイノベーション創出と産業集積地の将来―SDGs・カーボンニュートラルをふまえた検討―』専修大学出版局,2024年。「イノベーション創出都市 変貌する深圳」『専修大学社会科学研究所月報』No. 665,2018年。「台湾IT 企業のサプライチェーンと金融」関満博編(共著)『台湾IT 産業の中国長江デルタ集積』(第6章),新評論,2005年。「民営中小企業と金融問題」関満博編(共著)『現代中国の民営中小企業』(第10章)新評論,2006年,ほか。
宮嵜 晃臣(ミヤザキ テルオミ)
[現職]専修大学経済学部教授
[専門]日本経済論
[著書・論文]「長野県北信地方の産業集積の形成過程について」『専修経済学論集』第57巻第3号,2023年。「塩尻市の産業構造とブドウ栽培・ワイン醸造」『専修大学人文科学研究所月報』317号,2022年。「少子化の歴史的位相と日本の特性」経済理論学会編『季刊経済理論』第58巻第1号,2021年。「日本の高度成長・安定成長・長期停滞への推移とその教訓」徐一睿・孫文遠編『クールダウン・エコノミー─日本の歴史的経験と中国の現状』(社会科学研究叢書23)専修大学出版局,2021年,ほか。
山縣 宏寿(ヤマガタ ヒロヒサ)
[現職]専修大学経済学部准教授
[専門]労働政策,雇用関係論,人事労務管理
[著書・論文]「最低賃金による雇用喪失効果と政策の連携」『社会政策』15巻3号,2024年。「役割給と配置転換」『商学論纂』(中央大学)62巻5・6号,2021年。「生協における賃金・査定と労働組合」法政大学大原社会問題研究所・鈴木玲編『新自由主義と労働』,御茶の水書房,2010年,ほか。
森 啓輔(モリ ケイスケ)
[現職]専修大学経済学部准教授
[専門]政治社会学,社会運動論
[著書・論文]『沖縄山原/統治と抵抗―戦後北部東海岸をめぐる軍政・開発・社会運動』ナカニシヤ出版,2023年。Resilience of the Community against Environmental Pollution: The Knowledge Production Process of Local Activism on PFAS Contamination on the US Military Bases in Okinawa, Okinawan Journal of Island Studies, Vol. 3 No. 2, 2022, Connections Result in a General Upsurge of Protests: Egocentric Network Analysis of Social Movement Organizations after the Fukushima Nuclear Accident with Keiichi Satoh and Wan Yin Kimberly Fung, Social Movement Studies, Vol. 21, 2022, ほか。
鈴木 奈穂美(スズキ ナオミ)
[現職]専修大学経済学部教授
[専門]生活経済論,生活経営論
[著書・論文]「コロナ禍を通して考える生活経営の再構築に向けた2つの視点―3つの講演から考える―」『生活経営学研究』58号,2023年。「アンペイドワークと生活時間」『ジェンダーで学ぶ生活経済論―持続可能な生活のためのワーク・ライフキャリア』(伊藤純・斎藤悦子編著)ミネルヴァ書房,2021年。「自立支援施策におけるアウトリーチ・サービス・モデルの理論的枠組み」『社会科学研究年報』(専修大学社会科学研究所)53号,2019年,ほか。
目次
目次
まえがき
序章 大都市圏の再編と川崎市 長尾 謙吉
1.はじめに1
2.大都市圏の再編と川崎市
3.東京大都市圏のなかでの川崎市の特性
4.おわりに
第1章 川崎の産業集積の変遷 遠山 浩
1. 臨海部を中心に素材を供給して京浜工業地帯を支えた大企業の構造転換
2.川崎内陸部の中堅・中小企業の構造転換
3.産業構造の転換に向けて:大企業の対応
4.産業構造の転換に向けて:中堅・中小企業の対応
(1)アンケート調査にみる適切な中堅・中小企業向け産業振興政策
(2)“ものづくり”の今日的課題解決の主役は中小製造業
(3)都市型産業集積の広域化
(4)基礎自治体の役割
付録 アンケート調査用紙
第2章 社会構造の変化に応じた川崎の産業集積の転換─ケーススタディ 遠山 浩
1.川崎市子ども夢パーク
2.JFE 高炉跡地の活用と水素エネルギー供給拠点化
3.産業構造の変化と社会構造の変化との先読み
4.補論 既存産業内の新しい息吹
第3章 川崎市における電機産業の形成・発展とその斜陽化 宮嵜 晃臣
1.問題の所在
2.川崎市電機産業の形成・発展
2.1 戦前・戦中期における電機産業の形成
2.2 戦後川崎電機産業発展の推進企業
(1)川崎市における東芝事業所の事業活動
(2)富士通におけるコンピュータの開発・生産
(3)日本電気玉川事業場
(4)川崎電機産業の発展の諸要因
3.川崎電機産業の斜陽化
3.1 グローバル化,デジタル化の各企業への影響
(1)富士通の「リストラクチャリング」
(2)NEC の「リストラクチャリング」
(3)東芝の「リストラクチャリング」
3.2 日本電機産業の斜陽化の諸要因
(1)日本のテレビ産業の後退
(2)日本の半導体産業の衰微
第4章 川崎における地域労働運動の歴史的特質と変容 ―高度成長期を中心とする考察 兵頭 淳史
1.はじめに
2.労働組合の再建から全川崎労協の結成へ
3.地域における社会運動ユニオニズムの展開
4.民間労使関係の変化と公害闘争の帰結
5.小括と展望
第5章 神奈川県における会計年度任用職員制度の実態 山縣 宏寿
1.はじめに
2.会計年度任用職員制度に係る改正法の成立過程と制度の概要
(1)改正法の成立過程
(2)会計年度任用職員制度の概要と特徴
3.神奈川県における会計年度任用職員制度
(1)分析対象のアンケート調査概要
(2)神奈川県における会計年度任用職員制度に対する評価
4.小括
第6章 川崎市における社会保障・社会サービスの利用状況―多摩区住民対する生活と福祉に関する意識調査 小池 隆生
1.調査の概要
(1)調査目的
(2)調査方法
(3)基本属性について
2.社会保障・社会サービスの利用状況と福祉意識
(1)主観的健康観と医療保障の利用
(2)子育て・介護サービス
(3)所得保障
(4)福祉意識
3.小括
第7章 川崎市における社会ネットワーク―多摩区意識調査からの考察 森 啓輔
1.はじめに
2.組織や個人に対しての信頼度
3.相互扶助意識
4.日常生活において頼れる先
5.個人的つながり
6. 職業,学歴,町内会活動,市民活動,親しい人の数が性別に与える効果
7.まとめ
第8章 川崎市のSDGs の取組みと倫理的消費の実態 鈴木 奈穂美
1.本章の背景と目的
2.倫理的消費とは何か
(1) 倫理的消費研究会報告書にみる倫理的消費に対する考え方
(2)倫理的市場モデルの登場と倫理的消費の定義4
3.国連SDGs の推進に取り組む川崎市
4.多摩区住民調査にみる倫理的消費者の姿
(1)分析の目的と調査対象と方法
(2)使用する変数の選定理由
(3)分析方法と使用した変数
(4)分析結果
5.おわりに
資料 「多摩区住民の生活と福祉に関する意識調査」
1.調査票
2.単純集計結果
あとがき
執筆者紹介