内容紹介
本書は、第一部「『憲法』概念と憲法学―国法学・序説」と第二部「憲法と人権・組織法―憲法の持続的構造連関」との二部から構成されている。第一部は、こんにちの憲法論がともすると判例研究に傾斜する傾向をますます強めているが、「国家」「法」「学問」「学説史」などに関する従来の伝統的公法学が築いてきた遺産との対話を維持しつつ、「憲法」概念に立ち返って本格的な憲法学の構築を試みようとしたものである。第二部では、「憲法」における「人権」と「統治組織法」という構成要素に注目する。これはもちろん近代立憲主義の保障目標とその保障手段という関係にあるが、さらには、そこに法規範学上の「行態法・組織法」という関係が潜んでいる。学問はより冷静にこの関連を吟味することに、今後の学術的意義を認めなくてはならないと稿者は考えている。