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石元泰博 写真という思考

石元泰博 写真という思考

A5判 324ページ 上製
価格:4,620円 (消費税:420円)
ISBN978-4-901631-95-2 C0072
奥付の初版発行年月:2010年05月 / 発売日:2010年05月中旬

内容紹介

石元泰博という巨大な写真家を語ることは容易ではない。なぜなら石元の生涯を語ることは世界の写真史を語ることであり、石元の軌跡を語ることはモダンアートの軌跡を語ることになるからだ。モホイ=ナジがシカゴに運び、アメリカにおいて開花したモダンアートの理念とその果実は石元の作品=写真に息づき、さらにモダンを超えようとする。 ニューバウハウス(インスティチュート・オブ・デザイン)に学び、『シカゴ、シカゴ』『桂 日本建築における傳統と創造』『伝真言院両界曼荼羅 教王護国寺蔵』『桂離宮 空間と形』で数々の賞を受賞。ほかに『イスラム——空間と文様』『湖国の十一面観音』『伊勢神宮』など写真集は40冊を超え、日本、アメリカ、カナダの主要美術館に多くのパブリックコレクションを持つ写真家石元泰博の、これは初の評伝であり、ドキュメントである。漆黒の階調を湛える石元泰博の作品写真100点以上を収録。巻末年譜には貴重な未公開写真を収録。

著者プロフィール

森山 明子(モリヤマ アキコ)

デザインジャーナリスト、武蔵野美術大学教授
1953年新潟県生まれ。1975年東京藝術大学美術学部芸術学科卒業。
特許庁意匠課審査官、国際デザイン交流協会勤務を経て、1986年に日経BP社入社。
『日経デザイン』の創刊にかかわり、編集長として昭和デザインの3部作「昭和のデザイン<パイオニア編>デザイン"遣唐使"のころ」、「昭和のデザイン<エポック編>」てんとう虫が舞い降りた」、「昭和のデザイン<プロダクト編>」メイド・イン・ジャパンの時代」を発刊。
1998年から現職、デザイン情報学科所属。NHKハート展詩選考委員、グッドデザイン賞審査副委員長、芸術工学会副会長、三宅一生デザイン文化財団理事などをつとめる。
主な編著書は、『型而工房から 豊口克平とデザインの半世紀』(共同編集、美術出版社、1987年)、『ラピス・エクシリス』(著書、私家版、1995年)、『内田繁┼松岡正剛が開く——デザイン12の扉』(編著、丸善、2001年)、『カラー版日本デザイン史』(共同監修・共著、美術出版社、2003年)、『魔の山 中川幸夫作品集』(編集、求龍堂、2003年)、『まっしぐらの花——中川幸夫』(著書、美術出版社、2005年)、『Gマーク大全 グッドデザイン賞の50年』(監修・共著、日本産業デザイン振興会・美術出版社、2007年)、『石元泰博[多重露光]』(企画・監修・共著、武蔵野美術大学美術資料図書館、2009年。2010年4月より武蔵野美術大学 美術館・図書館と改称)。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

〈1999〉
プロローグ 石元泰博への旅

シカゴ——一九九九年/カメラを置いて——写真家の余生

〈1948-1953〉
第1章 インスティテュート・オブ・デザイン
一九四八年、ニューバウハウス入学/落書きから始まる基礎課程/キャラハンの元で写真を実践/ニューマンとの一日は二十九時間/マイノリティーと「ロリータ」

〈1921-1948〉
第2章 「黒い羊」として生まれて
サンフランシスコに生まれ、土佐で育つ/工業に興味、進学は農業学校/日系人収容所での眼の危機/農業—建築—写真へのジグザグ道

〈1953-1958〉
第3章 ある日ある所
スタイケンの依頼による日本滞在/桂離宮の飛び石/前衛の季節のコミッティー人脈/写真教育/東京での「ある日ある所」/異色の写真家の離日をめぐって 

〈1958-1973〉
第4章 シカゴ、東京、人間
おのれのシカゴを求めて/黒から浮かび上がるシカゴ/マイナー・ホワイトによる石元論/四十代は「シカゴ、シカゴ」展に始まる /雑誌の時代のメディア写真/建築雑誌のための凄まじき撮影/シカゴと比較しての都市・東京

〈1973-1983〉
第5章 曼荼羅との遭遇、桂との再会
後世に残すべきは写真、ドキュメントには無関心/「伝真言院両界曼荼羅」の「復元」/不二=ふたつにあらず/複写によって兆したデザインへの疑問/プロの仕事、アマチュアの仕事/修復成った桂をカラーで/写真集における編集とデザイン/二冊目のシカゴ、東京では山手線周辺をめぐる

〈1983-1993〉
第6章 日常、神話、異境
日常にひそむ無気味/『花』でも『flower』でもなく『HANA』/建築写真家としての作法/古代史へのトリップ/ラストチャンスの伊勢神宮を撮る/ニューヨークに残した後悔/イスラム圏への旅

〈1993-2009〉
第7章  魂を置き去りにしないために
落ち葉と空き缶/写真家の宇宙誌/一九九四年、アルルにて/世界各地を舞台とする個展、グループ展/半世紀を越えるカラー多重露光/石元泰博——写真という思考

〈2008〉
エピローグ 石元泰博+滋子 ふたりの「不二」
その一——命日/その二——『シブヤ、シブヤ』/その三——ふたりのエッセイ

[資料]
石元泰博略年譜                                   

参考文献・引用文献
あとがき

関連書

<森山明子>主な編著書は、「型而工房から 豊口克平とデザインの半世紀」(共同編集、美術出版社、一九八七年)、「ラピス・エクシリス」(単著、私家版、一九九五年)、『産業財産権標準テキスト 意匠編』(策定普及推進委員会委員/企画・編集分科会委員長、共著、工業所有権情報・研修館、二○○○年)、『内田繁+松岡正剛が開く——デザイン12の扉』(編著、丸善、二○○一年)、『カラー版日本デザイン史』(共同監修・共著、美術出版社、二○○三年)、『魔の山 中川幸夫作品集』(編集、求龍堂、二○○三年)、『まっしぐらの花——中川幸夫』(著書、美術出版社、二○○五年)、『Gマーク大全 グッドデザイン賞の五十年』(監修・共著、日本産業デザイン振興会・美術出版社、二○○七年)、『石元泰博[多重露光]』(企画・監修・共著、武蔵野美術大学、二○○九年)。
<石元泰博>「刻」平凡社(2004年)、「色とかたち」平凡社(2003年)、「YASUHIRO ISHIMOTO」シカゴ美術館(1999年)、「石元泰博展 シカゴ、東京」東京都写真美術館(1998年)、「日本の写真家26 石元泰博」岩波書店(1997年)、「石元泰博写真展:現在の記憶」東京国立近代美術館フィルムセンター(1996年)、「伊勢神宮」岩波書店(1995年)、「HANA」求龍堂(1988年)、「シカゴ、シカゴその2」リブロ(1983年)、「桂離宮」岩波書店(1983年)、「佐藤忠良の世界」現代刻センター(1982年)、「湖国の十一面観音」岩波書店(1982年)、「伝真言院両界曼荼羅」平凡社(1977年)、「都市 映像の現代8」中央公論社(1971年)、「シカゴ、シカゴ」美術出版社(1969年)、「桂—日本建築における伝統と創造」丹下健三/ワルター・グロピウス共著、エール大学・造形社(1960年)、「ある日ある所」芸美出版社(1958年)


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