情報化社会において「表現の自由」はどこまで許されるのか。これからの表現者に必要な法律の知識を、著作権法・工業所有法を中心に、丁寧な解説と33の具体例で紹介。美大から発信する、表現に関わる人のための法律入門書。
目次
第1部 表現の自由と情報社会
第1章 「表現の自由」
1.憲法21条「表現の自由」
(1)「表現の自由」が保障されることの意味
(2)憲法で保障されるさまざまな「表現の自由」
2.創作や表現の価値と「経済活動の自由」
3.情報社会における「表現の自由—情報社会倫理の基礎
第2章 「表現の自由」の限界とルール
1.他者の人格権の尊重
(1)名誉毀損
(2)プライバシーの権利
(3)肖像権とパブリシティ権
2.他者を傷つける表現の問題、共存のための規制の問題
(1)性表現への規制
(2)差別表現・憎悪表現
3.経済活動に関連する表現の規制—広告表現
4.「表現の自由」の今日的展開—情報社会のルール
(1)市民の情報倫理
(2)職業倫理としての情報倫理
第2部 表現活動と知的財産
第3章 知的財産権の考え方
1.経済活動の自由と財産権
2.知的財産権とは
第4章 工業所有権法
1.創作の保護と産業の発展を目的にした法律
(1)特許法
(2)実用新案法
(3)意匠法
2.公正な市場の維持を目的にした法律
(1)商標法
(2)不正競争防止法
第5章 著作権法
1.著作物とは
(1)思想・感情の表現
(2)著作物の具体例
(3)複数の著作者による著作物
(4)権利の目的とならないもの
2.権利の内容
(1)「著作権」の意味
(2)著作者人格権
(3)著作権(著作財産権)
3.著作隣接権
(1)実演家の権利
(2)実際の利用形態にそくしたルール化—レコード・放送
4.権利の発生と権利保護期間
(1)権利の発生—無方式主義
(2)権利の存続と消滅—保護期間
5.著作権のある著作物の利用
(1)著作物の利用・原則—利用の許諾
(2)著作物の利用—自由利用(権利効力の制限)
(3)著作物の利用—出版権
6.著作権侵害と権利の救済・罰則
(1)侵害とみなされる行為
(2)侵害に対する救済(権利の行使)
(3)侵害に対する罰則
example 1 「基本的人権」と「憲法」
example 2 「検閲」
example 3 芸術表現の自由と政治
example 4 民主主義とインターネット社会
example 5 「石に泳ぐ魚事件」における「出版差止め」
example 6 マリリン・モンローの肖像権とパブリシティ権
example 7 美大生にとって身近な肖像権侵害
example 8 裁判で争われた広告表現規制
example 9 絵画作品や彫刻作品は「もの」ではない?
example 10 「商品化権」と「模倣品」
example 11 知的財産権の動き
example 12 職務発明
example 13 権利譲渡の身近な実例
example 14 商標と商号
example 15 建築様式
example 16 ゲームソフトの著作物性
example 17 写真から描きおこした絵画は
example 18 写真の被写体の創作性は、どう扱われるのか?
example 19 ソフトウェア(プログラム)は特許と著作権で保護
example 20 原作と作画が別々の作家によってつくられた漫画
example 21 「美術工芸品」と「応用美術品」
example 22 キャラクターと同人誌
example 23 パロディやコラージュは
example 24 「声」に関する権利
example 25 中古ゲームソフトと頒布権・譲渡権
example 26 権利保護期間の終了はその年の末日
example 27 名作映画の二次利用DVD裁判
example 28 アメリカの著作権保護期間延長論争
example 29 パロディ作品と「引用」の限界
example 30 判断はケースバイケース
example 31 レポートを書くための著作権ルール
example 32 著作権の譲渡と出版権について
example 33 インターネット時代の著作権は
索引