本ノートは、ミクロとマクロの各経済学の体系的で最低限の基礎理論を解説したものです。初めて経済学を学ぶ皆さんが経済学に興味を持ち、より一層学んでいくためのインセンティブ(誘因)を与えることを目的としています。この目的のために筆者が特に心がけたことは、①できる限りシンプルでクリアな説明をすること、そして②理論と現実のつながりをできるだけ考慮に入れた味わい深いノートにする、ということです。後者については、経済記事やニュースへの関心を高め、その理解を深めることも期待しています。
> さらに、本ノートの最大の特徴は現代マクロ経済学の常識を再検討することにあり、通常のテキストとは明らかに一線を画しています。現代マクロ経済学の常識とは、賃金・価格が十分に伸縮的である限り、マクロ経済は完全雇用均衡を達成するというものです。筆者はこのような常識に疑義を唱えています。その疑義を、(理論的分析は一切省いて)実証的根拠にもとづいた検討とそれにもとづいた推測に限定して説明しています。
目次
基礎ミクロ経済学
第Ⅰ部 序論 Ⅰはじめに
第Ⅱ部 需要・供給と市場Ⅱ需要曲線と需要の弾力性
Ⅲ供給曲線と供給の弾力性
Ⅳ市場均衡とその変化
Ⅴ市場の効率性と市場の失敗
第Ⅲ部 より新しい話題 Ⅵゲームの理論
基礎マクロ経済学
第Ⅰ部 序論 Ⅰマクロ経済学とは
ⅡGDP(国内総生産)の概念とGDP統計
Ⅲ総需要・総供給とマクロ経済の均衡
第Ⅱ部 短期分析 Ⅳ家計の消費
Ⅴ企業の投資
Ⅵ国民所得の決定と乗数理論
Ⅶマクロ経済の短期均衡―ケインズ派のモデル
第Ⅲ部 長期分析 Ⅷマクロ経済の長期均衡―新古典派のモデル
第Ⅳ部 失業と労働市場 Ⅸ失業の理論