多民族国家プロイセンの夢 「青の国際派」とヨーロッパ秩序
価格:8,140円 (消費税:740円)
ISBN978-4-8158-0617-0 C3031
奥付の初版発行年月:2009年06月
激動の中東欧情勢下に活躍した親独派ポーランド人貴族の生涯を通じ、ナショナリズムの超克、多民族共生を志向した知られざるプロイセン王国の姿を描き出す。ドイツ帝国=プロイセンの図式的理解を超え、ヨーロッパ史に新たな領野を切り拓く注目の成果。
今野 元(コンノ ハジメ)
1973年、東京都に生まれる。1995年、東京大学法学部卒業。2002年、ベルリン大学第一哲学部歴史学科修了(Dr. phil.)。2005年、東京大学大学院法学政治学研究科修了、博士(法学)。著書に、『マックス・ヴェーバーとポーランド問題』(東京大学出版会、2003年)、『マックス・ヴェーバー』(同、2007年)、『教皇ベネディクトゥス一六世』(同、2015年)、『吉野作造と上杉愼吉』(名古屋大学出版会、2018年)など。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
緒 論 甦るプロイセン
参考地図
凡 例
序 章 「プロイセン=ドイツ」史観の脱構築
1 多民族王朝国家としてのプロイセン
2 フッテン=チャプスキの謎
第1章 ドイツ帝国におけるポーランド問題の起源
1 西欧キリスト教圏の拡大によるヨーロッパ世界の形成
2 ポーランドの「侵略国家」から「悲劇の民族」への転落
3 多民族国家プロイセンの「ドイツ化」
第2章 プロイセン国家への奉仕
1 ポーランド人貴族としての出生
2 国際的な生育環境
3 裏方としての政治活動
第3章 プロイセン愛国主義による多民族統合
1 超民族的プロイセン愛国主義の論理
2 ビスマルク末期の紛争激化への懸念
3 カプリヴィ融和政策への懐疑
4 エステルライヒ領・ロシヤ領ポーランドの偵察
5 プロイセン貴族院議員としての活動
6 ポーゼン城代への就任
7 プロイセン収用法制定への抵抗
8 グスタフ・シュモラーとの論争
9 収用法実施阻止の闘争
10 プロイセン愛国主義者のドイツ・ナショナリズム?
第4章 親独的ポーランド国家の建設
1 ポーランド・ナショナリズムとプロイセン愛国主義との矛盾
2 ポーランド国家再興の密約
3 ロシヤ領ポーランドの占領
4 ワルシャワ総督府の設立
5 ポーランド立憲王国設立宣言
6 臨時国家評議会の開催
7 摂政会議の設置
第5章 流転の老貴族
1 新生ポーランド国家の膨張
2 居場所を求めての放浪
3 ドイツ・ポーランド和解への執念
終 章 「青の国際派」
結 語
注
史料・文献一覧
引用図版出典一覧
索 引
関連リンク
『吉野作造と上杉愼吉』
『教皇ベネディクトゥス一六世』
『マックス・ヴェーバー』
『マックス・ヴェーバーとポーランド問題』